気になるテーマ解説

投資促進の一方で詐欺被害も多発

『「証券会社」かたる偽広告、フェイスブック上に1万件』


これは9月25日付の日本経済新聞朝刊の1面見出しです。かなりショッキングな内容となっており、要約するとフェイスブック上で大手証券会社を名乗る偽アカウントが2023年8月以降に累計約1万件の広告を配信していたとのことです。


今年から始まった新NISAをきっかけに投資へ興味を持つ人も増えてきたところですが、このトレンドに水を差すような出来事です。投資詐欺はこれまでにも数多く発生していますが、このごろはSNSなどを使った手段が多いと感じます。


被害額も増加傾向

警視庁が発表した令和5年(2023年)1月~12月末までのSNS型投資詐欺の発生状況は、認知件数2271件、被害額は約277億9000万円だったとのことです。


出所:警視庁 報道資料「SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について」一部加工


前述の日経報道では、昨年8月以降からフェイスブック上で累計約1万件の広告を配信していたとのことです。このグラフを見ると9月から被害額が大きく増加しているため、フェイスブック上で詐欺広告が大量配信され始めた時期とほぼ一致していることが分かります。


迷惑電話フィルタなどを手掛けるトビラシステムズの独自調査によれば、今年2月13日(NISAの日)前後に投資関連の詐欺SMS(ショートメッセージ)の検知件数が増加し、3月は前月比で7.2倍に急増したとのことです。そういえば筆者のスマホにも、身に覚えのない怪しいSMSが何通も届いていたような気がします。


LINEで勝手にグループ招待

メールの代わりとして広く使われているLINEも投資詐欺に悪用されています。実際に体験した人も多いと思いますが、投資サークルのような名称のグループへ勝手に招待されていたことはありませんか。


「情報共有しましょう」とグループ参加者になげかけたり「先生」と呼ばれる謎の人物がいたり、勝手に招待された側からすると成り行きがまったくわかりません。これらのグループで行われているやり取りは詐欺集団が作り出した「やらせ」なので、純粋に投資の話をしている人はいません。


関心を持ってしまうと、別のサイトに誘導される、個人情報を要求される、有料情報であると謳って振り込みをさせようとするなどの状況になってしまいます。うまい話がスマホ経由で勝手に転がり込んでくることはありませんので、身に覚えがない、少しでも怪しいと思ったらすぐに削除・ブロックなどで対応するのが吉です。




有名人を名乗る勧誘には要注意

SNSを使った詐欺はさまざまなパターンがありますが、なかでも有名人を装った勧誘や広告に要注意です。例えば、これまでには起業家の堀江貴文さんや前沢友作さん、優待投資で有名な桐谷広人さん、経済学者の森永卓郎さんなどがなりすまし広告に使用されたと伝わっています。



「すごい人」を装ったアカウントも多く存在しており、注意が必要です。高学歴、大企業を複数社経験、独立し複数起業したというような、いかにもなプロフィールで、フォロワーもそこそこ多かったりします。ただ、そのアカウント名でウェブ検索をしてもヒットしないことが多く、フォロワー数は闇サイトで買うことができます。こちらを騙すためにあれやこれやと策を練ってきますので、ネットにつながっているときは常に疑いの目をもつことを心掛けたいですね。



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投資促進の一方で詐欺被害も多発
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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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