特定の銘柄の値動きを1カ月間追いかけてみる「あの銘柄を買ってみた!」
今回は2025年10月に取り上げたIHIの値動きを振り返ります。

1カ月後の株価は大幅高
11月4日の株価は3147円でした。10月1日の株価は2565円でしたので、値動きを見た1カ月では582円の上昇となりました。
25万6500円が31万4700円となり、582円×100株で5万8200円の上昇(手数料・税金は考慮せず)、上昇率は+22.7%と大きなものとなりました。
高市政権誕生やトランプ大統領の訪日が追い風に
それでは、この間の値動きを見ていきましょう。

10月は政治に関するニュースが多く、その中でIHIは注目度の高い状態が継続しました。
まず、自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことを受けて、10月6日の日経平均が2175円高(47944円)と大幅な上昇となりました。これまでの高市氏の主張から政策面では防衛力強化に注力するとの見方が強まり、IHI株も大きく上昇しました。
その後、公明党が自民党との連立離脱を発表したことなどから、いったん売りに押されました。しかし、自民党が日本維新の会と連立を組むことが決まり、高市首相誕生が濃厚となってくると、改めて政策期待からの買いが入りました。
10月後半には米国のトランプ大統領が来日し、首相になった高市氏と会談を行いました。首脳会談は10月28日に開催されましたが、会談では軍事の面でも協力関係強化に向けた話し合いがあるかもしれないとみられていましたので、この28日に3268円まで上昇し、上場来高値を更新しました。なお、期間中の安値は10月2日の2503円でした。
防衛株がそろって人気に
値動きを見た期間では大幅高となりました。
ただ、同じ期間の同業の騰落率を見てみると、三菱重工業(7011)が23.2%高(3732円→4596円)、川崎重工業(7012)が28.9%高(9380円→1万2090円)となっています。IHIも22.7%高大きく上昇していますが、3社の比較では若干ですが見劣りしています。
この期間は株高基調が強まる中で、売買代金上位銘柄が派手に動いていました。売買代金上位銘柄には値がさ株(株価水準が高い銘柄)が多く、株式分割によって最低売買金額が引き下げられたことは、IHI株に対する魅力を高めることにはつながりませんでした。実際、3社の中で最も最低売買金額が高い川崎重工が、値動きを見た期間では最もパフォーマンスが良いという結果となりました。
株安局面では耐性を示す
日経平均は10月に大きく水準を切り上げましたが、11月に入って4日と5日は大幅安となっています。そのような中、IHIは4日は大きめの下落となりましたが、5日は売りをこなしてプラスで終えています。この間の下げに関しては半導体などAI関連が強烈に売り込まれていますので、AI関連からの資金逃避先の一つとして資金が向かったようにも見えます。
IHIも10月には大きく上昇しているだけに、反動には注意を払う必要があります。ただ、相場全体に高値警戒感が浮上してくると値がさ株は敬遠される傾向がありますので、相対的に購入ハードルが低い銘柄の方が値を保つといった動きが出てくる可能性があります。
11月5日は3000円を割り込んだところで切り返していますので、3000円より上が定着するかどうかが目先の注目点となります。3000円を明確に割り込んだ場合、7分割をする直前の株価が17495円で、7で割るとざっくり2500円となりますので、この2500円辺りが下値のメドとして意識されます。


