中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
個別銘柄の基本データを正しく読み解く
中国株二季報の個別銘柄ページでは、ページの最上部と最下部に基本データを掲載しています。今回も最下部の基本データについて説明します。
出所:中国株二季報2025年春号
前回までに個別銘柄ページ最下部の基本データのうち、役員や決算期などについて説明してきました。今回は従業員数についてです。
「中国株二季報」の従業員数は、決算報告書で会社側が発表している人数を記載しています。基本的にはすべての上場企業が決算報告書で従業員数を公表していますが、中間決算では公表せず、期末決算のときだけ公表する企業もあります。中にはまったく公表していない企業もあり、そのような企業は従業員が「―」となっています。
BYDの従業員数はトヨタの2倍
「中国株二季報」に掲載している銘柄で実際に従業員数を見てみます。二季報掲載銘柄で従業員数が最も多いのは自動車・電池メーカーのBYD(01211)で、従業員数は2024年6月末時点で75万人にもなります。日本では上場企業で最も従業員数が多いトヨタでも連結で38万800人(24年3月末時点)なので、従業員数はほぼ倍の規模となります。
従業員数2位はネット通販大手のJDドットコム(09618)です。従業員数は51万7100人に上ります。IT企業なのになぜこんなに従業員が多いのかというと、ほとんどが配送関連の従業員だからです。4位に傘下の物流会社、京東物流(02618)が入っていることからも理由が見て取れます。そのほかの銘柄を見てみると、中国携帯電話キャリア最大手のチャイナ・モバイル(00941)、中国4大国有商業銀行の中国農業銀行(01288)、中国工商銀行(01398)、中国建設銀行(00939)などが続きます。これらの銘柄は国内各地に膨大な店舗網を抱えているので、ある意味納得の従業員数と言えるかもしれません。
電能実業の従業員はわずか13人
一方、従業員数の少ない銘柄を見てみます。最も少ないのは電能実業(00006)でたったの13人です。わずか13人でどうやって事業運営しているのか?と疑問に思われるかもしれません。事業会社の場合はこの人数で運営するのは難しいですが、投資会社であれば話は別です。
電能実業は電力事業を手掛ける港灯電力投資SS(02638)などへの投資という形で投資事業を行っている会社なのです。中国光大集団系の中国光大控股(00165)も証券会社の光大証券(06178)、銀行の中国光大銀行(06818)、航空機リース会社の中国飛機租賃(01848)などに出資する投資会社という位置付けです。また従来型の労働集約的な業種と違って、IT・ソフトウエアの銘柄は、比較的従業員数が少なくても事業運営が可能な業種です。映画のオンラインチケット最大手である猫眼娯楽(01896)、ネットイース傘下の音楽配信会社である網易雲音楽(09899)などが一例です。
従業員数を見ればある程度会社の規模感は見えてきますが、このように業種によっても従業員数には違いが出てきます。また、従業員数が多ければ、それだけ稼いでいるように思われがちですが、従業員が多ければ人件費もかさむので、単純に従業員が多いというだけではマイナス要因とも言えます。従業員数は多ければ多いほど良い、少なければ少ないほど良いという判断はできません。
次回は従業員数のデータを使って、どうやって有望な銘柄を見つけたらいいのかを具体的に紹介していきます。