気になるテーマ解説

配当金が保険料の賦課対象に?

先日、財務省の財政制度分科会は公表した資料がSNS上で話題となりました。11月1日付けの資料で、社会保障に関する内容です。この中で取り上げられたのが「金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組み」についてでした。


その中身をみてみると・・・

「」内は原文ママ


「後期高齢者等の保険料は税制における課税所得をベースに賦課する仕組みとなっているが、税制において源泉徴収のみで完結する金融所得に関しては、確定申告がされない場合、課税はされるが保険料の賦課対象となっていない。」


という議題に対し


「現在保険料の賦課対象とされていない金融所得のうち、本人の選択によって保険料の賦課対象となるかどうかが変わり得るもの(上場株式の配当など。預貯金の利子などは含まれない。)については、公平性の観点から、保険料の賦課ベースに追加し、負担能力の判定においても活用する仕組みについて検討すべき。」


「その際、NISAなどの非課税所得(NISA口座で管理される金融資産は1,800万円(簿価残高)まで非課税)は、保険料においても賦課対象としないことを前提とする必要がある。」


といった案が出されていました。決定事項ではありませんが、もし配当金まで賦課対象となると、場合によっては保険料が上がるかもしれないということになります。少額投資非課税制度(NISA)は対象外とされているものの、特定口座で持っている株はどうなるの?とちょっと不安になってきますね。


 

出所:財務省 財政制度分科会(令和5年11月1日開催)資料一覧



今後の展開に注目


今回の財政制度分科会ではざっくり言うと、少子高齢化を踏まえて税負担を色々と見直していかないといけないよね。という内容です。配当金に関する内容は100ページ以上ある資料のうちの一部分に過ぎないものですが、個人投資家からすると「ちょっとまって」となるのは当然ですね。若いうちから十分な資産を形成して早期リタイアする(FIRE)に取り組む人も多いですが、なんだか働かざるもの食うべからずと言われているような気がします。


株の売買損益や配当金を毎年確定申告している人からするとあまり関係がない話かもしれません。ただ、多くの個人投資家は特定口座を設定し、分離課税を選択しています。会議室でどのような議論がされたかは分かりませんが、将来的に配当金が保険料の賦課対象になる可能性が示された以上、気に留めておく必要はありそうです。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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