株式市場には、さまざまな材料があふれています。会社による公式発表、報道、経済指標など、さまざまなものが思いつきますね。証券会社や運用期間などのアナリストが発行するレポートも注目材料として扱われます。どこどこの証券会社がA社の投資判断や目標株価を引き上げた、とある業種の見通しが良い内容を出したなど、内容はさまざまです。
よくマーケットニュースで出てくる市場予想(コンセンサス)とは、前述した各アナリストの予想を平均化したものです。市場の予想と聞くとモヤモヤするかもしれませんが、個々の市場関係者(アナリスト)による見通しを集計したものなので市場予想と言われます。
レーティングの付け方
証券会社のアナリストが上場企業の調査を開始することがあり、これをカバレッジと呼びます。調査する企業の業績、今後の展望などを分析し、現在の株価から見て「買い」「中立」「売り」といった投資判断を出します。投資判断の表記は証券会社によって、「買い」「アウトパフォーム」「強気」など表記はさまざまですが、意味合いはだいたい同じです。
将来的な成長を加味して、妥当と思われる理論株価(目標株価)も設定されます。目標株価の設定方法は、基準とする年度の各利益はいくらか、1株利益(EPS)はいくらかを予想し、1株利益の何倍くらいまで買われても良いか?といった方法が多いです。簡単に表すと、アナリストの予想EPS×アナリストが期待するPERとなります。もちろん、これに当てはまらないケースもあり、目標株価の算出方法はアナリストによりけりです。
株価への影響が大きいレーティング
アナリストがとある企業のカバレッジを開始し、投資判断は「買い」、目標株価を時価よりもかなり高い数値としたら、投資家はそれだけ上値余地があると判断します。大手証券会社のアナリストだったらその影響はなおさら大きく、時価総額が兆円クラスの銘柄であっても大きく動くことがあります。
その反対もあり、業績が悪い企業に対して投資判断「売り」、目標株価を時価よりもかなり低い数値で設定したら、株価が大きく下げるケースも少なくありません。いずれにしても、レーティングは株価に大きな影響を与えることがあります。
例)IHI<7013>
出所:トレーダーズ・ウェブ
前述のようにアナリストがカバーしている企業には、アナリストが予想する売上高、各利益などがあります。注目度の高い企業になるほどカバーするアナリストも増え、例えば5人のアナリストがカバーしていれば市場予想は5人の予想を平均した数値となります。
企業は四半期ごとに決算発表を行いますが、どれくらいの数字だと良いのか?という判断材料として市場予想が用いられます。いざ決算が発表され、実績が市場予想を上回ればサプライズ、下回れば失望といった感じです。
決算発表前に業績への期待が高まっていれば、先回りして買っておこうという動きが活発化します。そうなると決算発表前までにある程度株価が上昇していることになるので、失望となってしまった場合は、事前に上昇した分、もしくはそれ以上の下落となることもしばしば。
例)TOWA<6315>
出所:トレーダーズ・ウェブ
昨今ではアルゴリズム取引(自動売買)が活発なため、決算数値が市場予想よりも上か下かで自動的に注文を出すケースもあるようです。そんなに失望されるような決算だった?というような急落劇は頻繁にあり、そういった場合は下げた後にちゃんと戻ってくることも多いです。上の事例でも、決算直後は下がったものの、その後は上昇して決算発表前の水準を上回りました。
そのようなことも少なくないので、業績が市場予想より悪かったからと言って、もうダメだと投げ売りするのはまだ早いかもしれません。市場予想はあくまで目安。決算直後の動きに振り回されて、余計にストレスをためないことも大切です。