中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
中国株をこれから始めようとした場合、まずは銘柄選びの手掛かりが欲しいですよね。とはいえ、数多くの銘柄の中から自分で有望銘柄を見つけ出すのは大変です。そんなとき参考になるのが、巻末付録の「ランキング」です。今回は「株主資本比率」のランキング活用法を紹介します。
「株主資本比率」は企業財務の健全性や安全性を示す指標
株主資本とは、企業の貸借対照表の「純資産の部」に記載される項目の一つで、株主が出資した資本金および資本準備金、過去の利益の蓄積である利益剰余金の合計値を指します。簡単に言ってしまえば「株主から預かった資金」です。「株主資本比率」は、この株主資本を総資産で割って算出したもので、総資産に対して株主資本(=株主から預かった資金)がどの程度の割合を占めているかを示し、企業財務の健全性や安全性を示す指標として幅広く活用されています。
一般的に数値が大きければ、それだけ銀行などからの借り入れに頼らず、株主から預かった資金で経営していると判断することができます。こうした企業は、金利上昇局面でも利払い負担を低く抑えることができ、景気後退局面でも倒産リスクが低いとされます。仮に株主資本の一部である利益剰余金が多ければ、それだけ配当原資が多いことも意味しますので、今後の増配も期待できるでしょう。
逆にこの数値が低い企業は、銀行などからの借り入れが多いため、金利上昇局面では利払い負担が大きくなり、景気後退局面では倒産のリスクが高くなります。利益剰余金が少なければ今後の増配も期待できません。投資するにあたって、安全を第一に考え、とにかく倒産のリスクが高い企業は避けたいという場合は、株主資本比率が高い企業を選ぶとよいでしょう。
とりわけ、企業の財務状況が悪化すると、株主資本に含まれる利益剰余金がどんどん減っていき、最終的に自己資本がマイナスになれば、企業の負債額が資産額を上回ってしまいます。このような状態を「債務超過」と呼び、企業の財務状況としては非常に危険な状況となります。そうなると債務リストラなどを実施して経営の立て直しを行うことになりますが、立て直しに失敗すれば最終的に倒産という現実が待っています。こうなれば株券は紙切れ同然となり、投資した資金はほぼ戻ってきません。長期投資を前提とする場合は、やはり株主資本比率の高い企業を選ぶことが大事だと言えます。
「株主資本比率」を利用する際の注意点
では、投資するにあたって、「株主資本比率」が高ければ高いほどよいかと言えば、そうとも言い切れません。「株主資本比率」の高い銘柄は、確かに倒産のリスクは低いかもしれませんが、借り入れに頼らず保守的な経営を行っていれば、企業の成長性が阻害されている可能性があります。
会社の経営戦略として「実質無借金経営」を掲げている企業もあるので、「株主資本比率」は企業の考え方次第という側面はありますが、仮に成長ステージにある企業であれば、借り入れを増やして投資に回した方がより多くの利益を生むことができ、成長を加速させることができます。「株主資本比率」が高いということは、それだけ成長の機会を無駄にし、株主から預かった資金を活用できていない企業である可能性もあるのです。「株主資本比率」を活用するにあたっては、成長性とのバランスにも注意する必要があります。
「中国株二季報」2024年夏秋号のランキングで、具体的に銘柄を見てみましょう。「株主資本比率」が最も高い銘柄は、レアアース・耐火材メーカーのチャイナ・レアアース(00769)という銘柄で、「株主資本比率」は95.9%に上ります(株主資本:2064.374百万HKドル÷総資産:2153.703百万HKドル×100=95.85%)。返済の必要のない株主から預かった資金だけで経営ができているので安全性は高そうですが、成長性という面では二期連続赤字と厳しい状況が続いています。
2位は電力事業への投資を手掛ける電能実業(00006)で「株主資本比率」は92.7%。こちらも非常に高い水準となっていますが、ディフェンシブ銘柄らしく業績は安定し、2024年予想配当利回りは6%台に達しています。長期投資向きの銘柄といえるかもしれません。
ランキング上位銘柄の「株主資本比率」はいずれも非常に高い水準にありますが、「中国株二季報」2024年夏秋号に採用している銘柄の平均は「42.2%」となっています。
「株主資本比率」の水準は業種によっても違いますが、通常は40-50%以上あれば安全性が高いと判断され、20-40%程度であれば適正水準とされます。ただし、20%を下回っている銘柄については注意が必要になってきます(金融銘柄を除く)。個別銘柄の「株主資本比率」については、各銘柄の【指標】にある「安全性」という項目を確認してみてください。「株主資本比率」が低い銘柄、前年に比べて急に減っているような銘柄も要注意です。
業種ごとの平均については、「中国株二季報」の企業データの最初のページに「業種別指標一覧」を掲載しています。業種によってばらつきはありますが、全体では平均が「50.4%」となっています。個別銘柄の「株主資本比率」を確認する際は、こちらの業種別指標一覧で平均と大きくかい離していないかどうかもチェックしてみましょう。
出所:中国株二季報2024年夏秋号