中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。そんな場合は、香港市場を代表する株価指数であるハンセン指数の構成銘柄の中から探してみるのが基本中の基本。ハンセン指数に選ばれる銘柄の中には、世界的な大企業もあれば、個性的で魅力的な銘柄もたくさん集まっています。このシリーズでは、香港市場の主要銘柄をハンセン指数の構成銘柄の中から選んで紹介していきます。
▼参考
中国株の銘柄選び 中国株ビギナーがまず選ぶのはこれ!ハンセン指数は基本中の基本
香港を代表する華人系銀行
今回紹介するのは香港を代表する華人系銀行のハンセン銀行(恒生銀行:00011)です。ハンセン銀行という名前は聞いたことがなくても、中国株をやっている人であれば「ハンセン指数」ぐらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。そう、そのハンセン指数を運営している会社です。
中核事業はもちろん銀行業務ですが、指数の運営事業は100%子会社である恒生指数有限公司を通じて展開しています。このほかにも、保険や証券、投資信託の運用や販売、投資事業など、さまざまな金融サービスを手掛けています。
写真は香港島にあるハンセン銀行の店舗
香港に260もの店舗があるので、香港に行ったことがある方であれば、街を歩いていて店舗を見かけたことがあるという方も多いと思います。親会社は世界有数の金融グループであるHSBC(匯豊控股:00005)ですが、独立したブランド名で銀行事業を展開しているので、もしかしたらHSBCグループであることに気づいてない人もいるかもしれません。香港域内の事業が中心ですが、マカオやシンガポールに支店、台北に代表事務所を置き、主に華僑や華人の多い中華圏で事業を展開しています。
1933年に小さな両替店として創業
ハンセン銀行は1933年3月3日に香港島上環(ションワン)の永楽街で創業します。創業メンバーは主に林炳炎氏、盛春霖氏、何善衡氏、梁植偉氏の4人。創業当時の名称は「恒生銀號」で、当初は小規模な両替店として業務をスタートします。
「恒生」という名称は、盛春霖氏が運営していた「恒興銀號」と林炳炎氏が運営していた「生大銀號」から一文字ずつを取って名付けたという説が伝わっていますが、ハンセン銀行の公式の説明によると、「永恒生長(=永遠の成長)」を願って名付けたようです。顧客とともに成長を続けていこうという決意を込めものです。
創業日に数字の3が続いているのも、広東語の「生」と数字の3は発音が近く、事業が限りなく続くこと(=生生不息)を願ってのことだったようです。
創業当初の「恒生銀號」 出所:香港経済日報
もともと創業メンバーの4人は、上海と広州で住む場所は違っていましたが、それぞれ同業者として顔見知りの存在でした。4人は何度も顔を合わせるうちに意気投合し、「恒生銀號」を立ち上げたのです。トップにあたる董事長は林炳炎氏が務め、主に金の売買や為替・両替業務を手掛けます。当時の従業員はこの4人を含め、わずか11人でした。
「恒生銀號」の発展を支えた何善衡氏
実は4人の中で中核的な役割を果たしたのは何善衡氏でした。勤勉でまじめな性格だった何善衡氏は、4人の中で出資比率がわずか1%と最低でしたが、事業拡大の基礎を築いたキーマンと言われています。
写真は何善衡氏 出所:Finance730
何善衡氏は1900年にマカオに生まれます。父親はもともと広東省番禺の出身でしたが、仕事を求めてマカオに移り住んでいました。家庭は貧しく、幼いころは食うや食わずの苦しい生活だったといいます。学校に通うだけのお金がなく、父親の故郷である広東省の私塾に通います。
14歳になると私塾に通うお金も払えなくなり、高利貸しなどで見習いとして働き、社会で実務経験を積んでいきました。24歳のときに独立し、仲間とともに広州に「匯隆銀號」を設立して為替・両替業務を開始。このときに、「恒生銀號」の創業メンバーらと出会ったのです。「恒生銀號」は1933年、事業開始の初年度に約1万香港ドルの利益を上げます。
次回もハンセン銀行の続きです。お楽しみに。
まとめ:今回紹介した香港市場の主要銘柄
【HSBCグループ傘下の香港地場系大手行】1965年からHSBC(00005)傘下。約260カ所の営業拠点を持つ香港が主要事業基盤。2003年に興業銀行(601166)への資本参加で本土市場に参入したが、15年5月までに持ち株をほぼ売却。07年には本土現地法人の恒生銀行(中国)を設立した。本土では北京、広州、深セン、上海、南京などに営業拠点を展開。域外ではシンガポールとマカオに支店、台北に代表事務所を置く。ハンセン指数を運営するハンセン・インデックシズは完全子会社。