上野動物園(東京都台東区)のジャイアントパンダ「シャンシャン」が2月21日に中国へ返還される予定です。シャンシャンは2017年に生まれましたが、当初は満24カ月の月齢時(2019年)に返還するとされていました。ただ、これを惜しむ声が多かったため20年末に延長。その後は世界的な新型コロナウイルス感染症のまん延を受けて再び延長されています。
ジャイアントパンダが日本に初めて来たのは1972年。日中の国交正常化を記念して、上野動物園に送られてきました。このころ筆者はまだ生まれていませんが、パンダの大ブームはテレビで見たことがあります。50歳以上の人は当時のことをよく覚えているのではないでしょうか。
実は、パンダは株式市場にも影響を及ぼします。上野には中華レストラン東天紅(8181)と洋食レストラン精養軒(9734)の本店があり、知っている人も多いでしょう。パンダに絡むニュースが流れると、上野に人が集まる→来客が増えるといった連想が働き、必ずと言っていいほど株価が上昇します。
過去にはパンダの赤ちゃんが順調に育っているというニュースが流れるだけで株価が反応したこともあり、投資家からするとパンダ=東天紅・精養軒というイメージが定着しているようです。
東天紅のチャート
このように、パンダのおめでたい話が伝わると株価が大きく動きました。なお、ご祝儀的な買いが多いので、あまり長続きはしない傾向にあります。コロナ禍で休園が伝わった際には、株価が売られたこともありました。
あれもこれも・・・
前述のパンダはほんの一例で、株式市場はなんでも材料視します。普段、何気なく見聞きして「ふーん」で済ませてしまうニュースであっても、実はその裏で株価が動意づいているケースもたくさんあります。
物色されるケースの例
<水害>
昨今では、台風のみならずゲリラ豪雨といった異常気象が多発しています。河川が氾濫したというニュースも頻度が多くなりましたよね。こういう時には被災地の復興や護岸工事の需要増加といった思惑から、関連銘柄が物色されることがあります。
ヤマウホールディングス(5284):九州地盤のコンクリート2次製品メーカー
<情勢>
ここ数年、日本は隣国によるミサイルの脅威が増しているのはご存じの通り。米中摩擦も続いており、中国と台湾も穏やかでない雰囲気です。ウクライナ対ロシアの戦争も終息の兆しがみえません。こういった有事の際、業績に影響があるかどうかはさておき、防衛関連銘柄が物色されやすくなります。個人的な意見ですが、日本が危ないときには株を買っている暇があったら身を守ったほうが良いのでは?と思ったりします。
石川製作所(6208):海自向け機雷や、空自向け航空用電子機器など製造
<メディア>
ニュースがキッカケになることもあります。2022年10月9日、テレビ朝日系番組「サンデーステーション」が番組特集として次世代型の太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を取り上げました。番組では、ペロブスカイトの主要原料がヨウ素であり、日本が世界第2位の生産量を誇る「ヨウ素大国」であることからペロブスカイトは純国産の太陽電池に成りうると説明。これを手掛かりにヨウ素製造メーカーがこぞって買われることに。
伊勢化学工業(4107):ヨウ素製造で国内首位
覚えきれない物色テーマ
毎日、ニュースや適時開示、SNSなどあらゆる情報を手掛かりにどこかでテーマ物色が行われています。AI(人工知能)や子育て関連などが賑わったのは記憶に新しいところでしょう。
試しに大手ネット証券が無料で公開しているテーマ一覧を数えてみたところ、2022年2月時点で1500近い項目がありました。身近な物、自然、社会、政治などありとあらゆるものがテーマ化できてしまうため、すべてを網羅するのは困難です。ただ、駆け出し投資家にとっては、ニュースなどを見たときに「これって何かのテーマに当てはまる?」と考えることが銘柄選別につながります。ぜひ、日々のニュースに敏感になることから始めてみましょう。