中国株の銘柄選び

中国株の銘柄選び:意外と身近にある中国株、家電量販店で探してみた(2) テレビ編

中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。こんな人は多いと思います。そんな場合は、身近にある上場企業に投資してみるというのも一つの手です。そこで今回は、前回に続き、意外と身近にある中国株というテーマで、身近にある中国株の銘柄を紹介したいと思います。前回に続き、家電量販店で探してみました。


テレビの売り場でTCL、ハイセンスのテレビを発見


まずはテレビの売り場に行ってみます。世界市場ではサムスン、LGといった韓国勢が強い業界ですが、日本の家電量販店の売り場では、ソニーの「BRAVIA」、シャープの「AQUOS」、パナソニックの「VIERA」、東芝の「REGZA」など日本メーカーのテレビが目立ちます。その中で、さっそく見つけたのがTCLエレクトロニクス(01070)のテレビです。

 

TCLは「The Creative Life」の頭文字を取って名付けられた 


TCLは1981年に広東省恵州で創業した大手家電メーカーで、テレビやスマート家電の製造・販売が主力事業です。1999年にベトナム市場に進出し、2004年にフランスの家電メーカーであるトムソン(現テクニカラー)のテレビ事業を買収して成長しました。世界の約160カ国・地域で事業を展開し、2021年の世界シェアは、サムスン、LGといった韓国勢に次ぐ世界3位となっています。

 


日本法人TCLジャパンの設立は2015年で、2017年に日本のテレビ市場への進出を果たしています。ちなみに、日本ではフィギュアスケートの紀平梨花選手がTCLのアンバサダーを務めています。


実はこのTCL、2021年にパナソニックと低価格機種の生産委託契約を結んでいます。日本で販売している「VIERA」も、実はTCLが製造したテレビかもしれません。


ハイセンスはFIFAワールドカップの公式スポンサー

 

22年1-10月にはテレビ販売で世界2位に躍進


そして、「Hisense(ハイセンス)」ブランドを展開する海信視像科技(ハイセンス・ビジュアル・テクノロジー:600060)のテレビも目に留まります。FIFAワールドカップ・カタール大会の公式スポンサーでもあり、試合会場のピッチ脇にある広告看板で「Hisense」のロゴを目にした人も多いでしょう。市場調査会社「奥維睿沃(AVC Revo)」によると、2021年の世界シェアはTCLに次ぐ第4位ですが、今年1-10月は世界2位に躍進しています。


海信視像科技の前身は1969年に山東省青島で設立された国営工場です。設立当初はラジオの生産を手掛けていましたが、1970年にテレビ事業に参入。日本からテレビの生産ラインを導入して事業を拡大しました。海外進出にも積極的で、世界約160カ国・地域で製品を販売。南アフリカやメキシコ、チェコ、日本など海外にも生産拠点を置いています。


日本法人であるハイセンスジャパンは2010年に設立。2011年に日本でテレビ販売を始めています。2020年にはブランドアンバサダーに俳優の綾野剛氏を起用。テレビCMを見たことがある人もいると思います。そして、今回のFIFAワールドカップ・カタール大会では「ハイセンスが、FIFAワールドカップを面白くする」というプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトアンバサダーに三浦知良選手(カズ)を起用して積極的なイベントを展開しています。カズが「ドーハの悲劇」以来29年ぶりにカタール入りしたいうニュースが話題になりましたが、それはこのプロジェクトの一環によるものでした。


【W杯】カズがドーハ入り「29年ぶりか。ドーハの悲劇を新しい歴史つくる原動力にしてほしい」


 

引用:ハイセンスジャパンHP


ちなみに、海信視像科技は2018年に東芝のテレビ事業「東芝映像ソリューション(現TVS REGZA株式会社)」を買収しています。東芝が販売していた「REGZA」ブランドのテレビは、いまは海信視像科技が引き継いで製造しているのです。海信視像科技の決算報告書によると、2021年の日本市場での「海信(Hisense)」と「REGZA」ブランドを合わせたシェアは28.1%で、堂々の第1位。日本で売られているテレビの4台に1台は、実質的に海信視像科技のテレビということになります。

 

海信視像科技は18年に「REGZA」を買収


また、ビデオレコーダーの売り場でも「REGZA」ブランドが目に留まります。こちらも、海信視像科技傘下のTVS REGZA株式会社が製造・販売をしています。


レコーダーの「REGZA」も実は海信視像科技の傘下


テレビの世界でも、意外と身近に中国株銘柄を見つけることができました。あなたの家ではどのメーカーのテレビを使っていますか?中国株を始めるにあたり、どんな銘柄に投資したらいいのか分からないという人は、身近にある銘柄から選んでみるのも一つの手です。


まとめ:今回見つけた身近な中国株銘柄

 

今回見つけた身近な中国株銘柄は次の2銘柄で、TCLエレクトロニクス(01070)は香港市場、海信視像科技(600060)は上海A株市場に上場している銘柄です。


【テレビの世界的大手】中国の家電大手、TCL集団の傘下企業。テレビの研究開発、製造、販売を一貫して手掛ける。主力ブランドは「TCL」。同ブランドの世界テレビ市場シェアは11.5%で3位(21年通期、群智諮詢調べ)。親会社が韓国サムスン電子と合弁事業を通じ液晶パネルを製造するなど、グループ内で垂直統合型の生産体制を保有する。近年は傘下の深セン市雷鳥網絡科技を通じてインターネットテレビ事業を強化。


【中国のテレビメーカー大手】青島市政府国有資産監督管理委員会が全額出資する国有家電メーカー、海信集団の傘下。「海信(Hisense)」ブランドでテレビやタブレット端末などを製造・販売する。販売台数シェアは国内トップを誇る。海外では南アフリカ、アルジェリア、エジプトなどに工場を持つ。18年に東芝の子会社だった東芝映像ソリューション(TVS)を買収した。


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中国株情報部 部長兼編集長

池ヶ谷 典志

立命館大学卒業後、1997年に北京の首都経済貿易大学に留学。 北京では中国国有の大手新聞社などに勤務し、中国の政治、経済、社会記事などを幅広く執筆。 帰国後の2004年にT&Cトランスリンク(現DZHフィナンシャルリサーチ)入社。 現地での豊富な経験や人脈を生かして積極的に中国企業や政府機関などへの取材を行ない、中国企業の調査・分析を行なっている。

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