中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
中国株二季報の個別銘柄ページでは、ページの最上部と最下部に基本データを掲載しています。今回も最下部について説明していきます。
出所:中国株二季報2025年春号
前回は個別銘柄ページ最下部の基本データのうち、(4)役員(5)上場年月について説明しました。今回は(6)決算期――についてです。
中国企業の決算期はどうなってるか?
日本では決算期は3月期の銘柄が多くなっていますが、中国では12月期が一般的です。中国会計法という法律で「会計年度は1月1日から12月31日までとする」と決められているためです。そのため、中国本土登記A株やH株の銘柄は決算期が12月となっています。しかし、同じ中国企業でもケイマン諸島やバージン諸島といった、いわゆるタックスヘイブン(租税回避地)に登記している銘柄は、現地の法律が適用されるため、決算期に縛りがありません。中国を代表するIT大手、テンセント(00700)は決算期が12月ですが、ライバルのアリババ集団(09988)の決算期は3月となっています。
出所:香港証券取引所
香港証券取引所に上場する全銘柄を集計してみると、最も多かったのは12月期の銘柄で合計2264銘柄、全体の76%と圧倒的多数を占めています。次に多いのは3月期の銘柄で519銘柄(全体の17%)です。香港系の企業は英国統治時代のなごりもあって決算期を3月としている企業も多いようです。このほかは、6月期が117銘柄(同4%)、9月期が23銘柄(同1%)と続きます。基本的に四半期の区切りとなる3月、6月、9月、12月を決算期とすることが多く、それ以外の月を決算期としているのは61銘柄(同2%)と非常にまれです。
業界によっては、1年の事業サイクルに合わせて決算期を決めているケースもあります。代表的な例は教育業界です。中国では学校の新学期が9月から始まり、8月に終わるため、基本的に8月を決算期としている銘柄が多くなっています。ただし、中国では営利の学習塾が禁止されたため、教育業界の上場企業は学習以外の習い事や職業訓練などの事業に重点をシフトしています。
決算期が違えば決算発表の時期が違う
決算発表の時期については、決算期が違えば発表の時期も異なってきます。市場ごとに発表のルールが決まっており、下記の表のようになっています。
出所:中国株二季報2025年春号
香港市場では四半期決算は義務付けられていないので、決算発表は通期決算(期末決算)と中間決算の2回です。会社によっては自主的に四半期決算を発表するところもあります。メインボードの通期決算は年度末から3カ月以内、中間決算は期末から2カ月以内となっているので、12月期の銘柄であれば毎年3月末までに通期決算を発表することになります。
日本では通常、年度末から45日以内に発表されるので、日本に比べると発表期限がかなり長く設定されています。日本でも決算発表の集中する時期がありますが、中国株は12月期決算が中心なので3月末が集中する時期に当たります。
一方、中国本土のA株とB株は通期決算が年度末から4カ月以内、中間決算が期末から2カ月以内、四半期決算が期末から1カ月以内です。通期決算は香港よりさらに1カ月期間が長くなっています。しかも、本土企業は12月期決算なので、通期決算と四半期決算の発表期限が4月末で重なります。多くの企業が通期決算の発表と四半期決算の発表を同時に行うため、毎年4月末には数百社の決算発表が集中することになります。
中国株二季報では、決算期が12月の銘柄の通期決算を「夏秋号」で、中間決算を「春号」でそれぞれ掲載しています。書籍は年2回発行でタイムラグがあるため、残念ながら決算の速報まではカバーできませんので、決算速報については、WEB版の「二季報WEB」で確認してみてください。