気になるテーマ解説

配当方針いろいろあります

このごろは、株主還元の強化が一つのテーマになっています。儲けるために投資をしているので、株主としては稼いだ分はしっかりと還元してほしい!となりますよね。

どのように株主に還元していくかは会社によって様々です。業績をどんどん拡大させて企業価値を高める(株価上昇)、配当金を出す、自社株買いをして1株の価値を高める、株主優待を実施するなどがメジャーです。


そのなかで、株主優待をもらってうれしいのは個人投資家に限られ、使い道に困る機関投資家からは不満が出ます。会社的には万人に喜んでほしいところなので、昨今では配当金や自社株買いを重視しようという動きが強まっています。


株と言えば配当金

株式投資に何を求めるかと聞かれたとき、値上がりもそうですが、配当金を目的に投資を始めた人も多いと思います。日本は金融緩和縮小の方向で動いていますが、預金金利が数%つくようになる時代は何年先か分かりません。


寝かせておいても仕方ないということで年数%の配当利回りに魅力を感じた人は多いでしょう。動画投稿サイトやSNSでは「この高配当株は絶対買え!」といったサムネイルも多く見受けられ、配当金は非常に注目度が高いテーマといえます。


余談ですが、市場関係者の中では「高配当」という言葉はあまり使われません。何をもって高配当と判断するかは人それぞれなので、過去の実績や今後の良い配当を見込む意味などを込めて「好配当」と言うことが多いです。


配当方針はいろいろ

配当金は絶対に出るものではなく、会社がその都度決めた方針に則って実施されます。どのような方針があるかというと、例えばよくあるのが「業績や財務状況などを勘案して」という文言です。これだけ見ると、かなり漠然とした配当方針です。どれくらいの配当が期待できるのかある程度分かれば、投資もしやすくなりますよね。


配当方針の一覧

 


配当方針会社によって様々ですが、最近特に注目されているのが「累進配当」です。上の表にある通り「原則として減配せず、配当の維持もしくは増配を行う」という方針です。業績が悪くなっても基本的に配当金は引き下げられず、むしろ引き上げられるかもしれない!という期待が高まるので、配当目的の投資家にとっては願ったり叶ったりでしょう。


累進配当のイメージ

 


配当性向のイメージ(40%の場合)

 


上の図は累進配当と配当性向の違いです。累進配当を導入すると、原則として減配は行いません。業績が大きく落ち込んで財務が悪化した場合でも、投資家の期待に応えるため配当を維持する必要があります。安易に配当方針を変更すると信用を失うリスクもあるので、安定的に成長できる企業が累進配当も導入しやすい傾向にあります。大幅な増配というよりも、少しずつ配当を増やしていく方針になりますね。


一方、配当性向は利益に応じて配当金が変動しますので、赤字だと最悪の場合は無配というケースもあり得ます。利益ががっつり出た場合は例年よりも多く出る期待があるので、好業績の会社が増配することを狙うのもありですね。


NISAに活用したい

2024年から少額投資非課税制度(NISA)の制度が大幅に変更されます。積極的に値上がりを求める人、インデックス投信を積み立てる人、配当重視の人など、投資方針は人それぞれだと思います。


そのなかでも、非課税期間が無期限になるなら好配当株を長期保有したいという人は多いでしょう。累進配当を導入している会社だと減配のリスクが小さいため、安定的に配当金を非課税で受け取ることができます。


一方、配当性向の場合だと受け取れる配当金にブレが出てくるかもしれません。利益を大きく伸ばして配当もぐんと増えることを期待する人であれば問題ありませんが、受け取る配当が減るのは嫌!という人は累進配当を導入している企業を投資候補にすると良さそうですね。ただ、累進配当が一生続く保証もないので、1銘柄に全力投入はせず分散投資することも大切です。企業ごとの配当方針をしっかりと把握して、自分に合ったポートフォリオを組んでいきましょう。


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日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

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