気になるテーマ解説

【気になるテーマ解説】市場規模は無限大? 壮大な宇宙産業

最近、日本の宇宙開発スタートアップ「ispace(アイスペース)」の月面着陸船が米国で打ち上げられたと伝わりました。着陸に成功すれば、民間企業のミッションとしては世界初になるかもしれないとのこと。今後、計画では約5カ月かけて月面へ物資を輸送するようです。

 


宇宙と聞くと、無重力、呼吸ができない、地球外生命体、さまざまな星などが漠然と浮かんでくるかもしれません。なかには宇宙なんて先の話で、自分には縁がないよと思う人もいるかもしれませんが、現代では宇宙を利用したサービスが既に普及しています。

今回は、聞くだけでわくわくしてくる宇宙について、今後はどのような未来が予想されているのか解説していきます。


長い歴史を持つ宇宙開発

1961年、旧ソビエトのガガーリンが宇宙船「ボストーク1号」に乗り、人類初となる宇宙旅行を成功させました。「地球は青かった」という名言はあまりにも有名ですよね。


宇宙は138億年前に発生した「ビッグバン」によって誕生したと言われています。時間の単位が大きすぎてイメージが湧きません。人類は100万年前に出現したとされており、人類史が始まってからは、2200年前に古代ギリシャ人のアリスタルコスが太陽中心説を提唱したとされています。

歴史を見ると遥か昔から地球の外について議論されてきましたが、人類が初めて地球外に到達したのはたった60年前。しかも、ガガーリンの宇宙滞在時間は約2時間しかありませんでした。現代では、宇宙ステーションに長期滞在できるまでに進歩しており、技術発展の目覚ましさに驚くばかりですね。


現在の宇宙関連サービス

人類が日常的に宇宙へ行くのは、何年後なのか、自分が生きているうちに実現するのか・・・といったところですが、冒頭でも述べたように宇宙が関係するサービスは既に普及しています。


例えば、生活に欠かせないスマートフォンやカーナビには、GPS(全地球測位システム)が搭載されています。人工衛星からの電波を受信して自分の位置を割り出す仕組みであり、これのおかげで自分の位置を把握しながら移動できます。天気予報も、上空にある気象衛星がなければ話になりませんよね。このように、現状ではインフラに関係するサービスを中心に、宇宙が利用されています。



宇宙産業の市場規模

航空機は、コロナ前であれば国内だけでも1日2000便以上が飛んでいました。ちなみに航空機1機の価格は大体200億円前後と非常に高価で、寿命は20~25年とされています。


一方、同じ乗り物であっても、打ち上げたら終了のロケットについては1回あたりの費用が数十億円から100億円程度と言われており、ほかとは比べ物にならない値段ですね。さまざまなテーマが将来的に何千億円、何兆円になると予想されていますが、宇宙市場はスケールが変わってきます。

Haver Analytics、Morgan Stanley Researchを基に筆者作成

1ドル=135円


上のグラフのように将来的には100兆円を超えるとの予想も出ており、長期的に期待できそうな市場ですね。この市場規模の中には、ロケットの打ち上げだけでなく、衛星ブロードバンドインターネットや衛星テレビ、メンテナンス、地上設備のほか、これらから派生して生まれるサービスなど、さまざまな分野が含まれています。


宇宙に関連する組織を思い浮かべるとJAXA(宇宙航空研究開発機構)やNASA(アメリカ航空宇宙局)が真っ先に思い浮かびますよね。

とはいっても、これらの組織だけで回っているわけではなく、さまざまな企業が協力し合って1つのロケットが作られていきます。国内にも関連企業はたくさんあるので、どんな企業が関わっているのか調べてみると新しい発見があるかもしれません。


この連載の一覧
株価は割高なのか? 指標を参考にしてみる
新興市場をざっくり振り返ってみる
金が人気の背景とは?
東京都の予算
マイナス金利解除が決定 マーケットへの影響は?
長期投資は我慢比べ
アクティブETFのその後
シリコンアイランド九州は復活か
政策保有株式の売却が進む(2)
決算プレーと自動売買
配当株投資の怖いところ
インターネット広告に試練 Cookie規制とは?
ロボアドバイザーの先駆け ウェルスナビの実力は?
優秀なインデックスファンドとは?
辰年は上がりやすい?
新NISA 注意したい配当金と分配金
新NISA 流行の積み立てと為替リスク
コスト最安の日本株アクティブファンドが登場
NTTが推進するIOWN構想とは?
政策保有株式の売却が進む
歯の健康は全身の健康 病気は未然に防ぐ時代へ
MSワラントの恐怖
配当金が保険料の賦課対象に?
今年は暖冬の予報 マーケットへの影響は?
投信の超低コスト競争に拍車
建設業界と2024年問題
積み立て投資との相性良し悪し
住宅ローンの借り入れは計画的に
東証スタンダード市場の選択申請が増加中
長期金利と株価の関係はよく言われるが・・・
国内初のアクティブETFが誕生
魚が高すぎて買えません
配当方針いろいろあります
太陽光発電は自家消費へ
メタの新SNS「Threads」使ってみた
電池の覇権、リチウムの次は亜鉛?
SENSEX指数が最高値更新 インドってどんな国?
訪日旅行者は今後も伸びる?
半導体製造装置 1台おいくら?
変動金利型住宅ローンが実質マイナス金利へ
話題沸騰のダイヤモンド半導体とは?
著名投資家の投資候補を考察
デジタル給与が解禁! メリット・デメリットは?
私の銀行は大丈夫?
全人代が開幕 いまさら聞けない日本の中国依存度
金利上昇の懸念はあるが省エネ住宅は拡大へ
【気になるテーマ解説】 健康だけじゃない? アミノ酸の可能性
なんでも材料視する株式市場
多発する客テロ AIカメラに注目集まる
会話は人そのもの 話題の「ChatGPT」とは?
「超」高齢化社会の日本
金利に翻弄される銀行 金利の影響と債券の仕組み
出生数80万人割れへ 子育て関連株の行方は・・・
何かと注目される親子上場
【気になるテーマ解説】市場規模は無限大? 壮大な宇宙産業
【気になるテーマ解説】レベル4解禁! ドローンの普及で何が変わるのか
【気になるテーマ解説】成功率3万分の1? 新薬開発の過酷な道のり
【気になるテーマ解説】パワー半導体ってなんだ?
【気になるテーマ解説】「Web3.0」ってなんだ?

日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

畑尾 悟の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております