何かと話題になる半導体ですが、その製造にはたくさんの工程が必要です。設計からはじまり、半導体の土台となるウェハの処理、回路の作成、パッケージ化、検査などを経て、よく見る半導体チップになります。
機械の電子基板に黒いチップが付いているのは見たことがあるでしょう。この中に半導体回路が入っておりますが、ほんのわずかなホコリなどがあるだけで、半導体の回路は正常に起動しなくなります。このため、チリ1つないクリーンルームの中で製造されており、そのための装置もさまざまな種類があります。
ちなみに日本人の髪の毛の太さは大体0.08ミリメートルと言われています。昨今話題のラピダスが製造しようとしているのは回路幅が2ナノメートル(10億分の1メートル)の半導体。ミリメートルに直すと0.000002です。回路幅は髪の毛の4万分の1しかない計算になるので、肉眼では見えませんね。
そのような微細なものを作る装置の値段は、一体いくらになるのか気になりますよね。ということで、半導体製造装置の値段をできる限り調べてみました。
レーザーテック
半導体株と言えばこれ、と思い浮かべる人も多いと思います。東証の売買代金ランキングでも、ほぼ毎日1位にランクインしていますね。同社は半導体回路の原盤(マスク)について、傷がないかを調べるマスク欠陥検査装置で世界1位のシェアを持っています。
製品の販売価格は非公表ですが、一部では大体これくらいと推測されています。例えば、同社が手掛けるEUV(極端紫外線)パターンマスク欠陥検査装置「ACTIS A150」については1台50億円から80億円くらいと言われています。
※イメージ図
キヤノン
カメラやプリンターでおなじみですが、実は半導体製造装置も作っています。同社が手掛けるのは露光装置。ウェハに回路を転写するための機械です。こちらも価格は非公表ですが、最先端のEUV向けは数百億円と言われています。
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アルバック
ウェハに酸化シリコンやアルミなどの膜をつける「成膜」といった工程で使われるスパッタリング装置などを製造しています。見つけたのは同社の古いカタログでしたが、高いもので7000万円ほどでした。感覚が麻痺して億と比べると安い?と思うかもしれませんが、高級車が何台も買えてしまいますね。現在は値段が上がっているかもしれません。
今後の市場規模は?
日本半導体製造装置協会(SEAJ)の予測によると、市場規模は23年度は3.7兆円、24年度は4.2兆円になるといいます。とはいっても、製品の価格を公表していない企業がほとんどなので、筆者も含めて部外者だと何の装置が何台、いくらで売れているかを知るのは難しいです。
半導体市場は需給や景気によって大きく左右されやすい傾向にありますが、先端分野への投資は依然として旺盛で、各企業が大きな設備投資や研究開発を行っているからこそ技術が進歩しています。引き続き、技術発展に欠かせない半導体製造装置の動向に注目したいですね。
出所:SEAJ提供資料を基に弊社作成