気になるテーマ解説

国内初のアクティブETFが誕生

取引時間中であれば簡単に売買できるETF(上場投資信託)は人気ですよね。特に日経平均の2倍程度動くレバレッジ型ETFは、売買代金ランキングの上位に必ず顔を出します。国内でも広く浸透したETFですが、なんとこの9月に国内初となるアクティブ型ETFが上場しました。


アクティブ型とつくように、TOPIXや日経平均などの指数に連動することが目的となるインデックス型ETFとは違います。運用担当者が機動的に組み入れ銘柄を変えるため、要はその人の腕次第で運用実績が変わるということになります。これまで国内にはインデックス型しかありませんでしたので、今回のアクティブ型ETFの上場については市場でも注目が集まります。


今回上場するアクティブETFは?

9月の第2週目(4日~8日)に国内上場で新規設定されるETFは22本で、このうち国内株式のアクティブ型に該当するものは6本。すべて9月7日に上場しました。

 


アクティブ型の公募投信にありそうな名称ですね。ただ、公募投信とは違いETFなので、上場した7日から1口当たりの価格はリアルタイムで動いています。1日1回しか価格が更新されない公募投信とは違い、投資家の好きなタイミングで売買できるところが大きな魅力の1つです。


ちなみに、それぞれの特徴を簡単に見てみると

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<NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信>

高ROE(自己資本利益率)を維持できる「優良企業」への長期投資を中心に、ROE改善を期待できる「変身企業」に機動的に投資する。組み入れ銘柄数は60~80程度。


<NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信>

安定的な「配当」と機動的な「値上がり益」の獲得により、中長期的なトータル・リターンの獲得をめざす。ポートフォリオの予想配当利回りは約4.0%(7月31日時点)。組み入れ銘柄数は100程度。


<MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信>

大型株・中型株の中から、予想配当利回りの上位銘柄を選定。基本的に30銘柄以上へ投資。予想配当利回り5.0%(23年6月末時点)


<PBR1倍割れ解消推進ETF>

原則としてPBR(株価純資産倍率)1倍割れを放置する企業にエンゲージメント活動を行う。議決権行使などによってPBR1倍割れ解消を加速し、日本の上場企業の大宗がPBR1倍超となる世界の早期化をめざす。


<政策保有解消推進ETF>

原則として過大な政策保有株式を長期間放置している企業にエンゲージメント活動を行う。議決権行使などによって政策保有株式の縮減を加速し、日本の上場企業の大宗が政策保有株式0になる世界の早期化をめざす。


<投資家経営者一心同体ETF>

経営陣が自社株を一定以上保有する企業(経営者と株主が一心同体になって経営が行われている企業群)を投資対象とする。


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各社の公表資料をみると、このような運用方針でした。野村と三菱UFJはシンプルな内容で、投資初心者にもわかりやすい設計です。24年から新NISAが始まるにあたって、低コストで成長を期待できる商品として窓口の役割も担いそうですね。


一方、シンプレクスは独自路線が色濃く出ており、いわゆる物言う株主(アクティビスト)としてETFの値上がりをめざすような説明でした。株式市場では、アクティビストが大株主に浮上するとその銘柄が思惑から買われることもしばしば。今回のアクティブETF解禁をきっかけに、シンプレクスに関するニュースも今後増えそうな予感です。


今回、上場するのは日本株のアクティブETFですが、将来的には海外株のアクティブETFが出てくるかもしれませんので期待したいところです。ETFは低コストで売買の自由度が高いメリットがありますが、ETF・公募投信はそれぞれメリット・デメリットも存在します。自分の運用方針に対し、どちらがより合っていそうか十分に検討してから投資したいですね。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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