日経平均は3日続伸、4日連続の陰線も週間ではほぼ高値引け
先週末の日経平均は3日続伸。4日連続陰線となりましたが、週間ではほぼ高値引けでした。米国株安を悪材料とすることなく、上昇してスタート。後場に入ると三連休を前に動意が乏しくなる場面もありましたが、決算が好感されたファーストリテイリング(9983)が大幅高となり指数上昇をけん引しました。一方、相場全体の動向を示すTOPIX(東証株価指数)は反落で終えました。
東証プライム市場の売買代金は概算で3兆7,700億円。値上がり銘柄数503に対して、値下がり銘柄数1,086と値下がり優位の展開となりました。業種別では、銀行、小売、保険などが上昇した一方、不動産、陸運、金属製品などが下落しました。
個別物色では、ファーストリテイリングが6.1%高となったほか、アドバンテスト(6857)、フジクラ(5803)、川崎重工業(7012)に強い動きが見られました。一方、通期の利益見通しを引き下げたセブン&アイHD(3382)が下落。レーザーテック(6920)、メルカリ(4385)などグロース系の銘柄の一角が軟調となりました。米長期金利の高止まりが嫌気され、三井不動産(8801)や三菱地所(8802)など不動産株も軒並み安となりました。
週足でみるアドバンテストの株価推移
図表は、アドバンテスト(6857)の2022年8月頃からの週足のローソク足に加え、13週・26週・52週移動平均線です。下位は、売られ過ぎや買われ過ぎ、あるいは相場の勢いなどをみるオシレータ系指標で代表的な相対力指数のRSI(9週ベース)の推移です。
大局的な流れとしては、2022年10月安値(1,650円)を起点に大きな二段上げの上昇波動が確認できます。今年の2月高値(7,456円)で上昇が一服し、比較的大きなレンジでもち合い相場を形成してきました。
一方、先週末の11日は7,798円まで上昇する高値引けとなり、週間ベースでは11.8%の上昇率となりました。今年2月の高値を上回り、年初来高値を更新。それによって、高値と安値を切り上げる大きな上昇局面が続いているという判断ができます。
パターン分析の観点からは、今年2月高値を起点に7~9月までの高値を通る右下がりの抵抗線と、今年4月安値(4,952円)を起点に8月安値(5,313円)を通る右上がりの支持線とで「三角もち合い」を形成していました。
三角もち合いを形成した後は上方向に放れるか、下方向に放れるかは事前にはわかりませんが、放れた方向にしばらく動く傾向が強いです。上方向に放れた判断として最初の買いシグナルとなるのは抵抗線を上抜けた段階です。一方、下方向に放れた判断として最初の売りシグナルとなるのは支持線を下抜けた段階です。
図表のアドバンテストの場合は、9月の最終週には週間ベースで高値引けとなる陽線を形成し、すでに抵抗線を上抜ける買いシグナルを発していたことがわかります。
翌週は反動安となったものの、上昇基調が続く13週移動平均線を下値で意識して戻しています。これは、前週に買いシグナルが点灯したことで、先高期待を抱く投資家が多くなり、押し目買いが強く意識された可能性が高いとみられます。
さらに、先週は高値更新を通じて一段と水準を切り上げる展開となっており、中期的な観点からは強気相場継続の見方となります。
一方、短期的な留意点としては上昇の勢いが保てるかどうかです。上昇の勢いが減速するようだと、まもなく反落調整につながります。その勢いを判断する指標として、RSIも並行して確認する必要があります。先週末時点では、株価の方は年初来高値を更新しましたが、RSIの方は今年の2つの高値を更新できていません。RSIが高値を超えられずに先にピークアウトする場合、株価に対する先行シグナルになる可能性が高くなり、まもなく株価も短期的なピークアウトとなることが予想できます。