米国の人工知能(AI)研究所であるOpenAIが2022年11月に、チャットボット「ChatGPT」を公開して話題を集めています。こちらの質問に対し、さも人間と対話しているような回答を作成してくれるため、さまざまな業界で注目されているようです。なんと公開6日で登録者数が100万人を超えたとか・・・
チャットボットと聞くと、何かしらのサービスを利用したことがある人も多いと思います。企業が公式LINEアカウントで自動応対を採用しているケースもあり、日本郵便やヤマト運輸から配達物が届くとき、チャット形式で日時指定をしたことがある人もいるのではないでしょうか。楽天市場も、基本的な問い合わせはチャットの自動応対ですね。
何となくチャットボットのイメージはできると思いますが、「ChatGPT」は前述のように何でも人と会話しているように答えてくれることが印象的です。
以下、筆者と「ChatGPT」の会話
上記の質問をしてみましたが、その返答はAIが作ったものとは思えないほど流暢ですね。ただ、現在はお試し期間のため、2021年までデータしかないようです。質問によっては間違った答えが返ってくることもあるので、質問する側もファクトチェックの必要がありそうです。
なぜそこまで話題となるのか
そもそもOpenAIとは何者?と思われますが、イーロン・マスクが共同設立者の1人(現在は脱退)であり、米マイクロソフトも1兆円以上を投資すると決めています。チャットボットに1兆円!?と驚きが隠せませんが、一部ではグーグル検索がいらなくなるとも言われる潜在能力を秘めているようです。
マイクロソフトと言えば、自社の検索エンジン「Bing」を提供していますよね。
これに「ChatGPT」を組み込むことで、検索したワードを調べる以上のことまで提供しようという目論みのようです。
例えば、ランチのお店を探しており、「東京 中央区 ランチ」で検索したとします。今までなら、行きたいお店を見つけてネット予約するまで、自分ですべて済ませるはずです。
これはあくまで筆者の想像ですが、「ChatGPT」に聞いてみたところ「Aというお店のランチがおすすめで、12時の予約が可能です。予約をとりますか?」のようにすべてエスコートしてくれるような回答が来たら、とても便利ですよね。
このように、既存のブラウザで当たり前のように行っていた動作を丸ごと省略してしまったら、グーグルの必要はなくなってしまうかもしれません。残念ながら現在の「ChatGPT」の精度では難しいですが、Gmailの開発者であるポール・ブックハイト氏が「ChatGPT」について「グーグルは1~2年で崩壊するかもしれない」と述べており、まさに「破壊的イノベーション」と呼ぶのにふさわしいかもしれません。
「ChatGPT」に質問すると、検索の代わりだけでなく、長文の要約やプログラムのコード作成など、さまざまな作業を代行してくれます。数年前、AIが話題になり始めた当初は「AIの登場によって消える仕事」という不安な話が続出しました。もし「ChatGPT」が実用的なレベルにまで開発が進んだら、本当になくなってしまう職業があるかもしれませんね。
AI市場は大幅に拡大
「ChatGPT」の登場によって、世の中の常識がガラッと変わってしまう・・・というような予測が飛び交っていますが、人手不足や効率化を補うという意味において、AIは非常に重要な技術であることは間違いないでしょう。そのようなAI市場は成長が著しく、今から数年後には100兆円を大きく超える市場になると予想されています。
出所:statista
すでに、AIがさまざまな場面で活躍しているのは何となくイメージできると思います。もちろん、国内においてもAIを活躍する企業はたくさんあり、例えば日立製作所(6501)もその1つです。
社名に「製作所」があるくらいですから、家電や鉄道などモノづくりの会社と思われがちですが、実は売り上げの過半がIT分野。日立はビッグデータを活用したサービスを提供するLumada(ルマーダ)事業に力を入れており、これにはAIが使われています。
AIは世間でもかなり浸透してきたような印象はありますが、なんだか不気味で恐ろしいと思う人も少なくないでしょう。また、AIが発達しすぎると人間の知能を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」に到達してしまうとも言われています。
SF映画「ターミネーター」においても、物語の発端は発達しすぎたAIコンピュータが反旗を翻すことから始まります。将来、そのような時代が来る可能性はゼロとは言い切れません。しかし、それほどまでにAIが発達したら、怖いというよりもむしろ今まで解決できなかった社会問題・不治の病など、さまざまな壁を乗り越えられる期待の方が高まりそうですね。
なお、株式市場でも「ChatGPT」の話題が取り上げられるようになってきています。最近では、とある上場企業が「ChatGPT」を活用した実証を始めると発表し、株が買われた例もありました。話題性の大きさはメタバースに近いものがあり、今後「ChatGPT」に関連したリリースが増えれば、売買が盛り上がる銘柄も出てきそうな予感がします。