最近、日本のマイナス金利政策が早期に解除されるのではないか?といった見方が強まっています。マーケットでは長期金利が上昇すると株価には逆風と見られていますが、金利の動向によって、マーケットは今まではどのような推移だったのでしょうか。過去からさかのぼってみると何かしらヒントが得られるかもしれないので、今回は株価と金利についてみてみようと思います。
TOPIXと金利の関係
バブル以降を基準としてみると、TOPIX(東証株価指数)と長期金利の推移は下のグラフのようになりました。
※各指標を基に弊社作成
ぱっと見では、2013年以降になると金利と株価の相関性がはっきりと出ていますね。ちょうどアベノミクスが始まる前後の時期です。直近では、日本の金利が上がっているにもかかわらず、TOPIXは上昇傾向。TOPIXは時価総額上位銘柄の影響が大きいため、銀行や自動車といった、いわゆるバリュー株が中心です。一方、日経平均は値がさ株(株価が大きい銘柄)の影響を受けやすいため、TOPIXとはやや異なる動きをする場合があります。
バブル崩壊以降は失われた20年と言われる時期に入りますが、金利が上がればTOPIXは上昇、金利が下がるとTOPIXは下落後V字反発にする傾向が見られますね。今後、日本の金融政策は引き締めの方向に動くはずなので、過去の例にならえばTOPIXも上昇するのかもしれません。
ちなみに、日経平均と10年債利回りの推移は以下の通りです。
TOPIXと大きな差はなさそうですが、両方を合わせると微妙に振れ幅は違いますね。
米国では?
日本株はバブル後以来の高値!と盛り上がりましたが、一方で米国株はどんどんと高値を更新しました。米国も長期的に見ると金利は右肩下がりで、ここ数年で一気に上昇しています。ハイテク株主体のナスダック総合指数も短期的に大きく下げましたが長期金利が上昇しているにも関わらず持ち直しています。
金利が上昇すると短期的にはハイテク株が売られる傾向にありますが、金利上昇がどこまで進むかある程度織り込んで株価が下がるため、いざ金利が上昇し始めると米国のハイテク株も上昇しました。すべて過去の事例なのでこれからも当てはまるとは限りませんが、あくまで指数の話です。最終的には投資する企業が継続的に成長するかどうかが肝と言えそうです。
魅力ある銘柄を選別したい
2012年までは、欧州債務危機や米国の財政問題などにより安全資産とされる債券などが先行された経緯があります。2013年以降はそれらの問題も改善に向かったことから、いわるるグレートローテーション(株式などのハイリスク資産へ一斉に資金シフト)が起きたといわれています。
昨今では米国経済は堅調なものの、過度なインフレや中国の成長鈍化など、世界的に景気の雲行きが怪しくなってきました。今後も高い金利水準が続くと、あえて株のリスクをとる必要もないと考える投資家も増えるでしょう。今度は株から債券へ、というように逆回転する可能性もあり、ましてや日本は長らく続いた超低金利環境が終わりそうな状況。マーケットも今まで経験のないことなので、国内の株式市場がどのような展開となるのでしょうか。
株式市場が金利上昇に負けないためには、各企業の魅力が高まることが必須です。国内では低PBR是正の動きが活発化しており、魅力を高める一つのポイントと言えます。直近は、国内でもアクティブ運用型ETF(上場投資信託)の運用が始まりました。このうち、シンプレクス・アセット・マネジメントが「PBR1倍割れ解消推進ETF」「政策保有解消推進ETF」「投資家経営者一心同体ETF」という3本のETFを設定しており、これらはまさに日本企業が抱える課題です。金利が上がるかもしれない今後、魅力を高めてくれそうな企業をしっかりと見極めていきたいですね。