中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
個別銘柄の最下部には住所やURLなどの基本データを掲載
中国株二季報の個別銘柄ページでは、ページの最上部と最下部に基本データを掲載しています。最上部については前回第31回で紹介しました。今回は最下部について説明します。
出所:中国株二季報2025年春号
個別銘柄ページ最下部では、(1)住所(2)電話番号(3)URL(4)役員(5)上場年月(6)決算期(7)従業員数――といった各基本情報を掲載しています。銘柄によっては、(8)備考が加えられている場合もあります。
(1)の住所は会社の本社所在地もしくは登記地です。香港市場は基本的に本社所在地を記載していますが、本土市場のA株は登記地を記載しています。香港市場に上場している銘柄は、ケイマン諸島やバージン諸島といった、いわゆるタックスヘイブン(租税回避地)に登記しているケースが多く、実態を表していないためです。純粋な外国企業の場合は海外の会社所在地を記載しています。
例えば中国のインターネットサービス大手、テンセント(00700)の場合、登記地であるケイマン諸島、本社所在地である深セン市、上場する香港の営業地である香港湾仔(ワンチャイ)3つの住所が記載されていますが、この中で最も実態を反映している深セン市を住所として記載しています。
出所:テンセント決算報告書
住所が香港になっている場合は、香港の地場企業であるケースが多いのですが、中には中国政府系資本で登記地が香港になっているレッドチップ銘柄の場合もあります。政府系投資持ち株会社の中国中信(00267)やPC世界最大手のレノボグループ(00992)などが代表例です。
出所:中国株二季報2025年春号
中国株二季報に掲載している銘柄の住所を集計してみると、最も多いのは香港の106社(全体の30%)、次いで北京市の77社(同22%)、深センを含む広東省の44社(同12%)、上海市の37社(同10%)となっています。広東省は工場が多く製造業が集積しているほか、「中国のシリコンバレー」とも呼ばれる深センには、多くのIT企業が集まってきています。
(2)の電話番号については基本的に代表電話を記載していますが、代表番号を公表していない場合は投資家向け広報(IR)の電話番号を掲載している場合もあります。A株について決算報告書記載の董事会秘書(取締役会秘書)の電話番号を使っています。最近では決算報告書やホームページで電話番号を公表していない企業もあり、その場合は「―」としてあります。なお、国際電話の国番号は中国が「86」、香港が「852」となっています。
会社のウェブサイトは確認しておこう
(3)のURLは決算報告書に記載されている会社ウェブサイトのアドレスです。上場企業であれば通常会社のウェブサイトがありますが、IR会社が用意したウェブサイトを利用している会社があったり、更新が数年前から止まっているような会社があったりします。
一方で情報開示を頻繁に行い、写真や映像で自社の製品やサービスを丁寧に紹介している企業もあり、ウェブサイトを見るとその会社の特徴がよく見えてきます。会社のウェブサイトは投資する前に一度は目を通しておくといいでしょう。ウェブサイトを見ても情報がほとんどなく、更新もしていない、何をやっている会社か分からない、といった銘柄については投資を考え直した方がいいかもしれません。
出所:テンセントの会社ウェブサイト