中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
中国株をこれから始めようとした場合、まずは銘柄選びの手掛かりが欲しいですよね。とはいえ、数多くの銘柄の中から自分で有望銘柄を見つけ出すのは大変です。そんなとき参考になるのが、巻末付録の「スクリーニング」です。今回はスクリーニングの中の「成長性」の活用法を紹介します。
3つの条件で「成長性」のある銘柄を抽出、銘柄選びが簡単に
株式投資で銘柄を探す際、お世話になるのが「スクリーニング」です。「スクリーニング(Screening)」とは「ふるい分け」を意味し、設定した条件に合致した銘柄を探し出すことです。例えば、業績のいい銘柄を探したい場合は、「純利益が○○元以上の銘柄」や「増益率○○%以上の銘柄」など、株価のパフォーマンスのよい銘柄を探したい場合は、「株価の上昇率が○○%以上の銘柄」といったように条件を設定し、その条件を満たした銘柄だけを抽出します。これによって、目的の銘柄を簡単に探すことができます。
「中国株二季報」には、全部で数百に上る銘柄が掲載されていますが、一つ一つの銘柄をじっくり見ていても、なかなか目的の銘柄は見つかりません。そのため、「中国株二季報」では、「割安株」「成長性」「安定性」といった投資目的に合わせて代表的な指標を設定し、スクリーニングした結果を掲載しています。
「成長性」については、「予想増益率」「予想増収率」「予想配当性向」という3つの指標をスクリーニングに使っています。予想増益率は、前期の純利益に対して今期の予想純利益がどれだけ伸びているかを示した指標です。「中国株二季報」ではファクトセット社のコンセンサス予想を採用しています。増益率が大きければ基本的には成長性が高いと判断することができます。予想増収率は、前期の売上高に対して今期の予想売上高がどれだけ伸びているかを示した指標です。増益率の方は、前年の数値が小さかったりすると大きくブレることもありますが、増収率の方は通常の業種であれば大きくブレることは少ないので、増益率と増収率の両方の指標を使って判断すると、イレギュラーなケースを除くことができます。
予想配当性向については、予想純利益に対する予想配当額の割合を示した指標で、利益のうちどの程度を配当として投資家に分配しているかを示したものです。具体的には、1株当たりで考え、1株当たり予想配当金(DPS)÷1株当たり予想純利益(EPS)で算出します。配当性向が高いということは企業が株主に利益の多くを還元していることを意味しますが、逆に配当性向が低い場合、企業が利益の多くを株主還元ではなく、成長のために再投資していると考えることができます。そのため、配当性向が低いということは、株主還元よりも成長投資を重視している企業であり、成長ステージにある企業であると判断することができます。
「中国株二季報」のスクリーニング「成長性」では、この3つの指標を使って総合的に銘柄を抽出しています。
成長性のある銘柄は株価が上昇しやすい傾向に
実際に「成長性」のスクリーニング結果を、「中国株二季報」2024年夏秋号で見てみます。下記の表は「予想増益率」「予想増収率」「予想配当性向」という3つのスクリーニング条件のうち、「予想増益率」の高い順で並び替えしてあります。条件の数値は毎回微妙に異なりますが、2024年夏秋号では予想増益率「20%以上」、予想増収率「10%以上」、予想配当性向「50%以下」でスクリーニングし、45銘柄が掲載されるように調整しています。
業種を見るとかなり分散しており、特にどの業種に集中しているといった傾向は見られません。2024年夏秋号では業種ごとの要因は小さいようです。
1位の欧菲光集団(002456)はスマホ・自動車用光学部品の大手メーカーで、深セン証券取引所にA株を上場している銘柄です。予想増益率が662.3%と非常に大きくなっていますが、予想増収率は15.9%と大きな開きがあります。何か特殊要因がありそうなので、個別銘柄のページを確認してみます。
業績を見ると、2023年12月本決算は、4年ぶりの黒字転換で黒字額が7700万元と非常に小さかったことが分かります。そのため、2024年12月本決算の予想増益率が大きくなっていたのです。ただ、次の2025年12月本決算でも43%の増益が見込まれていますので、業績の改善がしばらく続くと予想されています。こうした銘柄は株価も上昇しやすく、欧菲光集団の株価も直近1年間で昇率が68.3%に達しています。
出所:中国株二季報2024年夏秋号
もちろん成長性の高い銘柄の株価がすべて上昇するわけではありませんが、スクリーニングを使って気になる銘柄が見つかったら、個別銘柄のページで業績や株価、各種指標をじっくりと確認してみてください。スクリーニング結果から意外な掘り出し物が出てくるかもしれません。