中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
中国株をこれから始めようとした場合、まずは銘柄選びの手掛かりが欲しいですよね。とはいえ、数多くの銘柄の中から自分で有望銘柄を見つけ出すのは大変です。そんなとき参考になるのが、巻末付録の「ランキング」です。
巻末のランキングは全部で19項目
「中国株二季報」では、巻末に掲載銘柄のランキングを掲載しています。掲載している項目は、「時価総額」「高ROE(株主資本利益率)」「高ROA(総資産利益率)」「低PER(株価収益率)」「低PBR(株価純資産倍率)」「高配当利回り」「業績増額修正」「業績減額修正」「増益率」「流動比率」「低負債比率」「株主資本比率」「A株格差」「年間上昇率」「年間下落率」「高額銘柄」「低額銘柄」「現金同等物」「粗利益率」の19項目です。
ランキングの対象は、香港証券取引所、上海証券取引所、深セン証券取引所に上場する銘柄のうち、「中国株二季報」に企業データを掲載している銘柄です。取引所に上場する全ての銘柄ではなく、掲載銘柄に絞っています(2024年春号では368銘柄)。
なぜ銘柄を絞っているかというと、もし中国株全銘柄を対象にしてしまうと、特殊要因で異常値の出た銘柄でランキングが埋まってしまい、ランキングの実用性が失われてしまうためです。「中国株二季報」は紙媒体であるため、限られた紙面でできる限り実用的に使えるように配慮しています。ランキングを活用することで、効率的に特徴のある銘柄を見つけることができるようになっています。
時価総額上位は中国株の代表的銘柄
それでは、具体的にランキングの項目を見ていきましょう。まずは時価総額ランキングです。時価総額とは、現在の株価を発行済み株式数で掛けて求められる上場株式の規模を表す指標です。時価総額が大きければ、それだけ企業が市場で高く評価されていることを示し、時価総額が低ければ、逆に企業があまり市場で評価されていないことを示します。
時価総額は、株価の値動きによって刻々と変化します。株価が上がると時価総額も大きくなり、逆に株価が下がると時価総額も小さくなります。時価総額は、市場が評価する企業の価値そのものを示し、誰かがその企業を買収しようとしたときに必要な金額とも言えます。
時価総額が大きければ、新たに株式を発行して企業を買収するなど事業を拡大しやすくなります。逆に時価総額が小さくなると、ほかの企業に買収されるリスクが高まります。
時価総額の大きな銘柄は、市場の代表的銘柄でもあるので、中国株ビギナーにとって「中国株二季報」の時価総額ランキングは、手っ取り早く中国株の代表的な銘柄を探すのに役立ちます。
時価総額は上場している市場における企業の評価額
なお、中国株の銘柄では、香港証券取引所と上海・深セン証券取引所といったように、複数の取引所に重複上場している銘柄があります。「中国株二季報」では、取引所のルールに従い、それぞれの取引所に上場している株式(香港証券取引所の場合はH株、上海・深セン証券取引所の場合はA株)の時価総額を表示するようにしています。
要するに、それぞれの取引所に上場する株式の時価総額という位置づけです。そのため、重複上場銘柄に関しては、企業そのものの評価額よりも小さめの数字となっているので注意が必要です。
例えば、中国の4大国有商業銀行(中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行)は、いずれも香港証券取引所でH株、上海証券取引所でA株が上場していますが、それぞれH株とA株の発行比率が違います。
この4行の時価総額を比較すると、H株の発行比率の高い中国建設銀行は、香港市場で最も時価総額が大きいものの、上海市場では時価総額が最低となっています。一方、業界3位の中国農業銀行は、A株の発行比率が高いため、A株の時価総額は最大手の中国工商銀行に次ぐ2位となっていますが、H株の時価総額は最低となっています。時価総額はあくまで「上場している取引所における企業の評価額」だと理解しておいてください。
なお、参考までに以下に「中国株二季報」2024年春号に掲載した2023年10月27日時点の時価総額のランキング上位銘柄を紹介しておきます。最新のランキングについては、中国株二季報のWEB版である「二季報WEB」などをご参照ください。