26日の東京市場は、前日NY市場の株高に反して日経平均株価が大幅反落で寄り付く意外安となりました。トランプ氏が中国を含む関税について発信したSNSに反応した格好です。第1次トランプ政権下において旧ツイッターでマーケットの振れを誘った状況の再現、「Xリスク再発」におびえる状況が今後は続きそうです。
トランプ氏のSNS発言でリスク回避
26日の東京市場では、同日の日本時間未明に引けた25日NY株式市場でダウ平均が続伸して取引時間中そして終値ベースでも史上最高値を更新して4営業続伸し、ハイテク主体のナスダック総合指数も3営業日続伸したものの、日経平均株価は3営業日ぶりに大幅反落して寄り付きました(図表1)。
トランプ次期米大統領が米株市場の引け後、中国、メキシコ、カナダに関税を課すとSNSのX(旧ツイッター)で発信したことが伝わり、これが売り材料になりました。日経平均株価の意外安を嫌気して、為替市場でもリスク回避の円買いが後押しされ(図表2)、足もとの円高につながる流れを導いた感があります。
「Xリスク再発」におびえる状態が続くか
トランプ氏が公約に掲げた経済成長を後押しする減税や企業向け振興策が、共和党が大統領と上下両院の多数派を独占するトリプルレッドとなったこともあって進めやすくなっています。政策の行方を見越して株高、米金利上昇やそれにともなうドル高、そしてリスク選好の円売り、いわゆる「トランプトレード」が、それまで先行する状況でもありました。
しかしトランプ氏が関税強化方針の方針を個人的に改めて明確にしたことで、一転してマーケット参加者が投資リスクを取りにくい状態となり、リスク回避目的の巻き戻しによる株売りや円買い振れました。こうした状況は大統領選挙の予備選の段階で共和党候補としてトランプ氏が選挙戦を優位に運び、「もしトラ=もしもトランプ氏が大統領になったら」から「ほぼトラ=ほぼトランプ氏が大統領に」や、「確トラ=確実にトランプ氏が大統領に」へと状況が変化していく段階から危惧されていたことでもあります。
第1次トランプ政権下、トランプ氏による当時のツイッターコメントによる為替のドル高けん制で為替が振らされた経緯がマーケット参加者の脳裏にも残されているでしょう。そのリスクが再び顕在化してきた「Xリスク再発」の状態といえます。
トランプ氏が米現地26日、対中強硬派とされるグリア氏を米通商代表部(USTR)代表に選出したこともマーケットの不安を誘う要因となっています。対中関税の強化は米輸入コストの押し上げなどインフレ再加速のリスク要因となります。
インフレ高進で米金利が上昇することはドル高を誘うことは考えられます。しかし株価圧迫や対中関係の悪化を嫌気したリスク回避による円高といった材料になるならドル円ほかマーケットの押し下げ要因となります。
また、どうにかドル円がトランプ政権の政策に沿った米金利上昇の流れに乗って上昇しても、米産業を圧迫するドル高を嫌うトランプ氏の為替に関するけん制発言がいつ飛び出るかわからない環境下では、ドル買い・円売りを進める安心感は持ちにくくなります。政策が促すドル高と矛盾する為替の方向を志向するトランプ氏の発言という「Xリスク再発」におびやかされる状態が続くことになりそうです。