中国株の銘柄選び

二季報を使った銘柄選び(4) 証券会社の「注目銘柄ランキング」を参考にする

中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。


▼参考

中国株二季報の最新号はこちら


中国株をこれから始めようとした場合、まずは銘柄選びの手掛かりが欲しいですよね。とはいえ、数多くの銘柄の中から自分で有望銘柄を見つけ出すのは大変です。そんなとき参考になるのが、巻頭特集の「証券会社が選ぶ!注目銘柄ランキング」(以下、「注目銘柄ランキング」)です。


「注目銘柄ランキング」とは?


「注目銘柄ランキング」は、中国株を取り扱っている日本の証券会社が注目している中国株銘柄のランキングです。具体的には、日本の証券会社の中国株担当者に翌年の注目銘柄を複数挙げてもらい、注目度の高い順から得点(上位1位=5点、2位=4点、3位=3点、4位=2点、5位=1点、その他=0.5点)を付けてランキングしたものです。

「注目銘柄ランキング」は毎年「春号」に掲載


「注目銘柄ランキング」は毎年12月に発売される「春号」に掲載。アンケートは毎年10月中旬から下旬にかけて実施しているので、その時以降の状況の変化は反映されていません。1銘柄に人気が集中する年もあれば、人気が分散する年もありますが、まずはこの「注目銘柄ランキング」で、どんな銘柄が人気なのかチェックしてみましょう。中国株を常にウオッチしている証券会社のプロが、どんな視点で銘柄を選んでいるのか参考になると思います。中国株を始めたばかりの人にとっては、最も手っ取り早く銘柄を見つけることのできる手段かもしれません。


注目ポイントに納得できた銘柄に投資する


とはいえ、無条件にランキング1位の銘柄を買うのはオススメできません。ランキングが1位だからと言って必ずしも株価が上昇するとは限りませんし、もしかしたら大きく株価が下がってしまうことがあるかもしれません。「注目銘柄ランキング」では、証券会社がどのような理由でその銘柄を選んだのか「注目ポイント」が書かれているので、まずは読んでみてください。証券会社の担当者は、その銘柄自身の成長性や安定性だけでなく、マクロ経済の動向や当局の政策動向など、さまざまな要因を踏まえて銘柄を選んでいます。選んだ理由を読んでピンとこないようであれば見送り、納得できるようであれば投資候補のリストに入れるなどして銘柄を絞っていくとよいでしょう。


注目銘柄ランキングのサンプル



ランキング下位の銘柄にも発見が!?


ランキング下位の銘柄は、ほとんどの場合、証券会社1社もしくは2社が注目銘柄として挙げた銘柄です。しかし、ランキングが下位だからと言って侮ってはいけません。「注目銘柄ランキング」では、「まだまだある!名前の挙がった注目銘柄」として、証券会社のコメントとともに複数の銘柄を紹介しています。ここには、決して多くの人が注目しているわけではないものの、大きな可能性を秘めた銘柄が埋もれている可能性があります。証券会社の担当者がどんな点に注目して選んだのか、ここでも「注目ポイント」をじっくり読んでみましょう。


 

ランキング下位の銘柄も「注目ポイント」をチェック


注目セクターと相場予想も参考に


「注目銘柄ランキング」では、銘柄のランキング以外にも翌年の「注目セクター」に関するアンケート結果を掲載しています。「有望」との回答のあったセクターを1点として合計したものです。証券会社の担当者がどのセクターを有望と考えているのかは、銘柄選びをする上でもきっと参考になるはずです。


 

そして、最後にもう一つ、「注目銘柄ランキング」では翌年の「相場予想」についても掲載しています。こちらは、香港のハンセン指数と本土の上海総合指数の年末目標値を挙げてもらい、その分布をまとめたものです。証券会社の担当者が翌年の相場を強気に見ているのか、それとも弱気に見ているのか?中国株に投資するに当たっての目安になると思います。こちらも合わせて参考にしてみてください。


さて、2024年相場は最終的にどうなるのか?みなさんも予想してみください。

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中国株情報部 部長兼編集長

池ヶ谷 典志

立命館大学卒業後、1997年に北京の首都経済貿易大学に留学。 北京では中国国有の大手新聞社などに勤務し、中国の政治、経済、社会記事などを幅広く執筆。 帰国後の2004年にT&Cトランスリンク(現DZHフィナンシャルリサーチ)入社。 現地での豊富な経験や人脈を生かして積極的に中国企業や政府機関などへの取材を行ない、中国企業の調査・分析を行なっている。

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