中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
中国株をこれから始めようとした場合、まずは銘柄選びの手掛かりが欲しいですよね。とはいえ、数多くの銘柄の中から自分で有望銘柄を見つけ出すのは大変です。これまでは巻頭特集や巻末付録のランキングなどを活用して効率的に銘柄を見つける方法を紹介してきましたが、今回はETFから選ぶ方法を紹介します。
そもそもETFとは?
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所に上場する投資信託を指し、英語のExchange Traded Fundsの頭文字をとったものです。特定の指数に連動する運用成果を目指して設計され、指数のパフォーマンスとほとんど同じような値動きになるのが特徴です。投資信託は1日1回算出される基準価額で取引されますが、ETFは取引所に上場しているので、取引時間中であればいつでも、通常の株式と同じように取引することができます。要するに「ETFは各種指数に投資するのと同じような効果を持った上場投資信託」と言うことができます。
ETF投資は時間や労力の節約に
「各種指数に投資するのと同じような効果を持つ」というのは、非常に大きな意味があります。例えば、一つ一つの銘柄を調べてから投資対象を決めるのは、非常に時間や労力がかかります。しかし、指数に投資すると考えれば、特定の銘柄の業績や株価をチェックする必要はなくなり、時間や労力の節約になります。多くの銘柄を分析するのは時間がかかりますから、普段忙しくて時間のない人にとっては、それだけでハードルが高いといえます。しかし、ETFへの投資は、指数にだけ注目すればいいので簡単です。
また、ETFは複数の銘柄を組み入れているため、リスク分散の観点からもメリットがあります。個別銘柄への投資では、時間をかけてじっくり銘柄を選んだとしても、倒産のリスクや株価下落のリスクは避けて通れません。上場廃止となれば、株券は紙くず同然となってしまいます。
しかし、ETFは複数の銘柄を組み入れているため、1つの銘柄が倒産したり、株価が大きく下落したりしても、全体に対する割合が大きくなければ、その他の組み入れ銘柄でカバーすることが可能です。相場格言で「タマゴは一つのカゴに盛るな」というのがありますが、リスク分散するのであればETFは非常に有効な手段となります。
ETFにはさまざまな選択肢があることも魅力
また、ETFにはさまざまな選択肢があることも魅力です。香港市場全体のパフォーマンスに連動したETFを選びたければ、香港市場を代表する指数である「ハンセン指数」に連動したトラッカー・ファンド・オブ・ホンコン(02800)というETFに投資することができます。中国本土市場を投資対象としたければ、CSI300指数に連動した滬深300チャイナ・トラッカー(02827)、配当利回りの高い銘柄に絞って投資したいということであればGlobl Xハンセン高配当利回りETF(03110)という選択肢もあります。
また、香港証券取引所に上場するETFを通じて、米国やインド、台湾、ベトナム株にも投資することも可能です。投資目的に応じて幅広いETF銘柄中から対象を選ぶことができます。
対象となるETFの探し方は、基本的に銘柄名と連動指数です。銘柄名がおおよその特徴を表していますので、あとは「連動指数」のところで、パフォーマンスの連動を目指す指数を確認します。「Hang Seng Index」や「MSCI China Index」「FTSE China A50 Index」などさまざまな指数が出てくるので、目的の指数を探してください。
ただ、ETFの中には人気がなく、出来高や売買代金の少ない銘柄も散見されます。極端に出来高の少ない銘柄は、買いたいときに買えず、売りたいときに売れないというリスクがあります。「中国株二季報」では、ETF銘柄の概要の右側に週足のチャートも合わせて掲載しているので、出来高の棒グラフが少ない銘柄を取引する場合は、流動性リスクにも注意しておいてください。
出所:「中国株二季報」2024年夏秋号
香港証券取引所には、2024年9月時点で300近いETFが上場していますが、実はそのすべてに投資できるわけでありません。日本では海外ETFについて、金融庁に登録された銘柄しか取引することはできませんので、「中国株二季報」に掲載しているETF銘柄についても、日本の証券会社を通じて取引できる銘柄の中から選んで、その一部を掲載しています。取扱銘柄については、証券会社によって異なりますので、実際の取引に当たっては各証券会社の取引ページでご確認ください。