気になるテーマ解説

全人代が開幕 いまさら聞けない日本の中国依存度

3月5日から、中国では国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が開幕しました。2022年はゼロコロナ政策や台湾問題など話題に事欠かない中国でしたが、米国に次ぐ経済大国であることは紛れもない事実です。


ただ、急成長の反動や米中貿易摩擦などの影響もあって、一昔前と比べると経済成長率は鈍化してきました。とはいっても、今回の全人代初日で掲げられた2023年の実質経済成長率の目標は「5%前後」であり、日本と比べると雲泥の差です。


中国の経済成長率

 

※DZHフィナンシャルリサーチ作成


日本にも影響が大きい中国

いまさらの話ですが、中国は日本の経済にとっても大きな影響を与えます。食品・日用品・電化製品など、さまざまなものがメイドインチャイナですよね。食品スーパーでは東南アジアや中東産の品物もちょくちょく見かけるようになりましたが、やはり中国産が圧倒的な多さです。


<日中貿易の推移>

 

※日本貿易振興機構(JETRO)提供資料を基に弊社作成


上の表は日本と中国における貿易の推移です。ケタが大きくて米ドルベースなので分かりづらいですが、参考までに1ドル130円で日本円に換算すると、2021年の輸出額は27兆円くらいになります。同じように計算すると輸入は24兆円、貿易収支は3兆円くらいですね。


21年における日本の輸出に占める地域構成を見ると、1位:中国(21.6%)、2位:米国(17.8%)、3位:ASEAN(15.0%)でした。たった1カ国で日本の輸出の5分の1を占めていますので、その大きさはすさまじいですね。各国との政治問題はあるものの、もし中国との貿易をやめてしまったら、多くの企業が経営に行き詰ってしまうかもしれません。



中国に関連する銘柄は何社?

前述のように中国は日本の最大貿易国です。つまり、それだけたくさんの日本企業が中国とビジネスを行っているというわけですが、実際には何社くらいが関係しているのでしょうか?


ネット証券の無料サービスを使って数えてみたところ、中国に関連する企業は500社を超えました。東京証券取引所に上場している企業は3866社(23年2月末時点)なので、上場企業数のだいたい15%くらいが対象です。そこまで多い印象ではないですね。ただ、取引規模が小さくカウントされていない銘柄もたくさんありそうなので、中国とは無縁と言える企業の方が少ないのかもしれません。非上場会社を含めたら何千社とありそうです。


なお、中国向けの売り上げが大きい企業として、安川電機(6506)が代表格に挙げられます。速度などの制御ができるモーター(サーボモーター)や、産業用ロボットなどを手がけるメーカーとして有名ですよね。2022年12月期の売上収益は4791億円、時価総額は23年3月時点で約1.5兆円と、日本を代表する一社です。


同社の売上収益(22年12月期)を地域別で見ると国内31%、中国27%、米国16%、欧州15%、中国除くアジア11%であり、中国の売り上げシェアが4分の1を占めます。中国の景気が良い時は業績が伸びやすくなりますが、逆のパターンもありうるということがイメージできるでしょう。同社のように中国の影響が大きい企業はたくさん存在しています。知らなかった・・・とならないように、投資する前にしっかりと調べておきたいところですね。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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