11月に決算を迎えるアステナホールディングスと日本フイルコンは、どちらも10万円以下と比較的少額から投資可能な高配当株で、さらに株主優待ももらえる人気の銘柄です。しかし近年、株主優待の内容に改悪や廃止といった変更がありました。
今回は、この2銘柄について、現在の株主優待内容を中心に、業績や株価、配当利回りについて詳しくご紹介します。
アステナホールディングス(8095)
アステナホールディングスは、医療用やジェネリックなどの医薬品製造販売、高機能化学品販売や医薬品・化粧品原料製造、健康食品・化粧品などの開発・製造・販売などを行う企業です。2021年に「イワキグループ」から商号変更されました。
2024年度の売上高は約580億円、経常利益は約28億円でした。2025年度は売上高が約640億円、経常利益は約29億円とどちらも増収・増益となる予想です。2022年度以降、増収・増益の好業績が続いています。
アステナホールディングスの株価
2025年10月時点の株価は約500円です。2016年まで約200円前後だった株価は、2017年頃から上昇し始め、株価変動を繰り返しながら2021年には約770円まで上昇しました。しかし、2022年に入り約380円まで下落し、その後ゆるやかな回復傾向は見られるものの、株価は約500円前後となっています。
株主優待は長期保有者対象
アステナホールディングスの株主優待は、毎年11月末の権利確定日に、500株以上の株式を1年以上保有する株主に対して、株式の保有数および保有年数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、自社商品です。
株式の保有数と保有年数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

改悪された株主優待の内容
アステナホールディングスは、2024年11月末の権利確定日分から、株主優待の内容が変更されました。変更内容は、最低保有株式数が100株から500株になった点と、3000株以上保有した場合の贈呈内容が追加された点です。
3000株以上の保有者にとっては改善ですが、500株未満の保有者にとっては、株主優待がなくなる改悪となりました。
配当金は維持が継続中
2025年度の配当金は、5月末の中間配当で9円、11月末の期末配当で9円の、年間1株当たり18円となる予想です。この金額は、2021年度以降、4期連続で同じ金額が維持されています。
アステナホールディングスの利回り
1株500円で100株購入した場合、投資金額は5万円になります。配当金額は年間1株当たり18円のため1800円となり、配当利回りは約3.6%です。
また、500株を1年以上継続して保有した場合、株主優待として年間約3000円相当の商品が贈呈されるため、配当と優待を合わせた利回りは約4.8%になります。株式の保有数および保有年数による、配当と優待を合わせた利回りは、下記の一覧表をご参考ください。

なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約2.9%、2022年度は約4.2%、2023年度は約4.0%、2024年度は約3.6%でした。
日本フイルコン(5942)
日本フイルコンは、産業用フィルターや電子部品を製造・販売する金属製品メーカーです。紙やパルプ製造で使用される網状のワイヤーである抄紙網で国内トップの売上を誇り、アジアや北米などにも拠点を展開しています。
2024年度の売上高は約286億円、経常利益は約11億円でした。2025年度は売上高が約273億円、経常利益は約8.5億円とどちらも減収・減益となる予想です。売上高は昨年度まで増収していたものの今期はやや減収、経常利益は2023年度以降落ち込んでいます。
日本フイルコンの株価
2025年10月時点の株価は約550円です。2006年の株価は約1800円の高値が付いていましたが、2008年には約500円まで下落しました。その後は、突発的な株価変動はあるものの比較的株価変動は小さく、約500円前後をほぼ横ばいで推移しています。
株主優待は2024年廃止
日本フイルコンの株主優待は、2024年度から廃止されました。廃止の理由は、配当方針の変更に伴い、配当金による株主還元を充実させるためです。
廃止前は、毎年11月末の権利確定日に、100株以上の株式を1年以上保有する株主に対して、株式の保有数および保有年数に応じて贈呈されていました。贈呈内容は、100株以上保有で500円相当のクオカード、200株以上保有でワイン1本、1000株以上保有で限定品ワイン1本です。
業績悪化でも配当金は維持
2025年度の配当金は、5月末の中間配当14円、11月末の期末配当で14円の、年間1株当たり28円となる予想です。この金額は、2022年度の16円、2023年度の27円から2期連続で増配となった2024年度と同じ金額を維持しています。2023年度以降、業績は悪化傾向にありますが、配当金は維持または増配が続いています。
日本フイルコンの利回り
1株550円で100株購入した場合、投資金額は5.5万円になります。配当金額は年間1株当たり28円のため2800円となり、配当利回りは約5.1%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約3.1%、2022年度は約3.2%、2023年度は約5.8%、2024年度は約5.3%でした。

まとめ
アステナホールディングスと日本フイルコンについてご紹介しました。
どちらの銘柄の株主優待も、優待目的の投資を行う投資家にとっては残念な、改悪や廃止などの変更があります。
しかし、日本フイルコンは株主優待廃止に伴い、配当利回りが大幅に上昇しており、配当目的の投資家にとっては嬉しい変更となっています。安定した高配当が期待できる銘柄として、ぜひ投資を検討してみてはいかがでしょうか。

