日経平均は円高進行でも一時33年ぶりの水準まで上昇
先週の東京株式市場で日経平均は一時33年ぶりの高値水準まで上昇しました。米10年債利回りの低下傾向が続いたことで、為替市場ではドル安・円高が進行。にもかかわらず、指数は堅調な推移を続け、週間では4週続伸し、週足ローソク足は4週連続の陽線となりました。
先週は円高を嫌気して自動車株が軒並み安。東証33業種で自動車を含む輸送用機器が下落率のワーストトップとなりました。一方、21日は1ドル= 147円台前半に突入する場面もみられ、円高メリット株に短期資金が向かいました。円高により輸入コストなどが低下するとの期待により、セリア(2782)が大幅高。ニトリホールディングス(9843)が底値圏から急伸したほか、神戸物産(3038)や良品計画(7453)が買われました。三菱製紙、中越パルプ、北越コーポなど製紙株も全般堅調に推移する場面がありました。
そこで、今回はチャート道場の第9回目として、円高メリットに加え、月次売上高が好調な神戸物産(3038)を採り上げてみました。
9月に発表した23年10月期の3Q累計(11-7月)の連結営業利益は前年同期比6.6%増の233億円で着地。新規出店と既存店への商品出荷が好調に推移したことが寄与したようです。その後、公表された8月、9月、10月ともに売上・営業利益は前年同期比で2ケタ増が続いています。
週足でみる神戸物産の株価推移
神戸物産(3038)の株価推移を週足チャートで確認してみましょう。図表1は、2021年2月頃からの週足のローソク足に加え、13週・26週・52週移動平均線、出来高を挿入したチャートです。
これまでの過去の分析では、2021年9月の上場来高値4660円から2022年5月安値2752円まで大きな値幅を伴う調整が生じました。しかし、2021年6月安値2671円を割り込むことなく、その後は短期底を切り上げる展開が続いているのが確認です。
これは、本格的な上昇相場が始まった2019年以降の上昇波動が依然として続いていることを意味します。上述した大きな値幅を伴う調整によって、その後の調整が長く格好となっていますが、短期の13週移動平均線、中期の26週移動平均線、長期の52週移動平均線を挟んで上げ下げを繰り返す動きになっているのが確認できます。
その結果、13週移動平均線、26週移動平均線、52週移動平均線が同水準に収束しています。これは、短期・中期・長期の投資家の売買コストが同じ水準になってきたことを意味します。
先週の長い「陽線」の形成によって移動平均線を一気に下から上抜ける展開となったことで、現在の株価水準では直近1年間で買った投資家に評価益が生じていることを意味します。ただ、異なる期間の移動平均線が収束した状態をずっと続けることはなく、いつしか発散という現象が生じることで、大きなトレンド発生につながることがある点に留意する必要があります。
2021年6月から株価が急騰する前に収束したことが確認でき、その後の株価急騰によって異なる期間の移動平均線が発散する状況になっています。
今後、収束から発散にいつ移行するかは分かりませんが、9月後半からは出来高も増加しており、株価上昇の先行サインになっている可能性が高いと判断することができます。