気になるテーマ解説

2025年の注目テーマ3選

2025年が始まって1月も半月が経ちました。1年間のうち、24分の1がすでに終了です。年を重ねるごとに時間の流れが速くなっていくような感じがしますね。余談ですが、誰もが感じるこの現象は19世紀にフランスの哲学者によって研究されており、「ジャネーの法則」と呼ばれます。


1歳の時に感じた1年を365日とすると、2歳では183日、3歳では122日のように体感時間が減っていきます。365日÷年齢で体感時間を計算できるため、筆者の場合は大体11日。にわかには信じがたいですが、この法則ではおおよそ20歳で体感的には人生の折り返しになるようです。


このように1年が経つのはあっという間ということで、筆者が注目する今年のテーマをざっくり取り上げます。


AI(人工知能)関連

今年も引き続き注目度の高いテーマになりそうです。2024年に世界で最も人気だった株はエヌビディアでした。画像処理用半導体(GPU)の大手で、GPU の処理能力の高さはAIにも用いられます。年前半は「一緒一緒にエヌビディア」が流行。手で持てるサイズのGPUが1基500万円という高価格なことも話題となりました。


日本でAI関連としてトップクラスの上昇率となったのはフジクラでした。多くの市場関係者から、まさかこの銘柄がこんなに上昇するなんて・・・といった声が続出。AIは電力消費量が多く、電力需要が拡大→インフラ投資のために電線が必要。AIを使うためのデータセンター投資が活発→電線(光ファイバー)が必要ということで、2024年は電線各社の業績が大きく拡大しました。


引き続きデータセンター投資は旺盛で、ここ最近でもマイクロソフトが巨額の投資を発表しました。2024年はAI実装にマストな半導体関連への注目度が高かったですが、対中国への半導体規制など雲行きも怪しくなってきました。一方でAI市場が縮小することは考えづらいので、2025年以降はAIを維持するためのインフラがいっそう重要となり、AIを活用したサービスもより注目される予感がします。



蓄電池(二次電池)

「電池を制する者が電動化を制する」と言われるように、電池は技術発展に欠かせない存在です。電気自動車(EV)の普及は地域によって濃淡がありますが、国内メーカーが強みを持つHV(ハイブリッド車)、PEV(プラグインハイブリッド車)も電池がなければただのガソリン車です。


AIによる電力需要は前述したとおりですが、余剰電力を貯めて必要なときに使うこともますます重要になります。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは天候次第で常に発電、原子力発電は効率を上げるため常に運転といったように、それほど電力の需要がなくても発電を続けます。余剰電力を貯める手段がなければ捨てるしかありません。それを蓄えて、必要な時に使用すれば電力供給の安定につながります。一般家庭やオフィスビル、商業施設においても太陽光パネルを設置するケースが増えていますよね。発電した電気を無駄なく蓄えられれば、個人の生活、ビジネスにおいても電気で心配することがなくなります。


電解液を使ったリチウムイオン電池は世界で幅広く普及していますが、水では消せない発火や爆発など、リスクも大きいことが難点です。デメリットを克服した画期的な電池ができたらいいなと思いますよね。各メーカーが開発を行っており、例えば全固体電池は有名です。理論上は発火しない水系リチウムイオン二次電池や、水性亜鉛電池、全固体ナトリウムイオン二次電池など種類はさまざま。


AIや車などの電動化、省エネのための蓄電を安全にできる技術は今後必須と言っても過言ではないので、今年は蓄電池関連にも注目です。



金利

2024年は日本が金利ある世界へ回帰したことで話題となりました。長らく続いたマイナス金利が解除され、その後に政策金利は0.25%程度に。世界的に見れば日本が超低金利であることに変わりはありませんが、日銀は今後の経済動向、世界情勢などを注視しつつ利上げの方向で動いています。


日本の政策金利が米国のように4~5%まで上昇することはおそらくないと思いますが、一方でよほどの経済ショックが起こらない限りマイナス金利の再導入も想定しづらいです。将来的に1~2%の間が妥当ではないか?という意見が多いですが、今後は金利がある世の中で何に投資するとメリットを受けやすいのか、よく考えていく必要があります。



マイナス~ゼロ金利環境では現預金で持つメリットが薄かったため、リスク資産へ積極的に資金が流れていました。一方である程度の金利があると、安全性の高い国債や現預金の魅力度が高まります。


例えば、10年国債利回りが2%あるなか、配当利回り4%の株式があるとします。配当利回りから国債利回りを引くと差(イールドスプレッド)は2%ですね。自身が配当利回り目的で投資していた場合、株式の変動リスクをとって差の2%を取れますか?となると迷う人は多いはずです。


このように、金利がある世界では株やREIT、不動産投資などについてよく吟味する必要が出てきます。その中で継続的に増配を行っている企業などは、金利上昇局面でもイールドスプレッドを確保しやすいため、注目されやすいといえそうです。借り入れコストの増加は企業の成長を鈍化させる可能性があります。成長株投資に当たっては、金利上昇による影響を上回る業績拡大を示せるかがポイントとなりそうですね。



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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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