銀行株に買いが殺到
週明けの東京株式市場では日経平均は3日続落となりました。読売新聞の植田日銀総裁へのインタビュー記事を受けて、市場は早期の「マイナス金利政策」解除を意識し、円高進行が売りを誘う展開となりました。
一方、マイナス金利解除の恩恵が期待できる銀行株には買いが殺到。業種では銀行株指数が4%を超える上昇率となり、メガバンクや地銀株などが全面高となりました。
そこで、今回はチャート道場の第1回目として、三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)の株価を採り上げてみました。
一目均衡表でみた三菱UFJFG
現状の株価を確認する手法は、「一目均衡表」を使いました。前々回までの2回で採り上げていますので、復習も兼ねてシンプルにみていきましょう。
図表1は、三菱UFJフィナンシャルグループの日足チャートです。右肩上がりの上昇相場が「一目瞭然」で確認できます。
3月初旬から4月後半にかけては、先行スパン1と2の間の「抵抗帯(雲)」の下方で株価は推移し、弱気相場でした。
しかし、5月中旬(図表内の赤の矢印)には、(1)転換線が基準線を上回る、(2)遅行スパンが26日前の価格を上回る、(3)現在の価格が抵抗帯(雲)を上回る、「三役好転」の強気相場入りに転換しました。その後、9月11日現在、転換線や基準線をサポートに株価は上昇が続いています。遅行スパンは一度も株価を下回っておらず、かなり強い相場展開といえます。
現状、強気相場継続と判断します。弱気相場入りの判断となる「三役逆転」を確認するまでは、どっしりとトレンドに乗り続けることが利を伸ばすコツです。
ちなみに、「三役逆転」とは、(1)転換線が基準線を下回る、(2)遅行スパンが26日前の価格を下回る、(3)現在の価格が抵抗帯(雲)を下回ることです。
値幅観測論で上値の目安を探る
一目均衡表には、三大骨子の1つである「値幅観測論」という考え方があります。単純な計算によって波動の均衡点を探るものです。均衡点とは目標値とは異なるといわれていて、N計算値、V計算値、E計算値、NT計算値の4つの基本計算方法があります。
図表2は、三菱UFJフィナンシャルグループの日足を2022年8月頃からみたもので、図表1よりも少し長い期間となります。
2022年10月3日の安値632.6円を「A」として、「B」「C」と設定した場合、4つの基本計算が算出できます。
・N計算値・・・C+(B-A)=1172円
・V計算値(倍返し法)・・・B+(B-C)=1194円
・E計算値・・・B+(B-A)= 1366円
・NT計算値・・・C+(C-A)=977円
いかがでしょうか。9月11日現在、高値は1264.5円です。すでに、N計算値やV計算値を上回って上昇していますので、E計算値の1366円前後が次の上値の目安として考えることができそうです。
ただ、これらは1つの考え方で導かれたものです。観測期間がもっと長期になれば算出される上値の目安はいろいろ出てきます。
また、上記4つの基本計算を倍化する計算方法などもあることから、大相場の時は4つの基本計算で算出された水準は単なる通過点になることもしばしばです。ですから、4つの基本計算はあくまでも参考水準として、心に留めておく程度でよいでしょう。
ちなみに、V計算値の倍化で算出すると、上値の目安は1389円になります。