2023年の夏も厳しい暑さでした。9月は秋とは言えませんね。10月に入ると途端に涼しくなってきたので、これからすぐに寒くなるかと思うとつかの間の秋となりそうです。ただ、今年は暖冬になるかもしれないという予報が多く出ており、関東より南は例年並み、または例年よりも気温が高くなるそうです。
しばらくは寒すぎず暑すぎず、過ごしやすい日が続くのではないかと期待したくなりますね。筆者は寒いのが大の苦手なので、暖冬はウエルカムです。毎年暖冬になってほしいと心から願っていますが、一方で企業からすると冬物商品が売れにくくなるので、暖冬は嬉しい話ではありません。
ダウンジャケットやコートなど、冬物商品は夏物と比べて値段が高いです。記事の面積が広い分、デザインや機能などの付加価値もつけやすくなりますよね。企業にとって秋~冬は稼ぎ時となるので、これから天気は気にかけておきたい株価材料です。
そもそも暖冬はなぜ起こるのか
暖冬とは聞くものの、なぜ暖冬になるの?というと「エルニーニョ現象」が原因としてあげられます。天気予報でもときどき説明されますよね。理科の授業で聞いたことを覚えている人もいると思います。
具体的な説明をすると長くなるので要約すると「太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象(気象庁)」のことです。こうなると西高東低(西に高気圧、東に低気圧)の気圧配置に変化が生じるので、西日本~関東に冷たい風が入りにくくなるということです。
※画像は気象庁ホームページより
実際、エルニーニョ現象が発生しているときの冬の平均気温は下のように。
※画像は気象庁ホームページより
実際の暖冬の影響
冒頭で述べたように、暖冬の影響はアパレルなどの小売業に実際に出ることがあり、企業側も暖冬が業績に影響したことを説明したりします。小売は月次実績を出す企業が多いので、実際にあった例を見てみましょう。
出所:ファーストリテイリング 売上推移速報バックナンバー 2020年8月期コメント
国内のアパレル最大手といえば、ファーストリテイリング(9983)です。運営する「ユニクロ」です。2019年~20年の冬は記録的な暖冬だった時で、新型コロナが広まる直前の冬ですね。大手といえど暖冬の影響を受けてしまい、11月~1月の月次実績は前年同月比で減収となってしまいました。
暖冬になると必ず業績が落ちるというわけではありませんが、そこまで寒さが厳しくないとなると、季節の変わり目で新しく服を買おうという購買意欲を減退させる要因になります。企業側が何も対策を打たなければ影響は避けられませんが、傍観しているわけにはいきません。
苦境の時こそヒット商品の創出、キャンペーン、セールなどあらゆる手段で売り込みをかけると思われるので、もし自分が投資している小売企業が心配になったら、直接店舗を視察しに行ってみるのが一番です。
来客は多いか、レジは空いていないか、魅力的な新商品はあるか、値下げしすぎていないかなど、売り上げに影響しそうな要素を探してみて、これはいける!いや厳しい!を判断してみても良いでしょう。
なお、あくまで暖冬は一過性の季節要因ですので、その後に挽回することも十分にあり得ます。長期投資を前提にしている人からすれば、その時の暖冬に対して過度に心配をする必要はないかもしれません。とはいっても、気候の変化で短期的に株価へ影響が出る可能性はあるので、昨今増えている異常気象を踏まえて気候変動リスクと株価への影響を考えることは重要になりそうです。