昨今ではSNSを利用することが一般的となった一方、バズりたいという欲求が暴走してしまい世間を騒がせる事件が多発しています。
某回転ずしチェーンでの一件だけでなく、うどん店、牛丼チェーン、カラオケ店など、さまざまな店舗で行われた迷惑行為の動画がSNSで拡散されており、終息の兆しが見えません。海外メディアにまで取り挙げられ、一部のSNSではそのような動画が「おすすめ」として表示される由々しき事態です。
一方、各被害企業が法的措置を取る方向に動いているので、今後の抑止力になるか期待が寄せられています。とはいっても迷惑行為はいつ起こるか分かりません。そのような中で「客テロ」を未然防止するためのAIカメラに注目が集まっています。
AIカメラとは?
カメラにAIがつくとどうなるの?と疑問に思うかもしれません。そもそも、従来の監視カメラでは映像を記録するだけなので、人が内容を確認する必要があります。情報量が多かったり、記録時間が長すぎたりすると、人の目で追えないことがあるかもしれませんよね。
一方AIカメラでは、コンピュータの演算能力によって顔認証の精度を向上できるほか、人の行動パターンを分析したりと、できる幅が広がります。得られた大量の情報、いわゆるビッグデータを活用すれば、新しいビジネスにつなげることができるかもしれません。
※よくあるAIカメラのイメージ
AIカメラの導入事例
くら寿司 2023年2月 飲食業
直近のニュースでは、回転ずし大手のくら寿司(2695)が2022年3月上旬をめどに店内の回転レーンをAIで監視するシステムを全店で導入すると報じられました。
日本経済新聞の記事によれば、皿の数のチェックなどのため、すでにレーン上部へ設置しているカメラを活用することで、すし皿のカバーの不審な開け閉めなどを検知できる仕組みを想定するといいます。迷惑行為へ対応措置として導入を急ぐとのこと。
京セラ 2022年12月 製造業
電子部品大手の京セラ(6971)は、映像解析AIサービス「VAAKEYE」を導入。主要工場に500台のカメラを設置し、人的負担の削減と管理体制の強化を図るとのこと。カーナビでもよく耳にしますが、ヒヤリハットを早期発見することで、重大事故も防ぐとしています。
そごう・西武 2021年10月 小売業
日本経済新聞が、今後5年程度かけて国内全10店に人工知能(AI)カメラを大規模導入すると報道。顧客の年齢や性別、店内での行動履歴をきめ細かくデータ化し、商品開発などに活用するもようです。
中国 2015年?~ 行政
海外の話ですが、中国では「天網(てんもう)」というAI監視システムが導入されています。一部メディアでは中国本土中に約2億台の監視カメラが設置されていると伝えられており、AIを組み合わせることで犯罪の抑制に取り組んでいるといいます。無数にある監視カメラで顔認証を行うことで、犯罪歴の有無を識別することが可能とだとか・・・
2020年には6億台以上になるとされており、どこにいても見られているというのは気が休まらないですね。
これらは各分野のほんの一例で、AIカメラを活用したビジネス展開はたくさん公表されています。ウェブで検索してみるとさまざまな導入事例を見ることができるので、調べてみるのも面白いでしょう。
成長が見込まれるAIカメラ
前述の導入事例のようにAIカメラを活用することで、さまざまな効果が期待されています。もちろん、AIカメラの世界市場は拡大が見込まれており、2020年の73億ドルに対し2026年には150億ドルに達するといった予想も。
出所:REPORTOCEAN
昨今、冒頭の迷惑行為をきっかけに株式市場では関連銘柄が物色される展開となっています。とはいっても、企業の製品によって用途はさまざま。仮に今回のように不正防止のために需要が拡大すると考えるのであれば、それに対応した製品を提供している企業を調べる必要がありますね。
今回は迷惑行為というネガティブな話題が物色のキッカケとなってしまいましたが、前述のように犯罪防止以外にもAIカメラの活用方法はたくさんあります。商品を手に取って店を出るだけといった無人コンビニの話を聞いたことがあると思いますが、これも複数のAIカメラを活用したシステムで運営されています。都心部を中心に出店が広がっていますので、もし近くを通ることがあったら立ち寄ってみるのも面白いかもしれません。