中国株の銘柄選び

意外と身近にある中国株、街中で探してみた(1) シャングリラ・アジア、東京駅に隣接する「理想郷」

中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。そんな場合は、身近にある上場企業に投資してみるというのも一つの手です。そこで今回は、意外と身近にある中国株というテーマで、身近にある中国株の銘柄を紹介したいと思います。日本でも意外と中国株銘柄の商品やサービスを探すことができます。今回は街中で中国株銘柄を探してみました。


シャングリラ・アジアが展開するラグジュアリーホテル


今回、街中で見つけたのはシャングリラ・アジア(香格里拉(亜洲):00069)が展開する高級ホテル、シャングリラ東京です。シャングリラ東京は、東京駅に隣接した37階建ての複合ビル、丸の内トラストタワー本館の上部11フロア(27-37階)に位置するホテルで、客室数は全部で200室。2009年3月に開業しました。


東京駅に隣接する抜群のロケーション


東京駅のすぐ隣なのでアクセスは最高で、観光やビジネスにも最適な立地と言えます。銀座にもほど近く、買い物にもとても便利な場所です。ただ、複合ビルの上層に入居した形なので、もしかしたらホテルの存在に気づかずに通り過ぎていたという人も多いかもしれません。


公式サイトを見ると、スタンダードの「デラックスルーム」で1泊平均約12万円からという料金設定。客室面積は50平方メートルあり、高層階に位置するため、窓からは東京の街並みを一望することができます。ちなみに、アメニティはフランスの自然派コスメブランド、ロクシタン(00973)のものが使われています。


写真はデラックスルーム 出所:シャングリラ東京


そして、ホテルの最上階にあたる37階には「ホライゾンクラブ」の客室とスイートルーム、そして、その宿泊客が利用できる「ホライゾンラウンジ」があります。最高級「プレジデンシャルスイート」は「世界のトップ101スイート」にも選ばれた高級感あふれた空間。客室面積は269平方メートルと相当広いです。天井も6メートル超と高く、2フロア吹き抜けになっています。


大理石を基調としたリビングにダイニング、キッチン、そしてプライベートジムまであります。晴れていれば窓から富士山を眺めることもできるそうです。客室料は公表されておらず、電話やメールでの問い合わせになっていますが、1泊少なくとも250万円以上になるそうです。


写真はプレジデンシャルスイート 出所:シャングリラ東京


公式サイトではルームツアーも見ることができます。こちら


京都・二条城北側に日本2軒目のホテルを建設


なお、日本では2軒目となるシャングリラホテルの建設計画が、京都の二条城北側で着々と進められています。地下1階・地上4階建てで、客室数は77室を予定。2025年の開業を目指しているとのことです。壁材やカーテンなどに西陣織、レストランや客室の食器に清水焼を使ったりと京都の伝統工芸品を活用し、ゲストに京和傘の貸し出しも計画しているとのこと。シャングリラ・アジアの保有権益は20%だけですが、完成が楽しみですね。


シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画 出所:京都市情報館


「アジアの砂糖王」が1971年に創業


シャングリラはマレーシアの実業家、ロバート・クオック(郭鶴年)氏が1971年に創業。クオック氏はマレーシア生まれの華人で、父親は中国福建省出身の移民です。クオック氏は製糖業で財を成し、その後、不動産やホテル、運輸、メディアなどの事業にも進出。「アジアの砂糖王」とも呼ばれ、一代でマレーシア最大の財閥を築きました。マレーシアやシンガポールでクオックグループ、香港でケリーグループなどの持ち株会社を設立し、各事業を統括しています。


シャングリラ・アジアの各ホテル 出所:同社決算報告書


シャングリラは1971年にシンガポールで最初のホテルを開業。その後、1977年に香港、1984年に中国にも進出し、2022年末時点で運営するホテルはアジアを中心に83軒(客室数は3万5100室)に上ります。これとは別に管理サービスのみを提供するホテルも22軒(同7300室)あります。ホテルは客層や利用目的に合わせて「シャングリラホテル」「ケリーホテル」「トレーダーズホテル」「ホテルジェン」の4つのブランドを展開。主力のシャングリラホテルは、ビジネス客・リゾート客を対象とした最高級のラグジュアリーホテルとなっています。


このほかにも豪州、欧州、アフリカ、北米など各地で事業を展開する 出所:同社決算報告書


ちなみに、シャングリラという名前は、英国の作家ジェームズ・ヒルトンが1933年に発表した小説「失われた地平線(Lost Horizon)」に登場するチベット山間の地名から付けられました。そこは時間がゆっくりと流れ、不老長寿の人々が住むという理想の楽園です。シャングリラホテルが目指すのは、ゆったりとリラックスのできる理想郷「シャングリラ」のようなおもてなしの提供なのです。


「シャングリラ」のブランド名は小説「失われた地平線」から名付けられた


なお、創業者のクオック氏は1923年生まれで、今年10月には100歳を迎えます。すでにグループの経営は自身の子息などが継いでいますが、クオック氏自身がシャングリラの住人のように長生きをしています。


まとめ:今回見つけた身近な中国株銘柄


今回見つけた身近な中国株銘柄はシャングリラ・アジア(00069)の1銘柄で、香港証券取引所に上場しています。


【ラグジュアリーホテルチェーン】アジアを中心に「シャングリラホテル」「ホテルジェン」「ケリーホテル」などを展開する。権益保有と契約を通じて運営するホテルは22年末時点で83軒(客室総数3万5100室)。マネジメントサービスのみ提供するホテルは22軒。北京や上海を中心にオフィス、サービスアパートの賃貸も手掛ける。ホテル事業の売上比率は中国本土が34%で、ほかにシンガポール16%、香港12%、フィリピン、マレーシア、豪州各6%、英国4%(22年12月期)。

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中国株情報部 部長兼編集長

池ヶ谷 典志

立命館大学卒業後、1997年に北京の首都経済貿易大学に留学。 北京では中国国有の大手新聞社などに勤務し、中国の政治、経済、社会記事などを幅広く執筆。 帰国後の2004年にT&Cトランスリンク(現DZHフィナンシャルリサーチ)入社。 現地での豊富な経験や人脈を生かして積極的に中国企業や政府機関などへの取材を行ない、中国企業の調査・分析を行なっている。

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