中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
中国株二季報で銘柄を探すにはどうしたらいいか?
中国株二季報で個別銘柄を探す際、「属性」からも探すことができます。「属性」は市場ごとの大分類と、その市場の中の小分類です。まず市場ごとの大分類は、いわゆる「中国株」に分類される香港、深セン、上海の3市場です。香港市場は「メインボード」と「GEM」に分けられ、さらにそこに上場するすべての銘柄が「ハンセン」「H株」「レッドチップ」「その他」のいずれかに分類されています。
中国本土の深セン市場と上海市場については、人民元建てで取引される「A株」と外貨建てで取引される「B株」に分けられます。深セン市場は香港ドル、上海市場は米ドル建てで取引されます。中国株二季報では、深センA株、上海A株の個別銘柄中心に掲載しています。
香港市場の4つの属性分類
この中で香港市場の属性分類は、中国株を始めたばかりの人にとっては分かりにくいかもしれませんので、ここで説明しておきます。
香港市場は大型株中心の「メインボード」と中小型株中心の「GEM」があり、そこに上場する銘柄を次の4つの属性に分類しています。それぞれの属性の特徴は次の通りです。
1 ハンセン銘柄:ハンセン指数に採用されている主力銘柄
香港市場を代表する株価指数であるハンセン指数の構成銘柄を指します。1964年にハンセン銀行(00011)が開発し、1969年よりHSIサービシズ社(現ハンセン・インデックシズ社)が公表している指数で、1964年7月31日時点の構成銘柄の時価総額合計を100としています。香港株式市場全体のパフォーマンスを反映した指数で、ハンセン指数に採用されている銘柄はいずれも香港市場を代表するメジャーな企業ばかりです。中国株の初心者の場合、まずはハンセン指数に採用されている銘柄から投資先を選ぶのが安心です。2025年1月現在、構成銘柄は83銘柄となっています。この属性はあくまで指数構成銘柄であるため、同時に「H株」「レッドチップ」「その他」のいずれかと重複しています。
出所:中国株二季報2025年春号
2 H株銘柄:香港に上場する中国登記の本土企業銘柄
H株は香港に上場する登記地が中国の本土企業です。H株の「H」は「Hong Kong」の頭文字を採ったものです。銀行、保険、証券などの金融銘柄に加え、道路、電力、航空、自動車など、いわゆるオールドエコノミー銘柄が多いのが特徴で、これらの銘柄には登記地である中国本土の法律が適用されます。H株銘柄の中には本土のA株市場に重複上場している企業もあります。H株の企業は中央政府や地方政府の傘下の国有企業であることが多く、中国政府の政策方針を反映した経営に特徴があります。
出所:中国株二季報2025年春号
3 レッドチップ銘柄: 海外登記の中国政府系銘柄
レッドチップ銘柄は、中国本土に主な事業資産を有している海外登記企業です。レッドチップは一般に中国政府系資本が30%以上を占め、通常はケイマン諸島やバミューダ諸島、英領バージン諸島(BVI)などのタックスヘイブン(租税回避地)に登記されています。法律は登記地のものが適用されます。「レッドチップ」という名称は、収益性、安定性、成長性に優れた優良株を意味する「ブルーチップ」を、中国共産党のカラーである「赤」とかけ合わせて呼んだことからきています。コングロマリット(複合企業)の中国中信(00267)や北京控股(00392)などが代表例です。
出所:中国株二季報2025年春号
4 その他銘柄:H株、レッドチップのいずれにも属さない銘柄
その他銘柄は、H株、レッドチップのいずれにも属さない銘柄で、香港の地場企業または本土・海外の企業などを指します。特に多いのが、主に中国本土で事業活動をしている中国の民営企業です。これらの企業はタックスヘイブンなどに登記し、現地の法律の適用を受けます。海外登記なのでH株には分類されず、かつ中国政府系資本が30%未満なのでレッドチップにも分類されません。この属性にはさまざまな銘柄が含まれますが、中国株を代表する銘柄であるテンセント(00700)、アリババ集団(09988)などがこの属性に含まれています。
出所:中国株二季報2025年春号
属性ごとに銘柄の特徴が異なるため、中国株に投資するに当たってこの分類の違いは知っておいた方がいいでしょう。属性の詳細については、中国株二季報の巻末にあるQ&Aにも詳細を掲載しています。中国株二季報では、索引で「市場別・属性別」に銘柄を探すことができるようになっているので、使ってみてください。
また個別銘柄ページでは、ページの右横もしくは左横で縦に銘柄属性が記してあります。投資する際、どの属性の銘柄なのかは最低限確認しておきましょう。