中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
個別銘柄の基本データを正しく読み解く
中国株二季報の個別銘柄ページでは、ページの最上部と最下部に基本データを掲載しています。今回も最下部について説明していきます。
出所:中国株二季報2025年春号
前回は個別銘柄ページ最下部の基本データのうち、(1)住所(2)電話番号(3)URLについて説明しました。今回は(4)役員(5)上場年月――についてです。
国有企業の会長と民営企業の会長は違う?
(4)の役員については、A株企業は法定代表人、香港上場企業は基本的に董事長(会長)、もしくは最高経営責任者(CEO)を記載しています。前任者の辞任に伴って一時的に不在の場合は「―」としています。国有企業の会長人事は中国政府の意向が強く反映され、極端なケースではある日突然ライバル会社の会長との交代が発表されたり、退任が発表されたかと思うと中央政府の要職に就任する、といったケースもあります。大手国有企業の会長ともなると、中央政府の「大臣級ポスト」とみなされることがあります。
一方、民営企業の会長は非常に個性豊かな面々が揃っています。比較的歴史の浅い企業が多いため、創業者がそのまま会長というケースが少なくありません。貧しい農村から一代で莫大な財産を築いた「チャイナドリーム」を実現した経営者もいます。テンセント(00700)の馬化騰(ポニー・マー)会長や農夫山泉(09633)の鍾センセン会長、ネットイース(09999)の丁磊(ウィリアム・ディン)会長などは中国の富豪ランキングの常連です。
出所:胡潤百富
このほか、中国のスマートフォン大手、小米集団(01810)の雷軍会長も中国を代表するカリスマ経営者の一人です。キングソフト(03888)や金山雲(03896)の会長も兼任し、シリアルアントレプレナー(連続起業家)であると同時に、ネット上で絶大な影響力を持つインフルエンサーでもあります。SNSでは連日、会長自ら積極的に会社の情報発信を行っています。SNSを見ていると会社のカラーや社風が見えてきます。
上場直後の銘柄は勢いのある銘柄が多い
(5)上場年月は取引所に上場した年月です。中小型株市場のGEMからメインボードに指定替えした場合は、GEMに最初に上場した年月を記載しています。香港を代表する大企業である長江和記実業(CKハチソン:00001)や新鴻基地産(サンフンカイ・プロパティーズ:00016)、新世界発展(ニューワールド・デベロプメント:00017)はいずれも、上場基準が緩和されて上場ブームが沸き起こった1972年の上場です。
青島ビール(00168)が1993年に中国本土登記のH株銘柄として初めて香港市場に上場すると、その後に中国企業の香港上場ブームが起き、2000年代には中国の大型国有企業の香港上場が相次ぎました。中国の国有商業銀行である中国建設銀行(00939)、中国工商銀行(01398)、中国銀行(03988)はいずれも2005-06年に香港への上場を果たしています。
上場年月が古い会社は一般的に、◇業界内でのポジションが確立している場合が多く、収益基盤が安定している◇長期的な実績や信頼感があり、投資家からの支持を受けやすい――といった特徴があります。多くの銘柄で配当も安定して実施しています。
一方、上場したばかりの会社には勢いがあります。資金需要が旺盛なため無配の銘柄も多く、上場時点で赤字であることも珍しくありませんが、売上高や利益が急成長している銘柄が多いのが特徴です。話題のIPO銘柄については、中国株二季報でも上場直後から掲載するようにしています。気になるIPO銘柄があればぜひチェックしてみてください。