日々是売買~トレードへの道

第108回「米利下げ確率、1カ月前の94.4%から45.8%まで低下」

当コラムでは「IG証券」のデモ口座で株価指数・FX・コモディティなどをトレードし、売買のタイミングや結果などを公開。証拠金は各100万円スタート。「IG証券」は「FX口座」「株価指数口座」「商品口座」「個別株口座」「債券先物口座」「その他口座」と多様な資産クラスがワンストップで提供されています。

 

 

 

日米株価もドル円も結局底堅い

 

今週のドル円はあまり大きな動きとはなりませんでしたが、12日に一時155.04円と2月4日以来約9カ月ぶりの高値を付けました。週前半は米政府機関再開への期待が高まる中、世界的に株価が上昇するとリスク・オンの円売り・ドル買いが優勢に。米国株式市場でダウ工業株30種平均は連日で史上最高値を更新しました。また、東京株式市場では決算を材料とした物色が活発となり、東証株価指数(TOPIX)が上昇し、史上最高値を更新しています。

 

*Trading Viewより

 

週後半は米国株の下落をきっかけにドル円にも売りが目立ちました。過去最長となった米政府機関の一部閉鎖は終了したものの、ダウ平均は前週末から閉鎖解除に向けた動きを好感した買いが断続的に入り、連日で史上最高値を更新していただけに、利益確定目的の売りが優勢に。米連邦準備理事会(FRB)高官から12月の利下げに慎重なコメントが相次ぎ、米利下げ観測が後退したことが相場の重しとなり、週末の2日間で1000ドル超下落しています。

 

一方、米利下げ観測の後退はドル円の支援材料。14日のNY序盤には一時153.62円まで値を下げましたが、売り一巡後は買い戻しが優勢となり154.74円付近まで持ち直しています。

 

 

 

FRB高官発言で米利下げ観測後退

 

デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は13日、「12月の金利についてはまだ最終決定していない」「インフレ率を2%に引き下げるにはまだ努力が必要」と述べたほか、ハマック米クリーブランド連銀総裁は「高インフレが依然として続いている」「政策はある程度引き締め的な姿勢を維持する必要がある」などと発言。また、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は「インフレ率は3%と依然として高すぎる」「12月の利下げについてはまだ強い意向はない」と話したほか、ムサレム米セントルイス連銀総裁は「金融政策を過度に緩和的にせずに追加的な利下げを実施する余地は限られている」などと語っています。

 

14日は10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに反対し、金利据え置きを主張したシュミッド米カンザスシティー連銀総裁が「10月の反対意見表明の根拠は、12月に向けても私の指針となっている」と発言。また、ローガン米ダラス連銀総裁も「10月は据え置きを望んだ」「12月の会合で追加利下げを支持するのは難しい」などと話しています。

 

*CMEのHPより

 

FRB高官から12月の利下げに慎重なコメントが相次いだことで、米利下げ観測は後退。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、12月9-10日のFOMCで0.25%の利下げを予想する確率は1週間前の66.9%や1カ月前の94.4%から45.8%まで低下しています。据え置きを予想する確率は54.2%に上昇しています。

 

 

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(154.55円)で雲の下限(149.38円)や雲の上限(149.65円)、基準線(152.21円)、転換線(153.93円)をすべて上回っており、テクニカル的に買いが入りやすい地合い。また、マクロファンドなどが重要視している50日移動平均線が位置する150.76円を引き続き上回っており、上サイドへの期待は高まります。

 

*Trading Viewより

 

また、14日夜に日経新聞が報じたところによると、「政府が近く策定する総合経済対策の規模は17兆円台になる見通し。ガソリン税などに上乗せされる旧暫定税率の廃止による大型減税も盛り込む」といいます。来週もこれらの材料を手掛かりに円売り・ドル買いが出やすいと予想します。

 

*IG証券より

 

現在の私のポジションはドル円ロング@145.327円。急ピッチで上昇すると、政府・日銀による為替介入への警戒が高まることから、あくまでも緩やかなペースで円安・ドル高が進むと想定し、現在のポジションを維持したいと思います。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第108回「米利下げ確率、1カ月前の94.4%から45.8%まで低下」
第107回「高市トレード(円売り・株買い)継続」
第106回「終わってみればサナエノミクス」
第105回「VIX(恐怖指数)、半年ぶりの高水準を更新」
第104回「忘れた頃にやってくるトランプ砲、でもTACOか?」
第103回「米政府機関の一部閉鎖で投機筋ポジション発表されず」
第102回「ドル円、ついにレンジをブレイクか!?」
第101回「サナエノミクス!ジャパン・イズ・バック!に期待」
第100回「上サイド突破を期待しながらポジションを追加」
第99回「ドル円、結局1カ月前と同様の結果に」
第98回「ドル円、パウエル発言伝わると急落」
第97回「投機筋の円買いポジション、縮小が続く」
第96回「上サイド突破を期待しながらポジションを維持」
第95回「イベント満載の1週間 ドル円は上値重い展開」
第94回「夏休み前、傾いたポジションは整理される傾向に」
第93回「参院選後も円安の流れは変わらずか!?」
第91回「ポジションを切るかどうかの瀬戸際」
第90回「ドル円、来週以降は買い増しを検討」
第89回「投機筋の円ロングポジション、縮小が続く」
第88回「投機筋の円ロングポジション、縮小」
第87回「ドル円、140円割れを目指す展開か!?」
第86回「米国『トリプルA』格付け失う 来週は為替協議の思惑も」
第85回「投機筋の円買いポジション、やや拡大 過去最大を更新」
第84回「投資家心理は改善 恐怖指数=VIXは順調に低下」
第83回「注目は24日予定の日米財務相会談 為替について協議」
第82回「ドル円『1日の値幅は3円超』 売っても買ってもやられる相場」
第81回「虎の子だったはずのポジションが見事に粉砕」
第80回「円買いポジションの解消に伴う急速な円安・ドル高圧力」
第79回「投機筋の円買いポジション、いよいよ巻き戻しスタートか!?」
第78回「来るか!?行き過ぎた『ポジションの偏り』の反動」
第77回「投機筋の円買い過去最大 行き過ぎた『ポジションの偏り』」
第76回「投機筋の円買いが過去最大に 偏り警戒160円超えを指摘する声も」
第75回「投機筋の円買いポジション、再び6万枚超まで拡大」
第74回「投機筋の円買いポジション、5万4615枚に拡大」
第73回「ドル円、テクニカル的にも売りが出やすいか」
第72回「投機筋、ポジションはほぼフラットに」
第71回「28-29日のFOMC、利下げ見送りが濃厚」
第70回「日銀の追加利上げは織り込み済み」
第69回「ドル円は半年ぶり高値 ロングは維持したい」
第68回「やっぱり7月3日の高値161.95円突破を狙いたい」
第67回「ドル円、またまた160円台を目指していくのか」
第66回「日銀の年内利上げ観測後退 1月すらも怪しい」
第65回「感謝祭ウィーク週末のNY午後(日本の夜中2時)」
第64回「投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る」
第63回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?その2」
第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

中村 知博の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております