日経平均はボラタイルな動きが続く
週明け11日の日経平均は483円高となり、一時は600円を超える上げ幅となる場面もありました。最近は値幅が大きくボラタイルな動きが続いています。
業種別では、電気・ガス、石油・石炭、水産・農林などが大幅に上昇しました。電機や自動車など指数への寄与度が大きな業種が上位だったわけではなく、日経平均の上昇幅の割には違和感があるところです。
首位の電気・ガスを牽引したのは東京電力ホールディングス(9501)でした。柏崎刈羽原発の再稼働期待が高まり14.6%高と、売買代金は全市場で2位と注目を集め、中部電力や北陸電力などにも買いが波及しました。
そこで、今回はチャート道場の第11回目として、東京電力ホールディングス(9501)を採り上げてみました。
週足でみる東京電力HDの株価推移
図表1は、東京電力ホールディングス(9501)の2018年9月頃からの週足チャートです。全体的な大きな値動きとしては、(1)2018年12月高値767円を起点として、高値と安値を切り下げる下落波動が確認できる、(2)2020年12月安値266円を起点として、高値と安値を切り上げる上昇波動が確認できる、です。
上記の(1)の下落波動から(2)の上昇波動に変わったことを確認できたのは、2021年8月安値280円が2020年12月安値266円を下回ることなく、2021年1月の戻り高値444円を上回った段階です。
チャート分析では、この2021年1月の戻り高値から水平に引いた線を「抵抗線」と呼びます。抵抗線は売り勢力が買い勢力を上回った水準を意味しています。大量の売買が行われていることも多く、「以前の上昇相場で需給が逆転した位置」を示しています。
つまり、その抵抗線を上回ることは、買い勢力が売り勢力を逆転したことを意味し、上昇に弾みがついたり、本格的な上昇トレンドに入っていくこともあるでしょう。
その後、2022年7月高値664円まで上昇しましたが、次の安値416円からの上昇で2022年7月高値から水平に引いた「抵抗線」を上回りました。少し保ち合いを経過した後に、今年9月高値725円から水平に引いた「抵抗線」を上回り、足元の一段高につながる結果となりました。
このように、抵抗線を上回るごとにトレンドの継続を確認していくことを、トレンドフォローといいます。
一方、足元の一段高にはもっと大きな意味があります。それは2018年12月高値767円から水平に引いた「抵抗線」を上回ったことです。
図表2は、東京電力ホールディングス(9501)の2010年5月頃からの週足チャートです。図表1よりも過去の時間軸を長くしたものです。
今から約5年前の2018年12月高値767円を上回ったことで、次の目標は2015年8月高値939円までさかのぼることになります。2015年8月高値はというと、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で急落した以降で最も高い株価水準となります。
これから2015年8月高値939円から水平に引いた「抵抗線」を上回る場合、来年に向けては大きな変化が生じる可能性が高まることでしょう。