一帯一路サミットの現場から
10月17日から18日にかけて、北京で「一帯一路」国際協力サミットが開催されました。ロシアのプーチン大統領が出席するなど何かと話題になった大型会議。私はたまたま出張で北京にいましたが、街中は厳戒態勢が取られていました。交差点ごとに警察やボランティアと思しき交通整理スタッフが配備され、否が応でも緊張感が高まります。
私は同サミットの開幕2日前に北京入りしましたが、北京首都国際空港の付近の道路は大渋滞。恐らく要人到着などに伴う交通規制があったのでしょう。配車アプリを使って車は確保できたものの、駐車場の出口は大混雑。その後もノロノロ運転が続き、空港の敷地内を出るだけでも一苦労でした。普段は市中心部まで40分程度で着きますが、この日は1時間半もかかりました。
ホテルの入口には、空港の保安検査場でよく見られるゲート型金属探知機やX線手荷物検査装置が設けられていました。それらを通過した後は厳重なボディチェック。宿泊客も含め、ホテル利用客は一律このゲートを通らなければなりません。エントランス前の車寄せも閉鎖され、タクシーやバスに乗るためには一般道まで出なければならないという不便さもありました。乾燥して雨が少ない北京だから良かったものの、雨天時は大変そうです。
もっとも、これらの物々しさは重要会議が行われる際によくあること。「まぁこんなものか」と感じてしまうのも事実です。昨年まで行われていたゼロコロナ政策下ではスマホのアプリを使った行動規制もあったので、それと比べればまだマシな方でしょう。「今日はどうしてこんなに混んでいるんだ?」と憤っているタクシーの運転手に対し、なぜか私が「一帯一路サミットがあるから仕方ないですよ」となだめる一幕もありましたが……。
出前スタッフの影響も大
さて、中国では交通規制などで何かと時間がかかる、いや時間を大きくロスすることが多々あります。
だいぶ前の話で、2017年に北京から雄安新区に移動した時のこと。高速道路を使い車で2時間強の距離ですが、帰りは5時間もかかりました。その原因は検問所での3時間待ち。雄安新区は北京のお隣の河北省にあり、そこから行政境界を跨いで北京市に入る際に厳重な検問があったのです。重要な会議が行われるとのことで、「北京入り」の検査が厳しくなっていた時期です。
「この先検問あり」などの表示はありません。最初は何も分からずただの渋滞と思っていましたが、隣の車の人と「これは何かおかしいぞ」と話し、どうやら検問が行われていることに気付きました。すぐ終わるだろうと簡単に考えていると、そこから1時間、そして2時間が経過。しびれを切らして車から降り、ストレッチなどを始める人が続出しました。お腹が急に空いてきたのも思い出します。検問はパスポートやトランクをチェックされただけ。待ち時間3時間に対して検問はわずか3分。同行した中国通の方は「ふぅ。こんなことをやっているようじゃダメだよ」とさすがに嘆いていました。
また、昨今のマラソンブームを受け各地でマラソン大会が数多く開催されており、この影響で道路が一時封鎖されることもあります。ただ、事前通知があるにもかかわらず急な規制に戸惑う市民も多くいます。
昨年11月に行われた上海国際マラソン。私が住むマンションの近くでは「道路を横断できないバイク」の渋滞が見られました。一般市民に加え、工事現場に向かう労働者、宅配便、そしてワイマイ(フードデリバリー)のバイクで大混雑。朝7時頃の出来事ですが、早朝から出前を頼む市民が意外と多いことにも驚きました。出前スタッフはスマホを取り出し、「道路事情により時間通りに届けられないかもしれませんが……」と客に説明していました。デジタル社会の全盛期ですが、デリバリー自体はアナログ頼み。道路封鎖にはかないません。
中国では意外なことで予定が狂い、約束に遅れてしまうことがしばしばあります。そのため、時間に余裕を持たせた計画作りが肝要。一方、「道路が渋滞していまして……」という遅刻の言い訳が結構通じるのも中国ならではの寛容さです。