今回解説していく通貨はトルコリラ円(try/jpy)です。昨年から続いていたもみ合い相場を下方向にブレイクし、足もとでは下値リスクが高まっています。次の下値目標である3.35円付近までの下落も視野に入れる必要がありそうです。
ファンダメンタルズ面では、トルコでインフレリスクが再燃しており、今後はインフレ動向に加えて中銀がインフレ見通しを修正するかどうかにも注目が集まりそうです。
今後のトルコリラ円の相場焦点:中銀のインフレ警戒姿勢がさらに高まる
まずはトルコの現在の金融政策状況を確認していきます。
トルコ中央銀行は2023年6月に金融引き締めを開始。2024年3月に政策金利を50.00%まで引き上げて、2024年12月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は37.00%です。
●トルコ中銀が4月に金利引き下げを決めた直近会合での声明文では
・インフレの上振れリスクに対して引き続き非常に注意を払っていることを改めて強調
・インフレ見通しの著しくかつ持続的な悪化が生じた場合には、金融政策スタンスが引き締められる
・金融政策の決定はインフレ見通しに焦点を当て、会合ごとに慎重に行われる
などの見解が示されました。
総じて中銀はインフレ警戒姿勢をさらに強めました。中東の地政学リスクを背景にエネルギー価格が高騰するなか、直近(4月)の消費者物価指数は前年比32.37%まで上昇し、再びインフレ懸念が広がりつつあります。中銀のインフレ見通しでは年末にかけてインフレ率が16%へ鈍化していくとされていますが、大手金融機関などはトルコのインフレ見通しを引き上げており、中銀の想定通りにインフレ鈍化が進むとの見方は後退しているようです。
今週は14日に中銀が四半期インフレ報告を公表する予定となっており、インフレ見通しを修正するかどうかも注目されそうです。
トルコリラ円相場の日足分析(1):直近安値を下抜けて、下値リスクが拡大
下図のチャートはトルコリラ円の日足チャートになります。

昨年6月から下げ基調も穏やかになり、しばらくは3.60円を挟んだ水準でのもみ合いとなっていましたが、足もとでは再び下値を探る動きに。4月末にはそれまでの過去最安値3.48円(チャート上の青色実線)を明確に下抜けてきました。
チャート下部に追加した「DMI」で確認しても-DI>+DI(下落トレンド)を示唆しているほか、トレンドの強さを示すADXも急上昇。現状ではさらなる下値リスクを警戒すべき局面にあると言えそうです。
トルコリラ円相場の日足分析(2):次の下値目標は3.35円付近に
今度はトルコリラ円の日足チャートから目先の上値・下値目処を探っていきましょう。

戻りの目処として意識されそうな水準は2月から3月にかけて何度か上値を抑えられた3.61円付近(チャート上の青色実線)。同水準を上抜けると日足分析(1)で示した3.60円を挟んだ水準でのもみ合い相場に回帰する可能性が高まります。
一方、下値は2月12日につけたそれまでの過去最安値(3.48円、チャート上の丸で囲った部分)から前述した3.61円までの上昇幅に対する倍返し水準(3.35円、チャート上の黄色実線)が目処になりそうです。
今後の取引材料・変動要因をチェック:日本・トルコともにインフレ懸念が広がる
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベントも確認しておきます。注目はトルコ中銀の金融政策。また、期間内には予定されていませんが、日銀は6月15-16日に金融政策公表が控えています。
両国ともに中東の地政学リスクによるインフレ懸念が広がっており、金融政策にも影響を与えるイベントとして消費者物価指数(CPI)の動向が注目されるでしょう。また、先月末から政府・日銀による為替介入が行われたことでドル円・クロス円が大きく崩れる場面があり、今後も引き続き注意が必要となります。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
5月14日 トルコ トルコ中銀、四半期インフレ報告書
5月22日 日本 4月全国消費者物価指数(CPI)
6月5日 トルコ 5月CPI
6月11日 トルコ トルコ中銀、金融政策会合





