中国株の銘柄選び

二季報を使った銘柄選び(27) 個別銘柄ページの構成を知って二季報を使いこなそう

中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。


▼参考

中国株二季報の最新号はこちら


個別銘柄のページで銘柄情報をチェック


今回紹介するのは、個別銘柄の紹介ページです。個別銘柄のページは、基本的に1銘柄1ページで作成していますが、1ページ版で紹介できなかった銘柄を「プラス銘柄」として1/3ページ版で掲載。そこにも掲載できなかった銘柄を掲載しています。


出所:中国株二季報2025年春号


2025年春号では、1ページ版で香港の証券取引所に上場する香港銘柄のうち311銘柄、本土の証券取引所(上海証券取引所と深セン証券取引所)に上場するA株銘柄のうち45銘柄掲載しています。


個別銘柄ページは10ブロックに情報を凝縮


個別銘柄ページは、香港銘柄、本土A株を銘柄コード順に並べてあります。銘柄名からも探すことはできますが、銘柄コードを覚えておくと便利です。銘柄情報については、「企業概要」、「決算動向」、「最近の動向」といった文章部分に加え、(1)基本データ(2)株価情報(3)指標(4)財務(5)キャッシュフロー(6)株式(7)主要株主(8)子会社・関連会社(9)売上・利益構成(10)業績――の10ブロックに分けて掲載。投資するに当たって必要な情報をギュッと1ページに詰め込んでいます。


出所:中国株二季報2025年春号


中国株二季報を編集・制作するに当たり、編集スタッフが最も労力をかけているのは、「企業概要」「決算寸評」「最近の動向」の文章部分です。「企業概要」ではその会社がどのような事業を行っているのかを紹介。「決算寸評」は対象の決算期(期末決算もしくは中間決算)の業績を損益計算書(PL)中心に記し、「最近の動向」では最近の動きや今後の計画・見通しなどを紹介しています。特に中国株は日本人にとって馴染みの薄い銘柄も多いため、どのような会社であるかを紹介する「企業概要」がやや厚めになっています。


(1)の「基本データ」は会社の住所や電話番号、会社URL、役員名、上場年月、決算期、従業員数といった基本情報を掲載。(2)の「株価情報」では期間約1年半の週足チャートや過去5年の高値・安値、取引単位や時価総額、A株を発行している銘柄はA株の株価とA株との価格差を載せています。(3)の「指標」では各指標を「収益性」「成長性」「安定性」の3つに分類し、自分の投資スタイルに合わせて指標を選べるようになっています。(4)の「財務」はバランスシート(BS)で企業の安全性を判断することができ、(5)の「キャッシュフロー」では売り上げや利益だけでは分からない企業のお金の流れを知ることができます。


(6)の「株式」では企業が発行している株式の総数やその内訳(H株やA株)を知ることができ、(7)の「主要株主」では誰が会社の株式を保有しているのを確認できます。特に中国株では国有企業なのか、民営企業なのかで特徴が大きく違ってくるので重要な情報です。(8)の「子会社・関連会社」では主要な子会社などを掲載。中国でも親子上場は一般的なので、子会社や関連会社に上場企業があれば優先的に掲載しています。


(9)の「売上・利益構成」では売上高・利益のうちどのセグメントが伸びているのか、逆に調子が悪いのかを確認できます。(10)の「業績」では過去の業績と予想、配当や分割などの情報を知ることができます。売上高や利益が順調に伸びている企業、業績が急回復している企業、毎年増配している企業などが投資対象として有望といえるでしょう。


ぜひ中国株二季報を使いこなして有望銘柄を探してみてください。

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中国株情報部 部長兼編集長

池ヶ谷 典志

立命館大学卒業後、1997年に北京の首都経済貿易大学に留学。 北京では中国国有の大手新聞社などに勤務し、中国の政治、経済、社会記事などを幅広く執筆。 帰国後の2004年にT&Cトランスリンク(現DZHフィナンシャルリサーチ)入社。 現地での豊富な経験や人脈を生かして積極的に中国企業や政府機関などへの取材を行ない、中国企業の調査・分析を行なっている。

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