気になるテーマ解説

「超」高齢化社会の日本

昨今では、岸田首相による「異次元の少子化対策」や、東京都の小池知事による18歳以下への毎月給付、児童手当の所得制限撤廃など、複数の少子化対策案が伝わっています。出生数減少の一途をたどる日本において、人口増加への転換は喫緊の課題です。


一方、直近では少子化対策の話題が大きいため報道される機会が少なっていますが、日本国民の超高齢化も待ったなしの状況です。どちらの問題もないがしろにはできませんよね。


現在の人口ピラミッド

第二次世界大戦後、出生数が急増した第一次ベビーブームという時期がありました。そのころと現在を比べてみると、70年程度で年齢別の人口推移が大きく変わっています。


<1950年>

 

出所:統計ダッシュボード(https://dashboard.e-stat.go.jp/)


<2020年>

出所:統計ダッシュボード(https://dashboard.e-stat.go.jp/)


2020年の人口ピラミッドを見ると、70歳前後、50歳前後の人口が突出していますね。70歳は戦後の第一次ベビーブームに生まれた、いわゆる団塊世代。50歳前後は団塊ジュニアと呼ばれています。2025年になると団塊世代の全員が後期高齢者(75歳以上)になり、日本の人口の2割を占めると言われています。


高齢化で起こる問題

高齢化が進むことで起こるさまざまな問題については、何となく想像がつくと思います。定期的に報道されるのは介護問題と財政の圧迫ですね。労働力不足や現役世代の負担が重くなることも、たびたび取り挙げられます。


<過去から現在への変化>

 

財務省・厚生労働省の資料を基に作成


規模の大きいシニア市場

時代の流れとともに、余生をどう過ごすかといった意識にも変化が見られます。戦後間もないころは平均寿命が短かったこともあり、「人生50年」と言われていました。ところが現在、食事を十分にとれるようになり、医療も発達した結果、「人生100年」に拡大しています。


過去の「子どもを育て終えたら短い余生を過ごすだけ」という意識から「定年後に2~30年続く人生をどう過ごすか」に移ってきており、その間に病気やケガによって家族に迷惑をかけたらどうしよう・・・という不安にも襲われることになります。人によっては、相続に悩むこともあるでしょう。


そのような不安がありつつも、せっかくのセカンドライフは楽しく過ごしたいと思いますよね。少子高齢化が続くのであれば今後も高齢者の比率は上昇しますし、団塊ジュニア世代も20年後には高齢者入りします。想像がつくようにシニア市場は拡大傾向にあり、2025年には100兆円市場になるとの予想も。


 出所:みずほコーポレート銀行提供資料を基に作成



シニア市場の関連銘柄

少子高齢化社会と聞くと、どちらかと言えばネガティブなイメージが先行しがちですが、前述の通りシニア層の市場規模はとても大きいです。このようなシニア向けビジネスで、着実に成長を続けている会社や、注目されている会社ももちろん数多く存在します。


シニア市場の関連銘柄(例)


有名な会社だけでなく、会社名は知らないけれどサービス名は知っている、という例もあると思います。上記では参考までに10銘柄を取り挙げていますが、シニア向けに何かしら関連のある会社は100銘柄を軽く超えます。


東京証券取引所の上昇会社数は3800社ほどですが、実はこの会社もそうなんだ!と気付くことがたくさんあります。今後の高齢化社会において活躍できそうな会社を探してみると、新しい発見があるかもしれませんね。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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