気になるテーマ解説

来年はへび 変化の年は課題も山積み

2025年は干支で言うと巳(へび)です。爬虫類は苦手という人も多いですが、、日本だけでなく、中国やインドなどにおいても神聖視される生き物です。脱皮を繰り返すことから不老不死のシンボルとされ、巳は再生と変化を意味するとのこと。世間的には新しいことが始まる年との認識のようなので、良い年になることを願いたいですね。


それはさておき、株式市場においても干支は毎年話題となるワードです。干支ごとに相場の傾向があり、年末年始になると相場格言として取り上げられるのが恒例行事でもあります。筆者も2024年1月に干支の記事を出しましたが、今回は2025年に予定されているイベントを見ながら考えていこうと思います。


相場格言では「辰巳天井」


干支ごとに相場の傾向があると申し上げたように、それぞれの干支で勝率が異なります。ちなみに、各干支の相場格言は以下の通り。


 


巳年は「辰巳天井」と言われ、相場が天井を付けることが多いとされます。科学的な根拠があるわけではありませんが、日本では過去、巳年の近辺で不動産バブル崩壊、ITバブル崩壊が起こりました。2025年中に相場が天井を付けるかは分かりませんが、2026年(午年)にかけて何かしらの相場ショックが起きるかもしれない?と気にかけておくべきかもしれません。何にせよ、干支に関係なく相場を過度に楽観せず、つねに冷静であることが大切ですね。


2025年の注目イベント

2025年に予定されている政治、経済を含めた注目イベントを簡単にまとめてみました。年明けはドナルド・トランプ氏が米大統領に就任します。2024年最大級のイベントだった米大統領選後、就任前にも関わらずトランプ氏の発言でマーケットは上下に反応しましたね。年明けからは正式に大統領の職務につきますので、より影響度合いが強まりそうです。


米国以外にも、ドイツやオーストラリアなど複数の国で選挙があります。トップの後退はその国に大きな変化をもたらす可能性があるため、巳年のイメージ「新しいことが始まる」に当てはまります。日本は7月に参議院選挙です。2024年の衆議院選挙で政権バランスに変化が生じており、今回の参院選は特に注目度が高まりそうです。


 

各種データを基に筆者作成 予定は2024年12月25日執筆時点


2024年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、2025年の利下げペースが鈍化する見通し。日銀の金融政策決定会合では利上げに慎重なスタンスといったように、どちらも市場にとってはサプライズでした。中央銀行のイベントは毎年決まった月に行われますが、まず1月はどうなるのかといったように、今年も引き続き注目度は高いです。


日本の2025年問題


2025年になると、日本固有の課題にも直面します。世間では「2025年問題」と言われており、なんと国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)となります。社会保障費の負担が大きく増加すると想定されるため、働いている人には増税、高齢者には社会保障制度の縮小など、どの世代にとってもマイナスの影響が及ぶかもしれません。そうならないような政策が実現してほしいところですが、私たち自身の自助努力もより重要になりそうです。


また、過去に話題となった「2025年の崖」を迎えることにもなります。これは経済産業省が2018年に発行したDX(デジタルトランスフォーメーション)レポートの中で用いられた言葉です。


「2025年の崖」を簡単にまとめると、2025年にはIT人材が約43万人まで拡大すること、システムが属人化しており当人が退職すると対応できない、基幹システムSAP ERPのサポート終了(現在は2027年まで延長)などにより、2025年以降は年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるという内容です。


今から7年も前の話なので多少は状況が変わっていると思いますが、これらの課題が解決したわけではありません。上のイベントカレンダーへ乗せたように、2025年はWindows10のサポートも終了します。サイバー攻撃が激しい昨今の時代において、PCやシステムのセキュリティを担保することが重要であることは言うまでもありません。古いPCではWindows11に更新できない場合も多いため、特に中小企業に対する影響が懸念されます。


不安になりそうな話を挙げるときりがありませんが、これらは辰年で想定されることです。世界で大きな変化が起こる可能性、日本特有の問題など、これらを解決するのは政府だけでなく企業の努力による部分も大きく影響します。2025年はどのような企業がフォーカスされるのか、アンテナを広く張っていきたいところです。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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