中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
巻頭特集「業界マップ」の活用法
「業界マップ」は、中国の注目セクターにおける主要企業の勢力図、資本関係や提携など業界内の相関関係を、視覚的に分かりやすくまとめたものです。毎回、さまざまな角度から4業界を取り上げ、簡単な業界の概況説明とともに、上場企業を中心とした業界内の主要プレーヤーをマッピング。各社の業界内での位置づけがひと目で分かるような作りになっています。ここで業界内の関係を大まかにつかみ、気になる企業を見つけてみましょう。
取り上げる業種は毎回異なります。「自動車」や「不動産」、「石油」、「通信」、「証券」、「電力」、「化学」などメジャーな業種を取り上げることもあれば、「生成AI」や「メタバース」といったホットなテーマを取り上げることもあります。また、これまでには「フォーブス長者番付」や「フォーチュン中国500」といったランキングもの、上場を先取りして「ユニコーン」を取り上げたこともありました。過去に掲載した業種の一覧は下記の通りとなっています。
どこをポイントにして見るか?
これから中国株を始めるというビギナーであれば、まずは業界最大手の銘柄に狙いを定めてみるのもいいでしょう。「業界マップ」では、主要業種であれば通常、売上高や市場シェアなどでランク付けしています。業界最大手の銘柄は、高い市場シェアを握っているため、価格競争力が高く、銀行や石油、電力、白酒など成熟産業では長年にわたって安定した成長を実現しているケースが多くあります。安定という面ではビギナーに適した選択肢といえるかもしれません。
一方、競争の激しい新興セクターでは業界最大手の銘柄でも安泰ではありません。新たな技術や製品・サービスやヒット商品が出てくれば順位はすぐに入れ替わります。電気自動車(EV)をはじめとする新エネルギー車の分野では、新興勢力同士が激しい覇権争いを演じている最中ですし、生成AI(人工知能)など始まったばかりの分野では、多くのテック企業が市場に参入し、新たなサービスの開発が進められているところです。大きなリターンを狙いたい場合は、こうした新興産業が狙い目となるかもしれません。
業界理解にも役立つ
「業界マップ」は、複雑な中国の業界ニュースを理解するのにも役立ちます。例えば、多くの海外メーカーが進出する中国の自動車業界は特に関係が複雑です。トヨタやホンダ、日産といった日本メーカーは、複数の中国メーカーと合弁事業を展開しているため、日本の新聞でもたびたび中国の合弁事業のニュースが出てきます。
中国の家電業界も日本にとっては切っても切れない関係にあります。2012年に海爾智家(06690)が旧三洋電機の冷蔵庫・洗濯機事業を買収していますし、2016年には美的集団(000333)が東芝の白物家電事業を買収しています。美的集団は「TOSHIBA」ブランドを残して生産をしているので、日本で直接「美的集団」のブランドを見かけることはありませんが、日本の家電量販店で販売されている家電製品の多くは、実は中国メーカーのものだったりします。
「業界マップ」を通じて、こうした関係性を知ることができます。日本の新聞で中国企業の名前が出てきたら、「業界マップ」で相関関係を見てみる。すると、投資に役立つ新たな発見があるかもしれません。