封鎖解除後の街に増えたモノは?
2カ月余りにわたる都市封鎖(ロックダウン)がひとまず終了した中国の上海。街に市民の姿が増えてきましたが、定期的なPCR検査義務や外食店の店内飲食禁止など様々な制約があり、活気が元通りになったとはまだ言えません。そんな中で都市封鎖後に目立ってきたものの一つに自転車があります。特にシェアサイクルの利用が増えているようです。
中国のシェアサイクル市場は2014年頃に産声を上げ、その後3年ほどで急成長しました。17年には全国のユーザーが2億人を超え、参入企業も一時80社ほどに膨らみました。最初の30分間は利用無料など赤字覚悟の大サービスも繰り広げられ、各社がユーザーの掘り起こしと獲得に躍起になっていたのを思い出します。
しかし、廃れるのもあっという間でした。17年頃には街に放置状態のシェアサイクルが溢れ始め、市場の需給バランスが完全に崩れました。違法駐車や故障車両も急増し、資金繰りに苦しくなった企業の倒産も続出。デポジットを返金しない悪徳業者も現れたほどです。今から思えば、各社ともまさに「自転車操業」状態だったのでしょう。
業界は大手3社に集約、車両故障にはご用心!
そんなシェアサイクル業界ですが、20年の新型コロナの感染拡大期に再注目されました。公共交通機関の「密」を避けるため、健康促進のためなど様々な理由がありましたが、街で自転車乗りの市民が増えた印象があります。
現在のユーザーは全国で約2億5000万人と言われ、市場はほぼ大手3社に集約されてきました。自転車のカラーで紹介すると、黄色の「美団単車」、緑色の「青橘単車」、青色の「ハロー出行」となります。上海でもこの3色の車両を至る所で見かけることができます。
利用時はスマホで車両上のQRコードを読み取り、開錠します。時々壊れている車両もあるので、事前にブレーキやペダル、サドルをチェックするのが大事。バイクなどと同じ扱いになるので、走行時は車道の二輪車専用レーンを走るのが基本です。交差点ではもちろん自動車用信号に従います。街中に駐車ポートはほぼないので、適切な場所で乗り捨てOK。ただ、駐車禁止場所もあるので、専用アプリ内の地図で確認するのがベターです。
料金は各社様々ですが、例えば美団単車は最初の15分で1.5元(約30円)となります。近所のチョイ乗り程度でしたら、この「初乗り料金」だけで済むのでお得感はあるでしょう。その後は15分ごとに1元プラスされます。使用後に施錠すると、アプリ内でキャッシュレス決済。前述の駐車禁止場所に停めると後日罰金が科されることもあります。
都市封鎖後の上海で復権しつつあるシェアサイクル。新型コロナの感染予防で密を避けるためなのか、封鎖時の鬱憤を晴らすために自転車で気持ちよく街巡りをしたいというムーブメントなのか。この動きが一時的なものなのかどうかはまだ分かりませんが、自転車全体への意識が高まっていることは確かなようです。より本格的なサイクリングブームが起き、周辺産業の波及が進むことも考えられ、今後の注目分野になっていきそうです。