中国株の銘柄選び

中国株ビギナーがまず選ぶのはこれ!ハンセン指数は基本中の基本

中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。そんな場合は、まずは代表的な銘柄の中から選んでみるのが基本中の基本。では、その代表的な銘柄はどうやって見つけたらいいのか?今回はそんな疑問にお答えします。


代表的銘柄はハンセン指数の構成銘柄から探せ


香港証券取引所に上場している個別銘柄に詳しい人であれば、ピンポイントで銘柄を探すこともできますが、これから中国株を始めようとする人にとっては、何から手をつけていいか分からないことでしょう。しかも、香港証券取引所には、中小型株のGEM銘柄も含めて約2600銘柄も上場しています。この中から銘柄を探すのは、銘柄に詳しい人でも、とても大変な作業になります。


そんなときに参考になるのが、ハンセン指数です。ハンセン指数は、香港株式市場全体のパフォーマンスを反映した指数で、1964年にハンセン銀行(00011)が開発。1969年から子会社の恒生指数有限公司(ハンセン・インデックシズ社)が公表している指数です。日本では日経平均株価、米国ではダウ平均株価のような位置づけの指数と言えます。公表を始めた当初は33銘柄で構成されていましたが、2023年7月時点で80銘柄に拡大。最終的には100銘柄まで拡大する方針が示されています。


ハンセン指数はハンセン銀行が1964年に開発した


ハンセン指数の採用基準は?


では、ハンセン指数に選ばれる銘柄はどのような銘柄なのでしょうか?まずハンセン指数に選ばれるには、前提条件としてハンセン総合指数に選ばれている必要があります。ハンセン総合指数は香港市場の時価総額の95%をカバーする指数で、メインボードに上場する銘柄の中から基本的に時価総額の大きい順番に選ばれます。ハンセン総合指数は、さまざまな指数に採用されるための前提条件となっており、2023年7月時点で523銘柄が選ばれています。


ハンセン総合指数はさらに、時価総額の大きさによって「ハンセン総合大型株指数」、「ハンセン総合中型株指数」、「ハンセン総合小型株指数」の3つに分けられます。ハンセン指数は、このうちハンセン総合大型株指数とハンセン総合中型株指数を合体させた「ハンセン総合大中型株指数」の中から選ばれます。「ハンセン総合大中型株指数」はハンセン総合指数の時価総額の85%をカバーするように選ばれ、採用銘柄数は2023年7月時点で318銘柄(大型株指数122銘柄、中型株指数196銘柄)となっています。

 


ハンセン指数はこの中からさらに絞り込まれて選ばれます。具体的には、(1)金融(2)IT(3)消費財(4)不動産・建築(5)通信・公共事業(6)医療・ヘルスケア(7)エネルギー・原材料・工業・コングロマリットの7業種から、それぞれの業種の時価総額の50%以上をカバーするように銘柄を選びます。業種ごとに偏りが出ないよう配慮した措置です。


銘柄選定の基準としては、(1)業界内で代表性があること(2)時価総額が大きいこと(3)取引額が大きいこと(4)業績が良好なこと――などと決められています。いくら規模が大きくても、業績が悪い銘柄は選ばれません。


業績については利益も考慮することが明記されていますが、必ずしも明確な基準が設けられているわけではありません。一時的に業績の悪化した銘柄であれば引き続き採用されますが、継続的に悪化しているような銘柄はハンセン指数から除外されます。これらを決めるのは、外部の有識者を含む13人の「ハンセン指数顧問委員会」のメンバーで、彼らが「この銘柄なら大丈夫だろう」と判断した銘柄がハンセン指数に選ばれているのです。


ハンセン指数顧問委員会の判断が必ずしも正しいとは限りませんが、ハンセン指数に選ばれている銘柄は、いわば彼らのお墨付きを得た銘柄とも言えます。逆に、ハンセン指数から除外された銘柄の中には、エスプリ(00330)や富智康集団(02038)のように業績や株価の低迷が続いている銘柄も少なくありません。


また、ハンセン指数の構成銘柄であれば、時価総額が大きく、流動性も高いため、「売りたいときになかなか売れない」といったことがほぼありません。投資家向け広報(IR)をしっかりしている企業も多いため、日本にいても多くの情報を得ることができます。ハンセン指数に選ばれている銘柄はビギナー向けの銘柄とも言えます。中国株を始めるにあたって銘柄選びで困った場合、まずはハンセン指数の構成80銘柄の中から探してみるのがいいでしょう。

 


▼参考

最新のハンセン指数構成銘柄の一覧はこちら



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中国株情報部 部長兼編集長

池ヶ谷 典志

立命館大学卒業後、1997年に北京の首都経済貿易大学に留学。 北京では中国国有の大手新聞社などに勤務し、中国の政治、経済、社会記事などを幅広く執筆。 帰国後の2004年にT&Cトランスリンク(現DZHフィナンシャルリサーチ)入社。 現地での豊富な経験や人脈を生かして積極的に中国企業や政府機関などへの取材を行ない、中国企業の調査・分析を行なっている。

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