中国株の銘柄選び

意外と身近にある中国株、ショピングモールで探してみた(1) ポップマートのロボショップ、沼にハマる人続出の「盲盒」とは?

中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。そんな場合は、身近にある上場企業に投資してみるというのも一つの手です。そこで今回は、意外と身近にある中国株というテーマで、身近にある中国株の銘柄を紹介したいと思います。日本でも意外と中国株銘柄の商品やサービスを探すことができます。今回はショッピングモールで中国株銘柄を探してみました。


ポップマートの巨大自販機「ロボショップ」


写真は越谷レイクタウンに設置されたロボショップ


今回、ショッピングモールの中で見つけたのは、ポップマート(POPMART/泡泡瑪特:09992)のロボショップです。「ロボショップ」と言うとカッコいい響きですが、巨大な自動販売機と考えてください。自販機大国の日本では最近いろいろなものが売られていますが、ポップマートの「ロボショップ」で取り扱うのは、デザイナーズトイです。


デザイナーズトイとは?


デザイナーズトイとは、アートトイとも呼ばれ、有名なデザイナーやアーティストによって制作されたキャラクターのトイフィギュアを指します。細部にまでこだわったクオリティーの高さやコレクション性、独特の世界観で人気を集めています。特に20-30代の若い世代を中心に人気があり、人気アーティストの限定商品やコラボ商品などレアなものは、コレクターの間で高値がついたりもします。


デザイナーズトイではレアな商品に高値がつくこともある


ポップマートもアジア圏を中心とした有名デザイナーと契約し、さまざまなオリジナル商品やコラボ商品を生み出しています。特に人気が高いのは、香港出身のデザイナー、ケニー・ウォン(王信明)さんが創作したキャラクターの「MOLLY(モリー)」。青い瞳にとがった唇が特徴の画家の少女という設定のキャラクターで、さまざまなシリーズが販売されています。


ポップマートの看板商品「MOLLY(モリー)」


このほか、中国出身の熊●(●は口へんに苗)さんが創作した「SKULLPANDA(スカルパンダ)」、同じく中国出身のAyan Dengさんの「DIMOO(ディムー)」、香港出身のプッキーの「PUCKY」なども人気のキャラクターです。


独特の雰囲気を持った「SKULLPANDA(スカルパンダ)」


実は日本人のデザイナーも活躍しています。2017年にフィギュアデザイナーの最高賞である「TOY OF THE YEAR」を受賞したINSTINCTOYの大久保博人さんが、ポップマートとのコラボ商品を次々と発表し、世界的にも注目を集めています。


MOLLYとINSTINCTOYのコラボ作品


ポップマートの販売手法、「盲盒」とは?


ポップマートのデザイナーズトイの特徴は、「盲盒(ブラインドボックス)」と呼ばれる販売手法にあります。商品は通常12個セットのシリーズになっていて、ロボショップで欲しい商品シリーズを選ぶと、その商品シリーズのうちの一つがランダムに出てきます。商品はタッチパネルで選びます。


タッチパネルで商品を選ぶ、支払いは現金不可


商品は中身の見えない箱「盲盒(ブラインドボックス)」に入っていて、箱を開けるまで何が入っているか分かりません。お目当ての商品が出てくる場合もあれば、すでに持っている商品と重複してしまう場合もあります。そういったリスクはありますが、箱を開けるときのドキドキ感がコレクターの購買意欲を刺激するようです。


お目当ての商品が出るまでチャレンジを続けてしまい、沼にハマる人も続出しているとか。販売手法は日本の「ガチャガチャ」そのものですが、1個の値段は通常1500円前後しますので、まさに「大人のガチャガチャ」です。


「盲盒」は箱の中身が分からない仕組み、デザインはシリーズごとに違う


ただし、実店舗やネットでは12個セットの「アソートボックス」と呼ばれる詰め合わせ商品を買うことができます。これを買えば重複することなく、シリーズの商品すべてを一度に集めることができるため、大人買いするコレクターも多いようです。駄菓子屋で当たり付きのお菓子を箱買いするようなイメージでしょうか。欲しい商品を確実にゲットすることができる半面、シリーズの商品すべての費用がかかるため、出費が2万円近くになってしまうというデメリットもあります。


12個セットで大人買いすると重複なくシリーズをそろえられる


購入した商品は、インテリアとして部屋に飾ったり、SNSで披露したり、交換するなどして、仲間と交流するアイテムとなっています。こうしたコミュニティーの存在が、さらなる購買意欲を刺激するという循環を形成しているようです。


海外にも積極的に進出、日本国内では直営店も展開


ポップマートは2022年末時点で中国国内に実店舗329店、ロボショップ2067台を展開するほか、海外市場にも積極的に進出しています。進出地域は、米国、英国、ニュージーランド、豪州、韓国、日本など23カ国・地域に及び、直営・フランチャイズで店舗網を拡大しています。


ポップマートのホームページによると、日本では若者文化の中心地・原宿に本店を構えるほか、東京(渋谷、池袋、新宿、お台場)、名古屋、大阪天王寺に直営店を置いています(23年7月時点)。このほか、トイラザらスやロフトの店舗内に売り場を設置しているケースもあります。


ポップマートの原宿本店


デザイナーズトイは趣味の分野になるので、人によって好き嫌いがはっきりと分かれそうですが、好きな人にとっては応援しがいのある企業といえるかもしれません。


まとめ:今回見つけた身近な中国株銘柄


今回見つけた身近な中国株銘柄はポップマート(09992)の1銘柄で、香港証券取引所に上場しています。


 【中国のデザイナーズトイ最大手】オリジナルキャラクターのフィギュアなどデザイナーズトイの企画、開発、販売を手掛ける。キャラクターのデザイナーと協力し、フィギュアのシリーズを企画して販売するのが主力事業。商品は中身の見えない箱に入っている場合が多く、コレクターの購買意欲を刺激する販売手法を採用する。「MOLLY(モリー)」や「SKULLPANDA(スカルパンダ)」「PUCKY(プッキー)」「DIMOO(ディムー)」などのキャラクターが人気を集めている。


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中国株情報部 部長兼編集長

池ヶ谷 典志

立命館大学卒業後、1997年に北京の首都経済貿易大学に留学。 北京では中国国有の大手新聞社などに勤務し、中国の政治、経済、社会記事などを幅広く執筆。 帰国後の2004年にT&Cトランスリンク(現DZHフィナンシャルリサーチ)入社。 現地での豊富な経験や人脈を生かして積極的に中国企業や政府機関などへの取材を行ない、中国企業の調査・分析を行なっている。

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