中国株の銘柄選び

意外と身近にある中国株、ドンキの店内で探してみた(1) 小米のスマートバンド、TCLのテレビ、ANKERのスマホアクセサリー

中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。そんな場合は、身近にある上場企業に投資してみるというのも一つの手です。そこで今回は、意外と身近にある中国株というテーマで、身近にある中国株の銘柄を紹介したいと思います。日本でも意外と中国株銘柄の商品やサービスを探すことができます。今回は売り場面積が広く、品揃えの豊富なファミリー型ディスカウントストア「MEGAドン・キホーテ」の店内で中国株銘柄を探してみました。


小米集団のスマートバンド



広い店内でまず目に止まったのは小米集団(シャオミ:01810)のスマートバンド「Mi Smart Band6」です。小米集団は2010年創業、2018年上場のスマホメーカーで、2022年のスマホ世界シェアはサムスン、アップルに次ぐ3位。銘柄コードの「1810」は、上場年の下二桁と創業年の下二桁を組み合わせた数字です。


スマートバンド市場での世界シェアはアップルに次ぐ2位(2022年、カナリス調べ)。日本でも家電量販店を中心に小米のスマートバンドはよく見かけます。


日本市場への進出は2019年で、日本語版ホームページを見ると、スマホやスマートスピーカー、ワイヤレスイヤホン、空気清浄機、体組成計など、さまざまな機器が売られています。特徴はほとんどの機器がネットにつながるIoT機器だということで、スマホを軸とした「IoTエコシステム」を構築して成長している企業です。2021年には電気自動車(EV)事業への参入も発表。競争の激しいEV市場では後発組になりますが、果たして勝算はあるのか、気になるところです。


TCLエレクトロニクスのテレビ



次に目にとまったのはTCLエレクトロニクス(TCL電子控股:01070)のテレビです。TCLは1981年に広東省恵州で創業した大手家電メーカーで、テレビやスマート家電の製造・販売が主力事業です。TCLが得意とするテレビの世界シェアは、2022年に韓国のサムスン、中国のハイセンスに次ぐ3位となっています。


ちなみに写真のこの商品は、ドン・キホーテとTCLの共同開発で、4Kチューナーを除くことで価格を安く抑えたテレビです。ドン・キホーテといえば、NHKが映らない「チューナーレステレビ」で話題になりましたが、この商品は、地デジチューナー自体は搭載しているため地上波放送を視聴することができ、4K放送だけが視聴できないタイプです。これはこれで需要がありそうです。


ANKERのスマホアクセサリー

 


次に見つけたのは安克創新科技(アンカー・イノベーション・テクノロジー:300866)です。広東省深センを拠点に「ANKER」「Soundcore」「eufy」「Nebula」などのブランドを展開し、モバイルバッテリーやポータブル電源、イヤホン、スピーカー、プロジェクター、3Dプリンターなどを製造している会社です。グーグル出身のエンジニアだった陽萌(スティーブン・ヤン)氏が2011年に設立。AmazonなどのECサイトを通じ、世界100カ国以上で製品を販売しています。最近では日本で「ANKER」の店舗を見かけることも多くなりました。


ただ、残念なことに、安克創新科技は深セン証券取引所のベンチャー企業向け市場「創業板(ChiNext Market)」に上場する企業なので、日本の個人投資家は直接投資することはできません。いずれ海外の個人投資家にも投資が解禁される日を待ちましょう。


まとめ:今回見つけた身近な中国株銘柄


今回見つけた身近な中国株銘柄は次の3銘柄で、このうち小米集団(01810)とTCLエレクトロニクス(01070)は香港証券取引所、安克創新科技(300866)は深セン証券取引所創業板に上場しています。

 

【中国のスマホ大手】議決権が多い種類株を発行する企業の香港上場第1号。雷軍会長が立ち上げたスマホメーカーで、22年4-6月期の世界シェアは13.8%で3位(カナリス調べ)。中国のほかインドや欧州でシェア上位にある。IoT製品部門ではスマートテレビ、空気清浄機、AIスピーカー、ロボット掃除機などを開発。ネットサービスでは音楽・映像・ゲーム配信のアプリを通じ広告収入や課金収入を得る。21年、EV事業への参入を発表。


【テレビの世界的大手】中国の家電大手、TCL集団の傘下企業。テレビの研究開発、製造、販売を一貫して手掛ける。主力ブランドは「TCL」。同ブランドの世界テレビ市場シェアは11.5%で3位(21年通期、群智諮詢調べ)。親会社が韓国サムスン電子と合弁事業を通じ液晶パネルを製造するなど、グループ内で垂直統合型の生産体制を保有する。近年は傘下の深セン市雷鳥網絡科技を通じてインターネットテレビ事業を強化。

 

【深セン拠点のモバイル用バッテリー大手】グーグルでエンジニアだった陽萌氏が11年に深センで創業。モバイルバッテリーの「ANKER」、オーディオの「Soundcore」、スマートホームの「Eufy」、 プロジェクターの「Nebula」など複数ブランドを展開。Amazonをはじめとする各国のECサイトを通じて販売を伸ばし、日米欧を中心に世界100カ国以上で事業を展開する。


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中国株情報部 部長兼編集長

池ヶ谷 典志

立命館大学卒業後、1997年に北京の首都経済貿易大学に留学。 北京では中国国有の大手新聞社などに勤務し、中国の政治、経済、社会記事などを幅広く執筆。 帰国後の2004年にT&Cトランスリンク(現DZHフィナンシャルリサーチ)入社。 現地での豊富な経験や人脈を生かして積極的に中国企業や政府機関などへの取材を行ない、中国企業の調査・分析を行なっている。

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