中国株への投資を始めてみたいけど、どんな銘柄に投資していいか分からない。香港、上海、深センの取引所には合わせて8000近くの銘柄が上場しているので迷うのは当然です。そんな場合は、「中国株二季報」を活用して銘柄を探してみるのがいいでしょう。中国株二季報には、中国株を取引するに当たっての基本情報から、中国市場の概況、中国の業界動向、個別銘柄の情報などがぎっしりと詰まっています。このシリーズでは、中国株二季報を利用した中国株の銘柄選びについて紹介していきます。
▼参考
中国株をこれから始めようとした場合、まずは銘柄選びの手掛かりが欲しいですよね。とはいえ、数多くの銘柄の中から自分で有望銘柄を見つけ出すのは大変です。そんなとき参考になるのが、巻末付録の「スクリーニング」です。今回はスクリーニングの中の「総合評価」の活用法を紹介します。
5つの指標で銘柄を総合評価
「中国株二季報」では、「割安株」「成長性」「安定性」という3つの投資目的に沿って、それぞれ3つの指標を条件に設定して銘柄を抽出。これまでにそれぞれの活用方法を紹介してきました。
■二季報を使った銘柄選び(20) スクリーニングを使って銘柄を探す、「割安株」の活用法を紹介
■二季報を使った銘柄選び(21) スクリーニングを使って銘柄を探す、「成長性」の活用法を紹介
■二季報を使った銘柄選び(22) スクリーニングを使って銘柄を探す、「安定性」の活用法を紹介
一方、今回紹介する「総合評価」は、「成長性」「収益性」「安定性」「株価」「配当」という5つの項目で総合評価したランキングです。それぞれの項目ごとに1つの代表的な指標を設定し、掲載銘柄の平均値を基準に1―5点を付与。5つの項目の合計点にもとづいてランキングしています。
指標については、「成長性」が予想増益率、「収益性」がROE(株主資本利益率)、「安定性」は自己資本比率、「株価」は予想PER(株価収益率)、「配当」は予想配当利回りを利用。予想については、ファクトセット社のコンセンサス予想を採用しています。1点から5点までの具体的な配点については、下記のようになっています。
5項目あるので最高点は25点となりますが、収益性と安定性など両立が難しい項目もあるため、満点を取るようなケースはほとんどありません。20点以上あれば相当高い水準といえます。「収益性」「成長性」「安定性」「株価」「配当」のうち、どの項目が高く、どの項目が低いかは銘柄や業種によって異なりますが、合計点の高い銘柄は投資対象候補となり得る銘柄ばかりです。
総合評価から意外な高評価銘柄を発掘
具体的にどのような銘柄の合計点が高いのか、「中国株二季報」2024年夏秋号でみてみます。中国株を代表するテンセント(00700)やアリババ集団(09988)といった銘柄の名前がなく、中国株に投資したことがある人にとっては意外な評価に見えるかもしれません。
合計点が最も高い銘柄は25点満点中20点で、豚肉生産世界最大手の万洲国際(00288)、ゲーム・教育会社のネットドラゴン(00777)、セメント大手の安徽コンチセメント(00914)、不動産管理会社大手の碧桂園服務(06098)の4銘柄です。中国株を始めたばかりの人にとっては初めて聞く銘柄ばかりかもしれません。ただし、「世界最大手」というパワーワードが含まれている銘柄も入っているので、見逃すわけにはいきません。
出所:中国株二季報2024年夏秋号
気になる銘柄を見つけたら、実際に個別銘柄のページで業績や株価・チャートなどを確認してみましょう。この総合評価では、各項目を代表する指標を簡易的に1つだけしか使っていないので、必ずしも正しく銘柄を評価できているとは限らないからです。
例えば、「成長性」の項目に関しては、代表する指標に予想増益率を採用していますが、予想増益率は今期予想なので前期の数値が特殊要因で低かった場合には大きなブレが出てしまいます。
そのため、個別銘柄のページでは「特殊要因がないかどうか?」のチェックが必須になります。特殊要因がなく、来期も同じように利益の伸びが見込まれていれば、高い成長が続く見通しであることが読み取れます。
どの指標を使ったとしても絶対的な評価は難しいので、「総合評価」の一覧は、あくまで簡易的に銘柄を見つけるためのツールとして活用してください。