気になるテーマ解説

最近目にするAIエージェントとは?

米国企業のOpenAIによって生成AI「ChatGPT」がリリースされたのは2022年11月30日。きっかけとなる出来事から2年以上の月日が流れました。時間が経つのは早いですね。


生成AIとは、簡単に言えばデータを元に新しいコンテンツを生成する人工知能のことです。画像、音声、文章まで、多岐に渡る分野で活用されているのはご存じの通り。SNSでも当たり前のように生成AIによる画像が流れており、最近では動画も増えた印象です。生活の中で体験するのはいわゆるコンテンツに関することが多いですが、それ以外の業務においてもAIは活用されています。


最近ではタイトルにある「AIエージェント」という言葉をよく見聞きするようになりました。AIの新しい可能性となりそうな「AIエージェント」について、今回は触れていきます。


AIエージェントとは?


エージェントとつくとカッコいい響きになりますが、人工知能を使って業務を効率化し、生活をサポートするソフトウェアやシステムのことを指します。例えば米アマゾンのAlexa、アップルのSiriといった「チャットボット」がその一例です。


マニュアルに沿って単純な自動対応をしてくれるのはこれまでのシステムですが、AIエージェントは機械学習を組み込むことで回答精度の向上、相手の感情を読み取って適切に応答する機能などがあります。要は、使えば使うほど良くなっていくということですね。繰り返しの多い作業を効率的に行うことも得意とされており、事務作業を代行することもできるようです。


 


最近のAIエージェントに関するリリース

ここ最近では、企業がどのようなAIエージェントを発表しているのか見てみます。


セールスフォース(米国) 2024年10月29日発表

自律型AIエージェント「Agentforce」の提供を開始。AIエージェントを作成およびカスタマイズするためのツールセットで、個人にパーソナライズされたアシスタント型のAIエージェントも組み込まれる。データを検索・分析し、行動計画を作成、実行することで、従業員が行う具体的なタスクをサポートし、業務の効率を向上させる。日本国内では10月30日から提供。


AVILEN<銘柄コード:5591> 2024年12月25日発表

大塚商会<4768>と共同で生成AIを活用した最先端のAIエージェントを共同開発し、ビジネス実装のあり方を共同で検証を開始。大塚商会内の各種コールセンターにおいて音声による自然な対話型AIエージェントを開発し、人手不足が深刻な電話対応業務に革新をもたらすことをめざす。


ポート<7047> 25年1月6日発表

人材紹介サービスにおいて、AIエージェントを活用した新たな機能を展開する。キャリアアドバイザーが紹介求人案件を全てインプットする難易度は高い。求職者のヒアリング情報や統合データを通じて紹介すべき求人案件をAIが把握することで、キャリアアドバイザーによる提案力向上などを見込める。


ヘッドウォータース<4011> 25年1月22日発表

次世代 AI エージェントサービス「SyncLect AI Agent」の提供を開始。クラウドサービス「Microsoft Azure」とAI エージェント技術を最大限に活用した企業向けプラットフォームとして開発した。AI エージェント同士が連携し、複雑なタスクを効率的かつ柔軟に遂行できる。


上場企業の一例では、上述のようなリリースがありました。最近「AIエージェント」というワードを目にする機会は増えており、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」で同ワードを検索してみると、25年1月22日時点でなんと5200件もヒット。


出所:Google Trends 25年1月22日時点


ちなみにGoogle Trendsで1年間の検索動向を調べてみると、上のような結果が得られました。2024年8月にぴょんと跳ね、その後は再び数値が上昇していることが分かります。つまり、ここ半年の間で注目度が持続的に高まっているということですね。


AIブームは続く?

日常で生成AI由来のコンテンツに触れる機会は増えました。大体のブームは時間とともに過ぎ去ってしまい、定着するものはごくわずかです。ただ、AIによる業務代替は一過性のブームとは違う感覚があります。実際のところ、AI関連サービスを導入したことで生産性が向上している事例はたくさんあり、人手不足も相まっていっそうニーズは高まると思われます。


AIの普及は、電気の普及、自動車の普及、スマホの普及など、これまでに日常生活を一変させてきた発明と同じような転換点といっても過言ではありません。AIの知性が人間を超えることを「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼びます。正直なところ、筆者と比べればAIはシンギュラリティに到達していると思います。急速に進歩するAIは、これからのビジネスでは必須になるかもしれません。そう考えると、最近注目される「AIエージェント」も一例にすぎず、これから数多くの可能性が出てきそうですね。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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