中国株の銘柄選び

二季報を使った銘柄選び(25) 主要指数の推移で投資リターンを高める

中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。


▼参考

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中国株にこれから投資しようとした場合、投資するからにはベストのタイミングで投資したいと考えますよね。もしくは、すでに銘柄を保有している場合には、ベストのタイミングで手放したいと思うでしょう。当然、個別銘柄であれば業績やチャートを見て判断することになりますが、全体相場がどのような状況にあるのかを確認することも重要です。今回は「主要指数の推移」の活用法について紹介したいと思います。


主要指数の推移で相場の状況を把握する 


「中国株二季報」では、個別銘柄のチャートについては、週足で約1年半、株価推移で直近5年間の高値・安値を掲載しています。一方、巻末の主要指数の推移では、「株式相場」「商品相場」「為替相場」の分野ごとに10年の長期チャートを掲載しています。個別銘柄のチャートと指数の10年長期チャートを見比べてみると、銘柄によっては10年長期チャートの同じ期間とチャート形状が非常に似ていることに気づくかもしれません。


 出所:中国株二季報2024年夏秋号


株価は個別銘柄の要因で動きますが、材料がない場合は全体相場の動きに引きずられることがあります。株価が下がっていても全体も同じように下がっている可能性がありますし、株価が上がっていても全体も同じように上がっている可能性があるわけです。投資の基本は「安いときに買って高いときに売る」です。長期投資であれば、10年の長期チャートを見て、できるだけ相場が下がっているときに買い、できるだけ相場が上がっているときに売るようにすれば投資リターンは高まります。投資に当たっては、全体相場がどのような状況にあるかを把握し、大きなサイクルで捉えることも重要であるといえます。


「株式相場」「商品相場」「為替相場」から主要指数を掲載


「中国株二季報」では、「株式相場」「商品相場」「為替相場」の分野ごとに主要指数を選んで掲載しています。「株式相場」については、香港市場、中国本土市場、米国市場、日本市場から、代表的な指数を9つに絞って掲載しています。


香港市場では、香港市場を代表する指数である「ハンセン指数」、中国企業全体の値動きを代表する「中国企業指数」、レッドチップ銘柄全体の値動きを代表する「レッドチップ指数」、中小企業向け市場であるGEMの値動きを代表する「GEM指数」の10年チャートを掲載しています。ハンセン銘柄や通常の香港上場銘柄であれば「ハンセン指数」をベンチマークにして比較してみるのがいいでしょう。H株銘柄であれば「中国企業指数」、レッドチップ銘柄であれば「レッドチップ指数」、GEM銘柄であれば「GEM指数」といった感じです。「ハンセン指数」と「中国企業指数」は比較的チャート形状が似ていますが、「GEM指数」はまったく違った形状をしています。


 

出所:中国株二季報2024年夏秋号


本土市場に関しては、上海市場の値動きを代表する「上海総合指数」、上海B株市場の値動きを代表する「上海B株指数」、深センB株市場の値動きを代表する「深センB株指数」の3つの指数を掲載。このほかに、米国株市場の代表的指数であるダウ工業平均、日本株市場の代表的指数である日経平均株価を掲載しています。ダウ工業平均と日経平均はチャート形状が比較的似ていますが、ハンセン指数や上海総合指数とはまた違った形状をしています。


出所:中国株二季報2024年夏秋号


商品相場に関しては、原油相場の値動きを示す「WTI原油先物」、金(ゴールド)相場の値動きを示す「COMEX金」、銅相場の値動きを示す「LME銅3カ月」、アルミ相場の値動きを示す「LMEアルミ3カ月」を掲載しています。いずれも海外の商品市況ですが、個別銘柄にも影響を及ぼします。特に直接的な影響を受けるのは、こうした商品を生産する会社や利用する会社です。相場が上昇すれば生産する会社にとってはプラス材料ですが、利用する会社はコスト増につながるためマイナス材料となります。原油のように裾野が広い商品ほど影響は大きく、商品相場の動向は無視できなくなります。


為替市場に関しては、「米ドル/円」、「米ドル/人民元」を掲載しています。香港市場に上場する銘柄に投資する際は香港ドル建てで取引することになりますが、香港ドルは米ドルにペッグしているため、実質的に米ドルの値動きと同じと見なすことができます。取引に当たっては、日本円を香港ドルにしたり、香港ドルを日本円に戻したりするので、為替の動向も投資リターンに大きな影響を与えます。円が安いタイミングで円に戻し、円が高いタイミングで、投資する市場の通貨にまとめて交換しておくといいでしょう。


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中国株情報部 部長兼編集長

池ヶ谷 典志

立命館大学卒業後、1997年に北京の首都経済貿易大学に留学。 北京では中国国有の大手新聞社などに勤務し、中国の政治、経済、社会記事などを幅広く執筆。 帰国後の2004年にT&Cトランスリンク(現DZHフィナンシャルリサーチ)入社。 現地での豊富な経験や人脈を生かして積極的に中国企業や政府機関などへの取材を行ない、中国企業の調査・分析を行なっている。

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