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中国現地Now!「映える」火鍋料理、極上の牛肉麺

「ガチ中華」という言葉をよく耳にするようになりました。中国に住む私も、ネット経由で日本における「ディープな中華料理のプチブーム」をチェックしています。巷では様々な定義があるようですが、いわゆる「和風中華」とは一線を画した、中国人シェアが作り中国人が普段から食べている本場の中華料理を指すことが多いようですね。いかにも本場らしい門構えや店内の派手な装飾も大きなポイントでしょうか。

 

時々、日本の知人から「本場のガチ中華はどのようなものですか?」と聞かれることがあります。中国で食べる料理は全てガチですよ……と答えたいところですが、それでは話が膨らみません。ここでは、現地で人気があり、日本人の口にも合う「ガチ中華」を紹介していきたいと思います。

 

まずは「映える」料理の代表格である火鍋。中国では広く鍋料理を指しますが、重慶火鍋などの激辛タイプが一番人気です。唐辛子や花椒(フアジャオ)、各種香辛料が入った真っ赤な鍋底(スープ)は見ているだけで汗をかいてきます。辛いのが苦手な人には、鶏がらやキノコで出汁を取ったあっさりスープもあるのでご心配なく。肝心の具材は、本場で人気の毛肚(センマイ)や鴨腸などモツ系を中心にチョイスしたいです。お店は、どの街でもよく見る定番の「海底撈(ハイディーラオ)」が入りやすいでしょう。モダンチャイニーズ風のインテリアが映える「譚鴨血」、若者層に人気の「湊湊」なども外せません。派生形でミニ火鍋風の麻辣湯(マーラータン)もありますが、このジャンルでは「楊国福」の一択となると思います。

 

お次は蘭州牛肉麺。その名の通り、甘粛省蘭州の名物料理です。モチモチの手打ち麺と牛肉を煮込んだコクのある透明なスープが特徴。ネギやパクチーをたっぷり入れ、ラー油で味を引き締めます。麺の太さは数種類から選べます。オススメは蘭州に本店を構える「馬子禄(マーズールー)牛肉面」。地元では朝食として食べられることも多く、1杯8元(約160円)というお手頃価格です。私も本店で食べたことがありますが、麺、スープ、具材が三位一体となったお椀に香ばしいラー油をかけて食べるのはこの上ない贅沢。「メンクイ」の方はリピート必至です。

 

一方、台湾では牛肉麺と言うと、煮込んだ牛肉と醤油ベースの濃いスープの「紅焼牛肉麺」が定番になります。即席麺最大手の康師傅(カンシーフ)でも売れ行きNo.1の味です。これを長距離列車の旅のお供にする人も多いです。

 

痺れる辛さでガチを味わう

 


もちろん麻婆豆腐も忘れてはいけません。四川料理の代表格で、本場の味は花椒がたっぷり入った痺れる辛さが特徴。発祥は四川省成都に本店を構える「陳麻婆豆腐」です。私は出張や旅行のたびにこの店を訪れ、ひたすら辛さと戦っています。小ぶりの土鍋で提供される麻婆豆腐を白飯と一緒に食べると、最上級の定食の出来上がり。このお店、東京や名古屋、大阪などにも支店があり、気軽に本場の味を楽しむことができるのは嬉しい限りです。

 

少々ディープですが、湖北省武漢の地元グルメ「周黒鴨(ジョウヘイヤー)」も挙げておきたいところ。看板商品はオリジナルの「ピリ辛アヒルの鹵菜(ルサイ=中華香辛料に漬けた惣菜)」。「鴨ボツ(ヤーボー)」という首肉をしゃぶりつくように食べるのですが、独特の風味や匂いも重なり、若干グロテスクに感じるかもしれません。中国では軽食やおつまみの代表的国民食。中国人の胃袋をがっちりつかんだB級グルメとでも言えるでしょうか。

 

このほかにも、おなじみの北京ダックや山東の水餃子、山西の刀削麺などから、新疆の羊肉串、広東のホウ仔飯(中華風釜飯)、福建の魚丸湯(魚のつみれスープ)など料理の数だけ「ガチ中華」があるでしょう。中華ワールドは大変奥深いですが、様々な料理を試しながら、自分なりのお気に入りを見つけていきたいものです。

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東洋証券株式会社 上海駐在員事務所 所長

奥山 要一郎

東洋証券株式会社 上海駐在員事務所 所長 上智大学外国語学部イスパニア語学科卒。通信社、コンサルティングファームを経て、2007年東洋証券入社。本社シニアストラテジストを務め、2015年より現職。中国現地で株式動向のウォッチや上場企業取材などを行い、中国株情報の発信・レポート執筆を手がける。

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