中国株の銘柄選び

意外と身近にある中国株、街中の飲食店を探してみた(3) お米を使ったライスヌードル「米線」の「譚仔三哥」

中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。そんな場合は、身近にある上場企業に投資してみるというのも一つの手です。そこで今回は、意外と身近にある中国株というテーマで、身近にある中国株の銘柄を紹介したいと思います。日本でも意外と中国株銘柄の商品やサービスを探すことができます。今回も街中の飲食店で中国株銘柄を探してみました。


「米線」料理を提供する譚仔、日本では3店舗を運営


写真は譚仔三哥の新宿中央通り店


今回はお米を使ったライスヌードル「米線(ミーシェン)」を提供するレストラン「譚仔三哥(タムジャイサムゴー)」をチェーン展開する譚仔国際(タムジャイ・インターナショナル:02217)です。日本では、東京の新宿、恵比寿、吉祥寺の3店舗で「譚仔三哥」を運営しています(2023年3月末時点)。東京にしか店舗がないので、実際に行ったことがあるという方は少ないかもしれません。

 

日本の3店舗はすべて東京 出所:譚仔三哥ホームページ


そもそも米線(ミーシェン)とは?


「米線」というのは、中国の雲南省が発祥とされるライスヌードルの一種で、お米と水だけでつくられた麺料理です。日本でライスヌードルといえば「ビーフン(米粉)」が思い浮かびますが、「米線」はビーフンよりも麺が太めで、一般的に乾麺であるビーフンとは違って生麺で売られることが多いようです。


日本ではあまり馴染みのない「米線」ですが、もちもちとした食感が特徴で、雲南省では地域によってさまざまな米線料理が食べられ、日常食として親しまれています。「米線」などのライスヌードルは、グルテン(麩質)や添加剤を含まない料理として健康面からも注目を集めています。


出所:譚仔三哥のホームページ


1996年に香港に1号店、ミシュランの「ビブグルマン」も獲得


譚仔国際は、そのライスヌードルの「米線」と、オリジナルスープを使ったスパイスヌードルの店舗を「譚仔雲南」と「譚仔三哥」の2ブランドで展開。香港で1996年に「譚仔雲南」の1号店を開くと、たちまち若年層を中心に人気を集めます。


その後、2008年に「譚仔三哥」ブランドの1号店も香港にオープン。2011-13年にかけては、ミシュランガイドの「ビブグルマン(手ごろな値段で良質な食事ができるお店)」を3年連続で獲得。店舗数は2017年に100店舗を超えます。

 


2018年にトリドールが買収、出店を加速


2018年に「丸亀製麺」などを展開するトリドールホールディングス(東証プライム:3397)が買収。トリドール傘下に入り、店舗出店を加速します。


2020年にシンガポールに海外1号店をオープンすると、2021年には中国市場にも進出。2022年3月には日本での1号店となる新宿中央通り店を出店すると、4月には吉祥寺と恵比寿に新店舗をオープンします。


ちなみに、このリポートが掲載される3月31日は、ちょうど日本1号店である新宿中央通り店の開店1周年記念日にあたります。2022年9月末時点で2ブランドの店舗数は国内外合わせて208店。買収時には100店舗ほどだったので、約4年半でほぼ2倍の規模に拡大したことになります。

 


自分好みのカスタマイズが特徴、組み合わせは140万通り!?



今回訪問したのは日本進出1号店の新宿中央通り店。店内は香港っぽい内装で統一され、メニューにも中国語が併記されています。タムジャイのメニューの特徴は、自分好みにカスタマイズができることで、まずは好みのスープを選び、その後に辛さやトッピングの具材を自由に選ぶと140万通りの組み合わせがあるそうです。これだけ組み合わせがあると、自分だけのオリジナルが楽しめそうです。初めての人向けに定番の組み合わせやスタッフおすすめのメニューも紹介してくれています。


出所:譚仔三哥のホームページ


スープは、麻辣(マーラー)、番茄湯(トマト)、清湯(クリアスープ)、胡辣(ウーラー)、酸辣(サンラー)、三哥酸辣(サムゴーサンラー)の6種類。辛さはレベル1の「不辣(Non Spicy)」からレベル10の「特辣(Hell Fire)」までの10段階から選べます。


スープの一番人気は麻辣(マーラー)とのことですが、辛いのが苦手な筆者は、辛くない「清湯」を選びました。「清湯」を選ぶと辛さは自動的に辛さレベル1の「不辣(Non Spicy)」になります。ちなみに初心者には辛さレベル2の「10小辣(Low)」がおすすめとのことです。地元の香港では、辛さレベル2の「10小辣(Low)」とレベル3の「5小辣(Mild)」が人気のようです。



トッピングは、野菜、肉、海鮮など20種類以上の具材が用意されています。このほか、お店の案内によると、サイドメニューのイチオシは、門外不出のレシピで配合したスパイスで味付けした手羽中の「トーフェイ・チキン(土匪鶏翼)」。直訳すると土着匪賊(ひぞく)の手羽。なにやら物騒なネーミングですが、香港で商標登録をしているほどの人気商品とのことです。


ドリンクでは、濃厚な香港ミルクティーや、コーヒーと紅茶を1対1で合わせた「鴛鴦茶(えんおうちゃ)」などが用意されています。香港の定番ドリンクを飲んで、ちょっとした香港旅行気分を味わえそうですね。




まとめ:今回見つけた身近な中国株銘柄


今回見つけた身近な中国株銘柄は、譚仔国際(02217)で香港証券取引所に上場している銘柄です。

【香港の米線料理チェーン】香港を中心にお米を使ったライスヌードル「米線」のチェーン店を展開する。雲南省をルーツとするライスヌードルの「米線」とオリジナルスープを使ったスパイスヌードルを提供。「譚仔雲南米線」と「譚仔三哥米線」のブランドで店舗を直営し、22年9月末時点で208店舗を運営。香港以外では中国、シンガポール、日本にも出店する。18年に買収を通じてチェーンを傘下に収めた日本のトリドールホールディングスが親会社。


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中国株情報部 部長兼編集長

池ヶ谷 典志

立命館大学卒業後、1997年に北京の首都経済貿易大学に留学。 北京では中国国有の大手新聞社などに勤務し、中国の政治、経済、社会記事などを幅広く執筆。 帰国後の2004年にT&Cトランスリンク(現DZHフィナンシャルリサーチ)入社。 現地での豊富な経験や人脈を生かして積極的に中国企業や政府機関などへの取材を行ない、中国企業の調査・分析を行なっている。

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